STEP 1

もれなく重複なく数える(樹形図・辞書式順序)

場合の数を求めるときにいちばん怖いのは「数え忘れ」と「同じものを2回数えてしまうこと」。この2つを防ぐ武器が樹形図辞書式順序。手を動かして全部書き出せば、頭の中だけで数えるより確実に正しく数えられる。

樹形図の例:あ・い・うの3人から代表1人・副代表1人を選ぶ(同じ人は選べない)
代表を決める(3通り)
代表:あ
副代表:い → (あ,い)
副代表:う → (あ,う)
代表:い
副代表:あ → (い,あ)
副代表:う → (い,う)
代表:う
副代表:あ → (う,あ)
副代表:い → (う,い)

枝分かれの先を全部書き出すと (あ,い) (あ,う) (い,あ) (い,う) (う,あ) (う,い) の6通り。この並べ方のように「最初の文字のアルファベット(五十音)順」に機械的に書き出す方法を辞書式順序という。順番を決めてリストアップすれば、もれも重複も起きない。

例題 大小2つのさいころを同時に投げるとき、出る目の和が5になる場合の数を求めよ。

解答を見る
(大の目, 小の目) の形で、大の目が小さい順(辞書式順序)にすべて書き出す。 大=1のとき小=4 → (1,4) 大=2のとき小=3 → (2,3) 大=3のとき小=2 → (3,2) 大=4のとき小=1 → (4,1) 大=5,6のときは小が0以下や負になり不可。 目の和が5になる場合の数は4通り
STEP 2

和の法則(同時に起こらない場合分け)

「事象Aの起こり方が\(m\)通り」「事象Bの起こり方が\(n\)通り」あり、AとBが同時には起こらない(重ならない)とき、「AまたはBが起こる場合の数」は \(m+n\) 通り。これを和の法則という。

和の法則が使える条件 AとBが同時に起こらない(排反)こと。「または」で場合分けするときは、まずその場合分けどうしが重ならないかを確認する。

例題1 1組52枚のトランプから1枚引くとき、絵柄がハートまたはクラブである場合の数を求めよ。

解答を見る
ハートは13枚、クラブは13枚。1枚のカードがハートとクラブを同時に満たすことはない(同時に起こらない)ので和の法則が使える。 13 + 13 = 26通り

例題2 大小2つのさいころを同時に投げるとき、目の和が4以下になる場合の数を求めよ。

解答を見る
「和が4以下」は「和が2」「和が3」「和が4」のいずれかで、これらは同時には起こらない(排反)ので和の法則が使える。それぞれSTEP1と同じように書き出す。 和が2:(1,1) → 1通り 和が3:(1,2)(2,1) → 2通り 和が4:(1,3)(2,2)(3,1) → 3通り 1 + 2 + 3 = 6通り
注意 AとBが同時に起こることがある(重なりがある)場合は、そのまま足すと重なった分を二重に数えてしまう。例えば「1〜9の数字のうち3の倍数または偶数」は6が両方に当てはまるため、単純な和の法則は使えず、直接すべて書き出して数える必要がある。

緑の部分(A∩B)が「AとBが同時に起こる場合」。ここが空でない(重なりがある)ときは、和の法則をそのまま使えない。

STEP 3

積の法則(連続する選択)

「まずAの決め方が\(m\)通りあり、Aの決め方に関係なく次にBの決め方が\(n\)通りある」とき、「AとBを続けて決める場合の数」は \(m \times n\) 通り。これを積の法則という。STEP1の樹形図と違い、どの枝からも同じ数だけ枝分かれするのが特徴。

樹形図で見る積の法則:シャツ3着(A,B,C)・ズボン2本(甲,乙)の組み合わせ
シャツを決める(3通り)
シャツ:A
ズボン甲 → (A,甲)
ズボン乙 → (A,乙)
シャツ:B
ズボン甲 → (B,甲)
ズボン乙 → (B,乙)
シャツ:C
ズボン甲 → (C,甲)
ズボン乙 → (C,乙)
どの枝も必ず2つに分かれる(ズボンの選び方はシャツが何であっても変わらない)ので、\(3 \times 2 = 6\)通りとまとめて計算できる。

例題1 シャツが4着、ズボンが3本あるとき、組み合わせは何通りあるか。

解答を見る
シャツの決め方4通りのどれに対しても、ズボンの決め方は3通り。 4 × 3 = 12通り

例題2 A地点からB地点への道が3通り、B地点からC地点への道が2通りあるとき、AからCへ行く道順は何通りあるか。

解答を見る
A→Bの選び方3通りのどれに対しても、B→Cの選び方は2通り。 3 × 2 = 6通り
STEP 4

和と積の使い分け+約数の個数への応用

場合の数の問題は「今、和の法則を使う場面か、積の法則を使う場面か」を見極めるのが最大のコツ。判断基準はシンプル。

「または」で場合分けしている?(同時に起こらない場合分け)
YES → 和の法則
それぞれの場合の数を足す
NO(続けて決めている)→ 積の法則
それぞれの場合の数を掛ける
注意 「または」でも同時に起こる可能性がある(重なりがある)場合は、そのまま足してはいけない(STEP2の注意を参照)。丸暗記ではなく、毎回「同時に起こる場合はないか」を確認する。

積の法則は、約数の個数を求めるときにも使える。

例題 \(72\) の正の約数の個数を求めよ。

解答を見る
まず素因数分解する:\(72 = 2^3 \times 3^2\) \(72\) の正の約数は、必ず \(2^p \times 3^q\)(\(p,q\) は0以上の整数)の形で表せる。 \(p\) の選び方は \(0,1,2,3\) の4通り(\(2\)の指数) \(q\) の選び方は \(0,1,2\) の3通り(\(3\)の指数) \(p\)の選び方と\(q\)の選び方は独立(\(p\)を何に選んでも\(q\)の選び方は変わらない)なので積の法則が使える。 4 × 3 = 12個
練習問題(全18問)

答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。個数はそのまま整数で入力しよう。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜7)
1
樹形図・積の法則の準備

硬貨を3回投げるとき、表裏の出方は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
1回ごとに表・裏の2通り。3回とも樹形図で書き出すと \(2\times2\times2=8\) 通り。 8通り
2
もれなく重複なく(辞書式)

大小2つのさいころを同時に投げるとき、出る目の和が7になる場合の数を求めよ。

場合の数
解説を見る
大の目が小さい順に書き出す:(1,6)(2,5)(3,4)(4,3)(5,2)(6,1) 6通り
3
和の法則(排反)

1個のさいころを1回投げるとき、出る目が1または6である場合の数を求めよ。

場合の数
解説を見る
目が1になる場合と6になる場合は同時に起こらない(排反)ので和の法則が使える。 1 + 1 = 2通り
4
和の法則(3つの場合分け)

赤玉4個・白玉3個・青玉2個が入った袋から玉を1個取り出すとき、玉の取り出し方は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
赤・白・青のどれを取り出すかは同時には起こらない(排反)ので和の法則が使える。 4 + 3 + 2 = 9通り
5
積の法則

シャツが3着、ズボンが4本あるとき、組み合わせは何通りあるか。

場合の数
解説を見る
シャツの決め方3通りのどれに対しても、ズボンの決め方は4通り。 3 × 4 = 12通り
6
積の法則(道順)

A地点からB地点へ行く道が2通り、B地点からC地点へ行く道が3通りある。AからCまで行く道順は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
A→Bの選び方2通りのどれに対しても、B→Cの選び方は3通り。 2 × 3 = 6通り
7
積の法則(3段階)

大中小3個のさいころを同時に投げるとき、目の出方は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
大・中・小それぞれ独立に6通りずつ出る。 6 × 6 × 6 = 216通り
標準(8〜14) ※パターンは自分で判定
8

定食のメニューが、主食3種類・汁物2種類・飲み物4種類から1つずつ選べるとき、組み合わせは何通りあるか。

場合の数
解説を見る
主食・汁物・飲み物の選び方はそれぞれ独立に決まる(続けて決める=積の法則)。 3 × 2 × 4 = 24通り
9

1から20までの整数から1つ選ぶとき、5の倍数または7の倍数である数は何個あるか。

個数
解説を見る
5の倍数:5,10,15,20 → 4個 7の倍数:7,14 → 2個 5と7の公倍数は35で、20以下には現れないので重なりはない(排反)→和の法則が使える。 4 + 2 = 6個
10

\(60\) の正の約数の個数を求めよ。

個数
解説を見る
\(60 = 2^2 \times 3 \times 5\) 指数の選び方は、\(2\)の指数が \(0,1,2\) の3通り、\(3\)の指数が \(0,1\) の2通り、\(5\)の指数が \(0,1\) の2通りで、それぞれ独立。 3 × 2 × 2 = 12個
11

\(96\) の正の約数の個数を求めよ。

個数
解説を見る
\(96 = 2^5 \times 3\) \(2\)の指数は \(0,1,2,3,4,5\) の6通り、\(3\)の指数は \(0,1\) の2通り。 6 × 2 = 12個
12

さいころを1回投げ、偶数が出たら赤玉5個から1個、奇数が出たら白玉3個から1個を取り出す。目の出方と玉の取り出し方を合わせた場合の数を求めよ。

場合の数
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偶数の目(2,4,6の3通り)が出るときは、それぞれ赤玉5通りの取り出し方があるので \(3\times5=15\)通り。 奇数の目(1,3,5の3通り)が出るときは、それぞれ白玉3通りの取り出し方があるので \(3\times3=9\)通り。 偶数が出る場合と奇数が出る場合は同時に起こらない(排反)ので和の法則が使える。 15 + 9 = 24通り
13

A地点からB地点への道が2通り、B地点からC地点への道が2通り、C地点からD地点への道が3通りある。AからDまで行く道順は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
各区間の選び方は独立に決まるので積の法則が使える。 2 × 2 × 3 = 12通り
14

大小2つのさいころを同時に投げるとき、出る目の和が4以下になる場合の数を求めよ。

場合の数
解説を見る
「和が2」「和が3」「和が4」は同時には起こらない(排反)ので和の法則が使える。 和が2:(1,1) → 1通り 和が3:(1,2)(2,1) → 2通り 和が4:(1,3)(2,2)(3,1) → 3通り 1 + 2 + 3 = 6通り
挑戦(15〜18)
15
重なりがある場合は直接数える

1から9までの数字が1つずつ書かれた9枚のカードから1枚引くとき、3の倍数または偶数である場合の数を求めよ。

場合の数
解説を見る
3の倍数:3,6,9(3個) 偶数:2,4,6,8(4個) 6は3の倍数でも偶数でもあり、同時に起こる(排反ではない)ので単純に足すと重複してしまう。 そこで、あてはまる数を直接すべて書き出す:2,3,4,6,8,9 6個
16
道順(行きと帰りで同じ道を使わない)

A地点からB地点への道が3通り、B地点からC地点への道が2通りある。AからBを通ってCまで行き、その後、行きに使った道は使わずにC→B→Aと戻るとき、行き帰り全体の道順は何通りあるか。

場合の数
解説を見る
行き:A→Bが3通り、B→Cが2通りで、独立に決まるので \(3\times2=6\)通り。 帰り:C→Bは行きに使った1通りを除いた \(2-1=1\)通り、B→Aは行きに使った1通りを除いた \(3-1=2\)通りで、独立に決まるので \(1\times2=2\)通り。 行きの決め方と帰りの決め方は続けて決まる(積の法則)。 6 × 2 = 12通り
17
約数の個数+補集合的な考え方

\(100\) の正の約数のうち、偶数であるものは何個あるか。

個数
解説を見る
\(100 = 2^2 \times 5^2\) 正の約数の総数:\(2\)の指数が \(0,1,2\) の3通り、\(5\)の指数が \(0,1,2\) の3通りで \(3\times3=9\)個。 このうち奇数の約数は、\(2\)の指数が \(0\) のものだけ(\(5^0,5^1,5^2\))なので3個。 偶数の約数は、全体から奇数の約数を除けばよい。 9 − 3 = 6個
18
カードで整数をつくる(一の位から決める)

1,2,3,4,5の数字が1つずつ書かれた5枚のカードから異なる2枚を選んで2桁の整数をつくるとき、偶数は何個できるか。

個数
解説を見る
偶数かどうかは一の位で決まるので、一の位から先に決める。 一の位:偶数の2,4のどちらか → 2通り 十の位:残り4枚のカードのどれか → 4通り(一の位で使ったカードは使えない) 一の位の決め方と十の位の決め方は続けて決まる(積の法則)。 2 × 4 = 8個
応用問題(プリント限定)

ここから先はPDF限定の腕試し。入試の基礎レベルに挑戦しよう。

応1
3つの事象の組み合わせ

大中小3個のさいころを同時に投げるとき、出た目の積が奇数になる場合の数を求めよ。

場合の数
解説を見る
3つの目の積が奇数になるのは、大・中・小のすべての目が奇数(1,3,5のいずれか)のときだけ(1つでも偶数の目があれば積は偶数になる)。 大の目の選び方:1,3,5の3通り 中の目の選び方:1,3,5の3通り 小の目の選び方:1,3,5の3通り 3つとも独立に決まるので積の法則が使える。 3 × 3 × 3 = 27通り
応2
支払える金額の種類(硬貨)

10円硬貨3枚、100円硬貨2枚を持っているとき、これらの硬貨の一部または全部を使って支払うことができる金額は何通りあるか(0円の場合は除く)。

場合の数
解説を見る
10円硬貨の使う枚数は \(0,1,2,3\) 枚の4通り(金額にすると \(0,10,20,30\)円)。 100円硬貨の使う枚数は \(0,1,2\) 枚の3通り(金額にすると \(0,100,200\)円)。 10円硬貨だけでどんなに集めても最大30円で、100円には届かないので、10円側の金額と100円側の金額が同じになることはない(金額が重ならない)。 よって10円側の決め方と100円側の決め方は独立に決まり、組み合わせは \(4\times3=12\)通り。 このうち「10円0枚・100円0枚」=0円の場合を除く。 12 − 1 = 11通り
応3
整数の個数(3桁で各位が異なる)

0,1,2,3,4の数字が1つずつ書かれた5枚のカードから異なる3枚を選んで3桁の整数をつくるとき、何個できるか。

個数
解説を見る
百の位に0は使えないので、決めにくい百の位から先に決める。 百の位:0を除く1,2,3,4のどれか → 4通り 十の位:百の位で使ったカードを除く残り4枚のどれか(0も使える)→ 4通り 一の位:残り3枚のどれか → 3通り それぞれ続けて決まるので積の法則が使える。 4 × 4 × 3 = 48個
応4
3つの事象の組み合わせ

3試合のサッカーの試合を行い、各試合の結果は「勝ち」「引き分け」「負け」のいずれかであるとする。(1) 3試合の結果の組み合わせは何通りあるか。(2) 3試合の結果がすべて異なる(勝ち・引き分け・負けが1回ずつになる)場合の数を求めよ。

(1) 通り (2) 通り
解説を見る
(1) 各試合の結果は他の試合と関係なく独立に3通りずつ決まる。 \(3\times3\times3=27\)通り (2) 「勝ち・引き分け・負け」の3種類を3試合に1回ずつ割り当てると考える。 1試合目の結果の割り当て方:3通り 2試合目:残り2通り 3試合目:残り1通り 続けて決まるので積の法則が使える。 \(3\times2\times1=6\)通り (1) 27通り (2) 6通り
応5
重なりを引く(和の法則が使えない場合)

1から100までの整数のうち、3の倍数でも5の倍数でもない数は何個あるか。

個数
解説を見る
3の倍数:\(100\div3=33\) あまりありなので33個 5の倍数:\(100\div5=20\) なので20個 3の倍数でも5の倍数でもある数(15の倍数):\(100\div15=6\) あまりありなので6個(3の倍数と5の倍数は同時に起こることがあるので、単純に足すと15の倍数を2回数えてしまう) 「3の倍数または5の倍数」の個数は、重なった分を1回分引いて \(33+20-6=47\)個。 求めるのは「3の倍数でも5の倍数でもない数」なので、全体からこれを引く。 100 − 47 = 53個