この章で学ぶこと
この章では、これまでの「1つの図形・1つの式に正確な値を求める」数学から一歩進んで、集団としてのデータをどう要約し、どう比較し、どう判断するかを学ぶ。第4章「図形と計量(三角比)」までは対象がいつも1つに定まっていたが、この章で扱うデータには必ず「ばらつき」があり、代表値・四分位数・分散・標準偏差といった道具を使って、その集団の特徴を1つの数値や1枚の図(箱ひげ図・ヒストグラム・散布図)で表現する練習をする。さらに相関係数で2つの数量の関係の強さを数値化し、仮説検定の考え方で「たまたま起きたことなのか、それとも意味のある違いなのか」を基準にもとづいて判断する視点まで身につける。数Iはこの章で一区切りとなり、次は数A「場合の数と確率」に進むが、ここで身につけた「データを整理し、数値の基準で判断する」見方は、数B「統計的な推測」でさらに本格的に発展していく。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1で「データを1つの数・1枚の図でどう要約するか」を学び、2で「散らばりの大きさをどう数値にするか」を学び、3で「2つの数量の関係をどう調べ、どう判断するか」に進む、という流れになっている。
- 1. 代表値・四分位数・箱ひげ図 ― 平均値・中央値・最頻値の使い分けと、四分位数の求め方、箱ひげ図による散らばりの比較のしかたを学ぶ。
- 2. 分散と標準偏差 ― 偏差・分散・標準偏差でデータの散らばりを数値にする方法と、全員に同じ数を足す・掛けるとき平均や分散がどう変化するかを学ぶ。
- 3. 相関係数・仮説検定の考え方 ― 2つの数量の関係の強さを表す相関係数の求め方・性質と、「めったに起こらないことが起きた」を基準に判断する仮説検定の考え方を学ぶ。
要点整理 代表値・四分位数・箱ひげ図(データを要約する)
「ひとつの数」でデータを代表させる方法は1つではない。テスト前は、まずどの代表値がどんな性格を持つかを思い出そう。
平均値 全データの値を使うので情報量は多いが、極端に大きい・小さい値(外れ値)1つに大きく引っぱられる。
中央値 順番だけで決まるので外れ値があっても動きにくい。「実態に近い代表値」がほしいときに使う。
最頻値 いちばん度数が多い値(ヒストグラムでは、その階級の階級値)。「いちばん典型的な値」を知りたいときに使う。
要点整理 分散・標準偏差と変換のルール(散らばりを数値にする)
代表値だけでは「散らばりの大きさ」はわからない。分散・標準偏差はそれを数値にする道具であり、データ全体を変換したときの動き方には、はっきりした規則がある。
平均:\(\bar x+a\)
分散:変わらない
標準偏差:変わらない
平均:\(b\bar x\)
分散:\(b^2\)倍
標準偏差:\(|b|\)倍
要点整理 相関係数・仮説検定の考え方(2つの量の関係を調べ、数値で判断する)
見た目の印象(右上がり・右下がり)を数値にするのが相関係数、「めったに起こらないことが起きた」を数値の基準で判断するのが仮説検定。どちらも「印象ではなく数値で判断する」という考え方でつながっている。
性質1 \(-1\le r\le1\)(この範囲を超えたら計算ミス)
性質2 単位を変えても\(r\)は変わらない
性質3 外れ値がひとつ混ざるだけで大きく変わることがある
性質4 相関があっても、因果関係があるとは限らない
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように、根号は「2√6」または「2sqrt6」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
9人のバドミントン部員のサーブ練習の成功本数:\(15,\ 22,\ 19,\ 25,\ 18,\ 20,\ 24,\ 17,\ 21\)。中央値を求めよ。
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次の11個のデータについて、\(Q_1\)・\(Q_3\)・四分位範囲を求めよ:\(5,9,12,15,18,20,23,26,29,31,34\)
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次の8個のデータについて、\(Q_1\)・\(Q_3\)・四分位範囲を求めよ:\(4,9,11,14,16,19,21,25\)
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次の7個のデータについて、平均値と中央値を求めよ:\(3,4,5,5,6,7,40\)
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30人の小テストの得点の分布を表したヒストグラムである。最頻値が含まれる階級の階級値を求めよ。
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1組の小テスト結果を表した箱ひげ図である。中央値と第3四分位数を読み取れ。
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データ\(7,\ 7,\ 13,\ 13\)について、平均・分散・標準偏差を求めよ。
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データ\(3,\ 3,\ 3,\ 11,\ 11,\ 11\)(6個)の分散を、\(\overline{x^2}-(\bar x)^2\)の公式で求め、標準偏差も答えよ。
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あるデータの平均は\(18\)、分散は\(9\)である。全員に\(7\)を加えると、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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あるデータの平均は\(8\)、分散は\(5\)である。全員を\(3\)倍すると、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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4人の生徒の練習時間\(x\)(時間)と、その後の小テストの得点\(y\)(点)は\(x=1,3,5,7\)、\(y=2,5,6,11\)であった(生徒の順は対応している)。共分散\(S_{xy}\)を求めよ。
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あるデータについて、\(x\)の標準偏差\(S_x=2.5\)、\(y\)の標準偏差\(S_y=4\)、共分散\(S_{xy}=-7\)であった。相関係数\(r\)を求めよ。
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次の散布図は、7人の1日の自習時間(時間)と定期テストの合計点(点)の関係を表したものである。相関の種類を「正」「負」「なし」のいずれかで答えよ。
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次の値\(0.95,\ -1.2,\ 0,\ 1.05,\ -0.6\)のうち、相関係数の値としてありえないものを、小さい順にコンマ区切りで全て答えよ。
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友達が「このコインは公正だ(表が出る確率0.5)」と言うので、20回投げてみたところ表が17回出た。公正なコインを20回投げる実験を1000回シミュレーションした結果(の一部)を下の表に示す。「20回中17回以上表が出る」割合(%)を求め、5%を基準に「このコインは公正である」という仮説を棄却できるか判断せよ。
| 表の枚数 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 1000回中の回数 | 176 | 160 | 120 | 74 | 37 | 15 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 |
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P組・Q組の小テスト結果を表した箱ひげ図である。それぞれの四分位範囲を求め、どちらの組の方が成績が「そろっている」(散らばりが小さい)と言えるか、P・Qの記号で答えよ。
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あるデータの平均は\(12\)、分散は\(8\)である。全員を\(-2\)倍してから\(5\)を引いた新しいデータ(\(y=-2x-5\))の平均・分散・標準偏差を求めよ。
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生徒15人のグループAの小テストの平均点は\(72\)点、生徒25人のグループBの平均点は\(84\)点であった。AとBを合わせた全体の平均点を求めよ。
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生徒6人のグループAは平均\(5\)点・分散\(3\)、生徒4人のグループBは平均\(10\)点・分散\(3\)であった。AとBを合わせた10人全体の平均点と分散を求めよ。
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5人の生徒の1回目のテスト得点\(x\)(点)と2回目のテスト得点\(y\)(点)は\(x=10,20,30,40,50\)、\(y=30,10,50,20,40\)であった(生徒の順は対応している)。共分散\(S_{xy}\)と相関係数\(r\)を求めよ。
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相関係数についての次の記述のうち、正しいものを全て選び、番号を小さい順にコンマ区切りで答えよ。
1.単位を変えると相関係数の値は必ず変化する
2.相関係数は常に\(-1\)以上\(1\)以下の値をとる
3.外れ値が1つ混ざっても相関係数の値は変化しない
4.相関係数の絶対値が\(1\)に近いほど、直線的な関連が強い
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友達が持ってきたサイコロについて「6の目が出やすい」と主張したので、40回投げてみたところ6の目が11回出た。次の表は、公正なサイコロ(6の目が出る確率\(\dfrac16\))で40回投げる実験を1000回シミュレーションした結果(の一部)である。「40回中11回以上6の目が出る」割合(%)を求め、5%を基準に「このサイコロは公正である」という仮説を棄却できるか判断せよ。
| 6の目の回数 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 1000回中の回数 | 167 | 162 | 134 | 95 | 59 | 32 | 16 | 7 | 3 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
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あるゲームアプリのユーザー13人の1週間のプレイ時間(分、小さい順):\(12,15,18,20,22,24,26,28,30,32,34,36,75\)。\(Q_1\)・\(Q_3\)・上側の基準値を求め、\(75\)分が外れ値と言えるか判定せよ。
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あるクラス20人の小テストの平均点は\(50\)点、標準偏差は\(6\)点であった。全員の点数を\(1.5\)倍にしたあと、\(10\)点を一律に加える特別採点を行った(先に\(1.5\)倍、その後に\(+10\))。最終的な平均点・分散・標準偏差を求めよ。
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9人が参加したマラソン大会の記録(分、すでに小さい順に並んでいる):\(38,40,42,44,46,48,50,52,90\)。(1) 平均値、(2) \(Q_1\)・中央値・\(Q_3\)・四分位範囲、(3) 1.5×IQR基準で\(90\)分の記録が外れ値と言えるかを求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
平均値・中央値・分散・標準偏差は、どれも「データの特徴を1つの数値にまとめる」道具である。これらを「外れ値に対する強さ」という観点から比較し、どのような場面でどれを使うべきかを説明せよ。
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相関係数と仮説検定は、一見すると別々の技術に見えるが、どちらも「見た目の印象だけで判断せず、数値の基準で判断する」という共通の考え方にもとづいている。それぞれ具体例を1つずつ挙げながら、この共通点を説明せよ。
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Aクラスの5人分のスコアについて、平均値\(\bar x=\boxed{\text{アイ}}\)点、偏差の2乗の和は\(\boxed{\text{ウエオ}}\)、分散は\(V=\boxed{\text{カキ}}\)である。また、標準偏差は\(s=\boxed{\text{ク}}\)である(根号を用いて表せ)。
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太郎「後日、この5人には一律\(5\)点のボーナス点を追加することになりました。」
ボーナス点を追加した後の平均点は\(\boxed{\text{ケコ}}\)点、分散は\(\boxed{\text{サシ}}\)である。
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花子「隣のBクラスでも同じアンケートを5人からとったところ、\(75,\ 79,\ 80,\ 81,\ 85\)点でした。」
Bクラスの平均値は\(\boxed{\text{スセ}}\)点、分散は\(\boxed{\text{ソタ}}\)である。また、Aクラス(ボーナス点追加前、分散\(24\))とBクラスでは、どちらのスコアがより「そろっている」(散らばりが小さい)と言えるか、\(\boxed{\text{チ}}\)に\(A\)・\(B\)の記号で答えよ。
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\(\bar x=\boxed{\text{アイ}}\)℃、\(\bar y=\boxed{\text{ウエ}}\)人である。共分散は\(S_{xy}=\boxed{\text{オカ}}\)、相関係数は\(r=\boxed{\text{キ}}\)である。
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花子「相関係数が\(0.9\)ということは、かなり強い正の相関ですね。ここで、\(x\)の単位を℃からF(華氏)に変える(\(x'=1.8x+32\)という変換)と、\(r\)の値はどうなるでしょうか。」
相関係数の性質を用いて、単位を変換した後の相関係数は\(r'=\boxed{\text{ク}}\)であることを答えよ。
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先生「実は、このアンケートには\(6\)日目の記録もありました。ただしこの日は大雨で模擬店を早めに閉めてしまい、気温は\(30\)℃と高かったのに、来場者数はわずか\(10\)人でした。」
花子「(1)では\(r=0.9\)というかなり強い正の相関でしたよね。この\(6\)日目のデータ(\(x=30,\ y=10\))を加えても、同じように強い相関になるんでしょうか。」
\(6\)日分のデータ\(x=20,22,24,26,28,30\)、\(y=34,37,43,40,46,10\)について、新しい平均は\(\bar x=\boxed{\text{ケコ}}\)℃、\(\bar y=\boxed{\text{サシ}}\)人、共分散は\(S_{xy}=\boxed{\text{ス}}\)である(\(S_{xy}\)は符号もつけて入力せよ)。また、この\(6\)日分で相関係数を計算し直すと、符号は\(\boxed{\text{セ}}\)(正・負・なしのいずれか)になる。