この章で学ぶこと
数列は数学Bの最初の単元であり、「規則にしたがって並ぶ数の列」をどう式で表し、どう合計するかを一貫して学ぶ章である。等差数列・等比数列という2つの基本パターンから出発し、そのどちらにも当てはまらない数列はΣ記号や階差数列の技術で式にし、隣り合う項の関係だけで定義された数列(漸化式)は特性方程式によって等比数列に帰着させて解く。最後に学ぶ数学的帰納法は、無限に続く自然数すべてについての主張を、たった2つの有限のステップで証明しきる強力な道具であり、この章で導いた和の公式そのものを検証する場面でも使われる。数学Iの1次関数・2次関数で慣れた「式とグラフの対応」という見方はここでも活きており、Σ計算で身につける総和の考え方は、数学IIIで学ぶ微分・積分の土台にもつながっている。また、この章で鍛える「規則性を見抜いて式に翻訳する」姿勢は、次の第2章「統計的な推測」で確率変数の期待値・分散をΣで計算していく場面にそのまま引き継がれる。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1〜2で「足していく数列」「かけていく数列」という2つの基本形を固め、3で一般の数列の和とΣ記号の使い方を身につける。4ではその力を使って漸化式(隣り合う項の関係式)を解き、5では章全体で扱ってきた公式の正しさを厳密に証明する方法を学ぶ、という流れになっている。
- 1. 等差数列 ― 一定の数を足していく数列の一般項と、和の公式(両端をペアにする発想)を学ぶ。
- 2. 等比数列 ― 一定の数をかけていく数列の一般項と、和の公式(rSnとの差をとる発想)を学ぶ。
- 3. いろいろな数列とΣ ― Σの3つの基本公式、階差数列から一般項を求める方法、部分分数分解による和(telescoping)を学ぶ。
- 4. 漸化式 ― 隣り合う項の関係式から一般項を求める方法。特性方程式で等比数列に帰着させる技術が中心。
- 5. 数学的帰納法 ― 「1枚目のドミノが倒れる」「k枚目が倒れればk+1枚目も倒れる」の2ステップで、すべての自然数についての主張を証明する方法を学ぶ。
要点整理 等差数列・等比数列の一般項と和
2つの数列はどちらも「初項に何かを1回ずつ加える/かける」という同じ構造をしているが、加えるか・かけるかの違いが、増え方の見た目をまったく別物にする。
一般項 \(a_n=a+(n-1)d\)
和 \(S_n=\dfrac{n(a_1+a_n)}{2}=\dfrac{n\{2a+(n-1)d\}}{2}\)
導出:\(S_n\)を逆順に並べて足すと、どの組も和が\(a_1+a_n\)でそろう。
一般項 \(a_n=a\,r^{\,n-1}\)
和(\(r\ne1\)) \(S_n=\dfrac{a(r^{\,n}-1)}{r-1}\) (\(r=1\)なら\(S_n=na\))
導出:\(S_n\)と\(rS_n\)の差をとると、途中の項がすべて打ち消し合う。
要点整理 Σの計算と階差数列
等差・等比のどちらでもない数列の和を求めるには、まず3つの基本公式に分解する。それでも解けない「隣の項との差」や「分数の和」には、階差数列とtelescopingという専用の道具を使う。
\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} k = \dfrac{1}{2}n(n+1)\)、 \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} k^2 = \dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)、 \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} k^3 = \left\{\dfrac{1}{2}n(n+1)\right\}^2\)、 \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} c = nc\)
隣り合う項の差\(b_n=a_{n+1}-a_n\)が\(n\)の式で表せるとき、\(n\ge2\)で\(\displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1}b_k\)。求めた式が\(n=1\)でも成り立つかは必ず別に確認する。
初項から第\(n\)項までの和\(S_n\)の式が先に与えられているとき、\(a_1=S_1\)、\(n\ge2\)で\(a_n=S_n-S_{n-1}\)。この式も\(n=1\)で成り立つとは限らないので、必ず検算する。
要点整理 漸化式の解法選び
漸化式は右辺の形を見るだけで、どの武器を使うかがほぼ決まる。丸暗記ではなく「右辺に何が付いているか」で判断する練習をしておこう。
足す量が一定 → そのまま等差数列の公式。
かける量が一定 → そのまま等比数列の公式。
足す量が\(n\)で変わる → 階差数列としてΣで組み立てる。
要点整理 数学的帰納法の型
数学的帰納法は「(i)出発点+(ii)連鎖」の2ステップだけで無限個の場合をまとめて証明する。何を証明したいかによって、手順(ii)でやることの中身が変わる。
(i) \(n=1\)のとき成り立つことを示す(1枚目が倒れる)
(ii) \(n=k\)で成り立つと仮定して、\(n=k+1\)でも成り立つことを示す(連鎖が途切れない)
仮定した式の両辺に、新しく増えた1項を加えて計算し、\(n=k+1\)の場合の右辺と一致することを示す。
仮定した不等式を何倍かしてから、大小関係をもう一段評価して\(n=k+1\)の式を導く。
仮定(ある整数\(m\)を用いて□=倍数×\(m\))を代入し、最後に共通因数としてくくり出す。
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
数列 \(6,\ 11,\ 16,\ 21,\ \ldots\) は等差数列である。公差 \(d\) と、一般項を \(a_n=pn+q\) の形で表したときの \(p,\ q\) を求めよ。
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初項8、公差\(-3\)の等差数列の第9項を求めよ。
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初項3、公差4の等差数列について、初項から第15項までの和 \(S_{15}\) を求めよ。
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初項4、公比3の等比数列の第5項を求めよ。
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初項2、公比\(-2\)の等比数列について、初項から第5項までの和 \(S_5\) を求めよ。
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\(\displaystyle\sum_{k=1}^{6} k\) の値を求めよ。
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\(\displaystyle\sum_{k=1}^{5} k^3\) の値を求めよ。
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\(\displaystyle\sum_{k=1}^{4} (3k-1)\) の値を求めよ。
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数列 \(\{a_n\}\) は \(a_1=2\)、階差数列 \(b_n=3n\)(\(b_n=a_{n+1}-a_n\))を満たす。\(a_4\) を求めよ。
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\(a_1=5,\ a_{n+1}=a_n+4\) の一般項を \(a_n=pn+q\) の形で表すとき、\(p,\ q\) を求めよ。
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\(a_1=2,\ a_{n+1}=3a_n\) のとき、\(a_5\) を求めよ。
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\(a_1=4,\ a_{n+1}=2a_n+3\) について、特性方程式の解 \(\alpha\) と \(a_4\) を求めよ。
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等式 \(1+3+5+\cdots+(2n-1)=n^2\) を数学的帰納法で証明する。\(n=1\) のとき左辺・右辺の値、また \(n=6\) のときの右辺の値を求めよ。
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不等式 \(2^n>n\)(\(n\ge1\))を数学的帰納法で証明する。\(n=1\) のときの左辺・右辺、また \(n=5\) のときの左辺・右辺を求めよ。
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すべての自然数 \(n\) について \(n^3-n\) は \(6\) の倍数であることを証明する。\(n=1\) と \(n=2\) のときの値をそれぞれ求めよ。
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3つの数 \(x-2,\ 3x,\ 4x+3\) がこの順に等差数列をなすとき、\(x\) の値を求めよ。
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ある等差数列で、第3項が15、第7項が\(-1\)であるとき、初項から第 \(n\) 項までの和が最大になるときの \(n\) と、その最大値を求めよ。
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数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和が \(S_n=3n^2+n+5\) で表されるとき、\(a_1\) を求めよ。また \(n\ge2\) のときの一般項を \(a_n=pn+q\) の形で表し、\(p,\ q\) を求めよ(この式が \(n=1\) でも成り立つかどうかも確かめること)。
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\(a_1=2,\ a_{n+1}=2a_n+3^n\) の一般項を \(a_n=A\cdot3^{\,n}+B\cdot2^{\,n-1}\) の形で表すとき、\(A,\ B\) と \(a_4\) を求めよ。
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\(a_1=1,\ a_{n+1}=3a_n+2\) の一般項を \(a_n=A\cdot3^{\,n-1}-B\) の形で表すとき、\(A,\ B\) と \(a_5\) を求めよ。
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\(a_1=2,\ a_{n+1}=3a_n-4\) のとき、\(a_{10}\) を求めよ。
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等式 \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} k(k+2)=\dfrac{n(n+1)(2n+7)}{6}\) を数学的帰納法で証明する。\(n=1\) のとき左辺・右辺の値、また \(n=4\) のときの右辺の値を求めよ。
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数列 \(\{a_n\}\) は \(a_1=1\)、階差数列 \(b_n=2^n\)(\(b_n=a_{n+1}-a_n\))を満たす。一般項 \(a_n\) を求め、\(a_6\) を求めよ。
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\(a_1=3,\ a_{n+1}=2a_n-1\) で定められる数列 \(\{a_n\}\) について、一般項を \(a_n=A\cdot2^{\,n-1}+C\) の形に推測したとき、\(A,\ C\) の値を求めよ。また \(a_6\) の値を求めよ。
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\(\dfrac{1}{(3k-2)(3k+1)}=\dfrac{1}{3}\left(\dfrac{1}{3k-2}-\dfrac{1}{3k+1}\right)\) を用いて \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n} \dfrac{1}{(3k-2)(3k+1)}\) を計算すると \(\dfrac{n}{3n+\text{ア}}\) の形になる。アの値と、\(n=8\) のときの値を求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
等差数列の和の公式は「\(S_n\)を逆順に並べて足す」ことで導かれ、等比数列の和の公式は「\(S_n\)と\(rS_n\)の差をとる」ことで導かれる。この2つの導出は一見まったく違う操作に見えるが、実は共通する発想がある。その共通点を、それぞれの導出の要点に触れながら説明せよ。
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この章では、一般項がすぐにはわからない数列を扱うために「階差数列(Σで組み立てる)」「特性方程式(漸化式を等比数列に帰着させる)」「数学的帰納法(推測して証明する)」という3つの道具を学んだ。数列 \(a_1=1,\ a_{n+1}=a_n+3n+1\) の一般項を求めるには、この3つのうちどれが最も適切か、理由とともに述べよ。また実際にその方法で一般項を求めよ。
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花子「これって、数列の考え方が使えそうだね。」
太郎「うん。\(n\)か月目に入れる金額を\(a_n\)円として、まず式で表してみよう。」
\(n\)か月目に入れる金額 \(a_n\) を \(n\) の式で表すと \(a_n=\boxed{\text{アイウ}}\,n+\boxed{\text{エオカ}}\) である。
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先生「\(n\)か月間の貯金の合計金額を\(S_n\)円としよう。」
(1)の結果を用いて \(S_n\) を \(n\) の式で表すと \(S_n=\boxed{\text{キクケ}}\,n^2+\boxed{\text{コサシ}}\,n\) である。
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花子「貯金の合計金額がはじめて10000円を超えるのは何か月目か知りたいな。」
(2)の結果を用いて、\(n=6\) と \(n=7\) のときの \(S_n\) をそれぞれ計算し比べることで、合計金額がはじめて10000円を超えるのは \(n=\boxed{\text{ス}}\) か月目であることがわかる。
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生徒「最初(1回目の測定)の温度は80℃でした。その後1分ごとに測定します。」
先生「ある回の温度と水温4℃との差が、次の回にはちょうど半分になっているとしよう。\(n\)回目の測定での温度を\(a_n\)(℃)とすると、どんな式で表せるかな。」
生徒「\(a_1=80\)、そして\(a_{n+1}-4=\dfrac{1}{2}(a_n-4)\)、つまり\(a_{n+1}=\dfrac{1}{2}a_n+2\)になります。」
この漸化式の特性方程式 \(\alpha=\dfrac{1}{2}\alpha+2\) を解くと、\(\alpha=\boxed{\text{ア}}\) である。これは、時間が十分に経ったときにこの温度が近づいていく値(水温)を表している。
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もとの漸化式と(1)の特性方程式を辺々引くことで、一般項は \(a_n=\boxed{\text{エ}}+\boxed{\text{オカ}}\left(\dfrac{1}{2}\right)^{n-\boxed{\text{キ}}}\) と表せる。エ、オカ、キの値を求めよ。
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(2)の結果を用いて \(n=7\) と \(n=8\) のときの \(a_n\) をそれぞれ計算することで、温度がはじめて5℃以下になるのは \(\boxed{\text{ク}}\) 回目の測定であることがわかる。