この章で学ぶこと
「場合の数と確率」は数学Aの最初の章であり、数学Iで学んだ関数やグラフとは違って、「起こりうる場合をもれなく重複なく数える」という、もう一つの数学の土台を扱う章である。前半(1〜3ページ)で場合の数の数え方——和の法則・積の法則、順列、組合せ——を固め、後半(4〜6ページ)ではその数え方をそのまま土台にして、確率——確率の基本、独立な試行・反復試行、条件付き確率——を学ぶ、という2段構成になっている。ここで身につける「順序を区別するか(順列)・しないか(組合せ)」という視点は、次の第2章「図形の性質」で三角形や円の頂点の選び方を考える場面にもそのまま生きてくる。また期待値や確率の考え方は、数学Bの「統計的な推測」でさらに本格的に発展していく内容の入口にもなっている。公式を丸暗記する前に、まずは樹形図や辞書式順序で自力で書き出せることを大切にしながら、公式は「数えるのが大変になったときの近道」として位置づけて復習しよう。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1〜3で「場合の数(数え方)」を固め、4〜6でそれを土台にした「確率」に進む、という流れになっている。
- 1. 場合の数の数え方(和の法則・積の法則) ― 樹形図・辞書式順序でもれなく重複なく数える基本と、和の法則・積の法則の使い分けを学ぶ。
- 2. 順列 ― \({}_{n}\mathrm{P}_{r}\)・階乗の計算、隣り合う/隣り合わない条件、円順列・じゅず順列・重複順列を学ぶ。
- 3. 組合せ ― \({}_{n}\mathrm{C}_{r}\)の計算・性質、区別のある/なしグループ分け、対角線・最短経路への応用、重複組合せ\({}_{n}\mathrm{H}_{r}\)を学ぶ。
- 4. 確率の基本 ― 確率の定義、順列・組合せを使った確率計算、余事象、和事象・排反、期待値を学ぶ。
- 5. 独立な試行・反復試行 ― 独立な試行の積、反復試行の公式、少なくとも1回起こる確率、ちょうどk回目に成功する確率を学ぶ。
- 6. 条件付き確率 ― 条件付き確率の定義、乗法定理、くじ引きの公平性、原因の確率(結果からさかのぼる)を学ぶ。
要点整理 場合の数の公式一覧
「並べるか、選ぶだけか」「輪の形か、1列か」「重複を許すか」——この3つの軸で公式を整理すると覚えやすい。
円順列(輪の形に並べる) \((n-1)!\) ――回転させて重なる並びをまとめて1通りとみなす
じゅず順列(輪+裏返せる) \(\dfrac{(n-1)!}{2}\) ――円順列からさらに裏返しの分を2で割る
重複順列(同じものを何度でも選べる・並べる) \(n^r\)
組合せ(選ぶだけ・順序を区別しない) \({}_{n}\mathrm{C}_{r} = \dfrac{{}_{n}\mathrm{P}_{r}}{r!} = \dfrac{n!}{r!(n-r)!}\)
重複組合せ(同じものを何度でも選べる・選ぶだけ) \({}_{n}\mathrm{H}_{r} = {}_{n+r-1}\mathrm{C}_{r}\)
「1列に並べる」「順番に引く」「整数をつくる」など、並び順が違えば別物として数える場面。
「円卓に座る」「輪になる」など。回転させて同じになる並びを重複して数えないよう\((n-1)!\)に割る。
「委員会をつくる」「同時に取り出す」など、並び順を考えない場面。
要点整理 「今どれを使う?」の判断フロー
場合の数の問題で迷ったら、次の順番で自問しよう。
それぞれの場合の数を足す(ただし同時に起こる重なりがないか必ず確認)
それぞれの場合の数を掛ける
1列に並べる、順に引く、整数をつくる
委員会・グループをつくる、同時に取り出す
要点整理 確率の公式一覧
余事象 \(P(A) = 1 - P(\overline{A})\) ――「少なくとも1つ」「〜でない」は余事象を疑う
和事象 \(P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B)\) (排反なら\(P(A)+P(B)\))
独立な試行 \(P(A \text{ かつ } B) = P(A) \times P(B)\) ――別々の試行がどちらも起こる
反復試行 \(P(X=r) = {}_{n}\mathrm{C}_{r}\, p^{r}(1-p)^{n-r}\) ――同じ試行を\(n\)回くり返し、ちょうど\(r\)回成功
期待値 \(E(X) = x_1p_1+x_2p_2+\cdots+x_np_n\)
条件付き確率 \(P_A(B) = \dfrac{n(A\cap B)}{n(A)} = \dfrac{P(A\cap B)}{P(A)}\)
乗法定理 \(P(A\cap B) = P(A) \times P_A(B)\)
要点整理 迷ったときのキーワード早見表
問題文の言い回しから、使うべき考え方を逆引きできるようにしておこう。
直接数えず余事象を考えて1から引く
組合せ(順序を考えない)
順列(順序を区別する)
確率は掛け算
確率は足し算
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「3/10」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
大小2つのさいころを同時に投げるとき、出る目の和が8になる場合の数を求めよ。
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シャツが5着、ズボンが3本、靴が2足あるとき、これらを1つずつ選ぶ組み合わせは何通りあるか。
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\({}_{7}\mathrm{P}_{2}\) を求めよ。
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\(7!\) を求めよ。
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9人を円形の机に並べる方法は何通りか。
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\({}_{9}\mathrm{C}_{3}\) の値を求めよ。
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正七角形の対角線は何本あるか。
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赤・青の2色のペンから、重複を許して5本買うとき、買い方は何通りあるか(同じ色を何本買ってもよい)。
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赤玉2個、白玉3個が入った袋から1個取り出すとき、白玉である確率を求めよ。
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1から30までの整数から1つ選ぶとき、3の倍数でない数である確率を求めよ。
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1等300円が2本、2等100円が3本、はずれ0円が5本、合計10本のくじが入った箱から1本引くとき、もらえる金額の期待値を求めよ。
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コインを1回、さいころを1回投げるとき、コインは裏が出て、かつさいころは1の目が出る確率を求めよ。
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コインを5回投げるとき、ちょうど2回表が出る確率を求めよ。
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赤玉3個、白玉2個の合計5個が入った袋から、続けて2個を順に取り出す(戻さない)。1個目が赤玉だったとき、2個目も赤玉である確率を求めよ。
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\(P(A) = \dfrac{2}{5}\)、\(P_A(B) = \dfrac{3}{4}\) のとき、\(P(A\cap B)\) を求めよ。
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男子5人、女子4人の合計9人から4人を選んで委員会を作るとき、女子がちょうど2人選ばれる場合の数を求めよ。
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9人の中から6人を選んで円卓に並べる。特定の2人A、Bが選ばれ、かつ隣り合うような並べ方は何通りか(AとBを除く残り7人の中から、着席させる残り4人を選ぶ)。
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男子4人、女子3人の合計7人が1列に並ぶとき、女子3人が隣り合う確率を求めよ。
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さいころを1回、コインを3回投げる。さいころは6の目が出て、かつコイン3回はすべて同じ面(3回とも表、または3回とも裏)が出る確率を求めよ。
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さいころを5回投げるとき、少なくとも1回は3の倍数の目(3または6)が出る確率を求めよ。
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当たりくじ4本、はずれくじ6本の合計10本の中から、続けて3本を順に引く(戻さない)。(1) 1本目・2本目が続けて当たりだったとき、3本目も当たりを引く確率を求めよ。(2) 1本目から3本目まですべて当たりを引く確率を求めよ。
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赤玉4個、白玉2個の合計6個が入った袋から同時に3個を取り出す。取り出した3個の中に含まれる赤玉の個数を\(X\)とするとき、\(X\)の期待値を求めよ。
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袋Aには赤玉3個・白玉2個(計5個)、袋Bには赤玉1個・白玉4個(計5個)が入っている。さいころを1回投げて、1か2の目が出たら袋Aを、それ以外の目が出たら袋Bを選び、その袋から玉を1個取り出す。取り出した玉が赤玉だったとき、それが袋Aから取り出された確率を求めよ。
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1,2,3,4,5,6の数字が1つずつ書かれた6枚のカードから異なる4枚を選んで4桁の整数をつくるとき、5の倍数は何個できるか。
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1から9までの数字が1つずつ書かれた9枚のカードから同時に3枚を取り出す。取り出した3枚の数字の最大値を\(M\)とするとき、\(M=7\)となる確率を求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
この章では、はじめに「場合の数」(順列・組合せなどの数え方)を学び、そのあとで「確率」を学ぶという順序になっている。なぜ確率を学ぶ前に、まず場合の数の数え方を先に固めておく必要があるのかを、確率の定義の式に触れながら説明せよ。
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次の2つの問題を比較せよ。(1) さいころを6回投げるとき、ちょうど3回「2の目」が出る場合について、6回のうちどの3回が「2の目」になるかのパターンの数を求めよ。(2) 同じ設定で、ちょうど3回「2の目」が出る確率を求めよ。(1)で求めたパターンの数が、(2)の確率の式のどの部分に対応しているかを説明しながら求めよ。
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先生「まず、矢が的に当たる確率を\(\dfrac{3}{5}\)としてゲームの様子を計算してみよう。3本のうちちょうど2本が的に当たる確率を求めてごらん。」
花子「はい、反復試行の公式を使えばいいですね。」
3本のうちちょうど2本が的に当たる場合の数は \({}_{3}\mathrm{C}_{\boxed{\text{ア}}}=\boxed{\text{イ}}\) 通りである。これを用いると、求める確率は \[P = {}_{3}\mathrm{C}_{\boxed{\text{ア}}}\left(\dfrac{3}{5}\right)^{\boxed{\text{ウ}}}\left(\dfrac{2}{5}\right)^{\boxed{\text{エ}}} = \dfrac{\boxed{\text{オカ}}}{\boxed{\text{キクケ}}}\] となる。ア〜ケの値を求めよ。
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先生「今度は、3本のうち的に当たる本数の期待値を求めてみよう。(1)で求めた、ちょうど2本当たる確率\(\dfrac{54}{125}\)もそのまま使えるはずだね。」
矢が的に当たる本数を\(X\)とする。\(X\)がとりうる値は0,1,2,3であり、それぞれの確率を求めて表にまとめると、期待値は \(E(X)=\dfrac{\boxed{\text{コ}}}{\boxed{\text{サ}}}\) 本である。
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先生「1本的中するごとに、100円分の商品券をプレゼントすることにしよう。1回の挑戦(矢3本)でもらえる商品券の金額の期待値を求めてごらん。」
もらえる商品券の金額の期待値は \(\boxed{\text{シスセ}}\) 円である。
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9人から3人を選ぶ方法は全部で \({}_{9}\mathrm{C}_{3}=\boxed{\text{アイ}}\) 通りである。このうち、3人とも男子になる選び方は \({}_{5}\mathrm{C}_{3}=\boxed{\text{ウエ}}\) 通り、3人とも女子になる選び方は \({}_{4}\mathrm{C}_{3}=\boxed{\text{オ}}\) 通りである。男女どちらも少なくとも1人ずつ含まれる選び方は \(\boxed{\text{アイ}}-\boxed{\text{ウエ}}-\boxed{\text{オ}}=\boxed{\text{カキ}}\) 通りである。ア〜キの値を求めよ。
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(1)で求めた、9人から3人を選ぶ\(\boxed{\text{アイ}}=84\)通りの選び方の中から1つを無作為に選び、その3人の中からさらにくじ引きで委員長を1人選ぶとする。このとき、委員長が女子である確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ク}}}{\boxed{\text{ケ}}}\) である。
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(1)で求めた、男女どちらも含まれる\(\boxed{\text{カキ}}=70\)通りのうち、男子2人・女子1人の組み合わせは \({}_{5}\mathrm{C}_{2}\times{}_{4}\mathrm{C}_{1}=\boxed{\text{コサ}}\) 通り、男子1人・女子2人の組み合わせは \({}_{5}\mathrm{C}_{1}\times{}_{4}\mathrm{C}_{2}=\boxed{\text{シス}}\) 通りである。「男女どちらも含まれる」という条件のもとで、選ばれた3人が男子2人・女子1人である条件付き確率を求めると \(\dfrac{\boxed{\text{セ}}}{\boxed{\text{ソ}}}\) である。