この章で学ぶこと
「図形の性質」は数学Aの2番目の章であり、直前の「場合の数と確率」で身につけた「もれなく重複なく数える」姿勢とは違って、図形の中に隠れた不変の関係——比・角度・長さの積——を、根拠を積み重ねて見つけ出す章である。1ページでは三角形の中にできる特別な点(重心・内心・外心)と、そこにできる比や長さの性質を学ぶ。2ページではその視点を広げて、3本の線分が1点に集まるとき(チェバの定理)や、1本の直線が3辺を切り取るとき(メネラウスの定理)に成り立つ比の関係を学び、面積比への応用にもつなげる。3ページでは円周角・内接四角形・接線・方べきの定理という、円にまつわる性質を一通り整理し、4ページでは定規とコンパスだけで正確な図形をかく「作図」と、平面を飛び出した空間図形(ねじれの位置・オイラーの多面体定理)を扱う。ここで身につける「角度や比を、根拠を示しながら追いかける」という論証の感覚は、数学Iの正弦定理・余弦定理とも自然につながっており、次の章「整数の性質」で整数の性質を論理的に絞り込んでいく考え方の土台にもなる。公式を丸暗記する前に、まずは図をかいて「なぜそう言えるのか」を目で確かめながら復習しよう。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1で三角形の中の特別な点、2でその応用にあたる比の定理、3で円の性質、4で作図と空間図形へと話題が進んでいく。
- 1. 三角形の性質(二等分線・重心・内心・外心) ― 角の二等分線と比の定理、重心を2:1に内分する性質、内心と内接円の半径、外心と外接円の半径、直角三角形の外心が斜辺の中点になることを学ぶ。
- 2. チェバの定理・メネラウスの定理 ― 3本の線分が1点に集まるときの比の関係(チェバ)と、1本の直線が3辺を切るときの比の関係(メネラウス)、両者の使い分け、面積比への応用を学ぶ。
- 3. 円の性質(円周角・接弦定理・方べき) ― 円周角の定理、円に内接する四角形の性質、接線の長さと接弦定理、方べきの定理(2弦・2割線・接線と割線の3型)、2円の位置関係を学ぶ。
- 4. 作図と空間図形 ― 垂直二等分線・角の二等分線・垂線の作図、空間内の直線と平面の位置関係(ねじれの位置を含む)、オイラーの多面体定理と正多面体が5種類しかない理由を学ぶ。
要点整理 三角形の「4つの心」比較
三角形の中には、3本の特別な線が1点に集まってできる点が何種類もある。「どの3本の線が集まるか」「その点にどんな性質があるか」を表で並べて、混同しないように整理しておこう。
| 名前 | 交わる3本の線 | 性質 | 三角形の内部にあるか |
|---|---|---|---|
| 重心 G | 3本の中線 | 各中線を頂点側から2:1に内分 | 必ず内部 |
| 内心 I | 3つの内角の二等分線 | 3辺までの距離が等しい(内接円の中心、\(r=\dfrac{S}{s}\)。Sは三角形の面積、sは半周長=3辺の和の半分) | 必ず内部 |
| 外心 O | 3辺の垂直二等分線 | 3頂点までの距離が等しい(外接円の中心) | 鋭角三角形:内部/直角三角形:斜辺の中点/鈍角三角形:外部 |
| (参考)垂心 H | 各頂点から対辺への3本の垂線 | 外心・重心・垂心はいつも一直線上に並ぶ(オイラー線) | 三角形の形によって内部・外部が変わる |
要点整理 比の定理の使い分け
「角の二等分線と比」「チェバの定理」「メネラウスの定理」は、どれも三角形の辺を分ける点の比を扱う。図に出てくる線の本数と、点の個数を見れば迷わず判別できる。
頂点からの二等分線1本と対辺の交点の比:\(BD:DC=AB:AC\)
3本の線分(またはその延長)が1点で交わる:\(\dfrac{BD}{DC}\times\dfrac{CE}{EA}\times\dfrac{AF}{FB}=1\)
1本の直線が3辺(の延長を含む)を切る:式の形はチェバと同じだが、延長上の点が必ず1個か3個
要点整理 円の性質一覧
円に内接する四角形 対角の和は\(180^\circ\)。1つの内角の外角は、向かい合う(隣接しない)内角に等しい。
接線と接弦定理 円外の1点から引いた2本の接線の長さは等しい。接点における半径は接線と垂直。接線と弦がつくる角は、反対側の弧に対する円周角に等しい(接弦定理)。
方べきの定理は、点Pが円の内部にあるか外部にあるかで見た目は変わるが、式の形は同じ「Pから測った2つの距離の積」。
\(PA \times PB = PC \times PD\)
\(PA \times PB = PC \times PD\)(近い交点×遠い交点)
\(PT^2 = PA \times PB\)
要点整理 作図と空間図形の要点
1. 一直線上にない3点
2. 1直線とその上にない1点
3. 交わる2直線
4. 平行な2直線
平行(同じ平面上・交わらない)
交わる(同じ平面上・1点で交わる)
ねじれの位置(そもそも同じ平面上にない)
平行(共有点なし)
交わる(共有部分は必ず1本の直線)
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「3/4」、根号は「√5」または「sqrt5」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
三角形ABCで \(AB=10,\ AC=15,\ BC=20\)。∠Aの二等分線がBCと交わる点をDとするとき、BD, DCの長さを求めよ。
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三角形ABCの重心をGとする。中線AM(頂点Aから辺BCの中点Mまで)の長さが\(27\)のとき、AG, GMの長さを求めよ。
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3辺が\(9,\ 12,\ 15\)の直角三角形の内接円の半径\(r\)を求めよ。
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3辺が\(7,\ 24,\ 25\)の直角三角形の外接円の半径\(R\)を求めよ。
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三角形ABCで、3直線AD, BE, CFが1点で交わっている。\(BD:DC=5:4\)、\(CE:EA=3:2\)のとき、\(AF:FB\)を求めよ。
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1本の直線が、辺BC上の点D、辺CA上の点Eを通り、辺ABの延長上の点Fを通っている。\(BD:DC=2:5\)、\(CE:EA=3:1\)のとき、\(AF:FB\)を求めよ。
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円Oにおいて、弧ABに対する中心角が\(130^\circ\)であるとき、弧ABに対する円周角∠APBを求めよ。
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円に内接する四角形ABCDにおいて、\(\angle A=110^\circ\)である。\(\angle C\)を求めよ。
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円Oの外部の点Pから円に2本の接線を引き、接点をそれぞれA, Bとする。\(PA=9\)のとき、\(PB\)を求めよ。
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円の内部の点Pで2本の弦AB, CDが交わっている。\(PA=5,\ PB=8,\ PC=4\)のとき、\(PD\)を求めよ。
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円Oの外部の点Pから接線PT(Tは接点)と割線を引く。割線は円とA(近い方), B(遠い方)で交わり、\(PA=4,\ AB=12\)である。\(PT\)を求めよ。
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立方体ABCD-EFGH(前面ABCD、後面EFGH、AE・BF・CG・DHが奥行きの辺)において、辺AEと平行な辺(辺AE自身は除く)は何本あるか。
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ある凸多面体の頂点の数は\(V=10\)、辺の数は\(E=15\)である。オイラーの多面体定理を使って、面の数\(F\)を求めよ。
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空間内に、互いに平行な2本の直線がある。この2直線を含む平面はいくつあるか。
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3辺が\(10,\ 24,\ 26\)の直角三角形の外接円の半径\(R\)を求めよ。
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三角形ABCの辺BCの中点をD、辺AB上の点をF(\(AF:FB=3:1\))とする。3直線AD, BE, CFが1点で交わるように辺CA上に点Eをとるとき、\(CE:EA\)を求めよ。
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円の内部の点Pを通る2本の弦があり、一方は\(PA=x,\ PB=x+3\)、他方は\(PC=6,\ PD=9\)である。方べきの定理を用いて\(x\)の値を求めよ(\(x\)は正の実数とする)。
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円Oの外部の点Pから接線PT(Tは接点)と割線を引く。割線は円とA(近い方), B(遠い方)で交わり、\(AB=5,\ PT=6\)である。\(PA(=x)\)の値を求めよ(\(x\)は正の実数とする)。
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正二十面体は頂点の数\(V=12\)、辺の数\(E=30\)である。オイラーの多面体定理を用いて、面の数\(F\)を求めよ。
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三角形ABCで\(AB=14,\ AC=21,\ BC=25\)。∠Aの外角の二等分線が、辺BCの延長と交わる点をEとする(Eは辺BCの外側、B側の延長上にある)。BE, CEの長さを求めよ。
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円に内接する四角形ABCDで対角線ACを引く。点Aにおける接線と辺ABのなす角(弧ABをはさむ側の角)が\(35^\circ\)、\(\angle BCD=95^\circ\)のとき、\(\angle ACD\)の大きさを求めよ。
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三角形ABCで、∠Aの二等分線が辺BCと交わる点をDとする。\(AB=9,\ AC=15\)とする。辺CA上の点E(\(CE:EA=2:1\))、辺AB上の点Fがあり、3直線AD, BE, CFが1点で交わっているとき、\(AF:FB\)を求めよ。
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1辺の長さが\(4\)の立方体がある。1つの頂点に集まる3本の辺の先(つまりその頂点に隣り合う3つの頂点)を通る平面で、立方体の角を切り落とす。切り口にできる三角形の1辺の長さを求めよ。
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三角形ABCの内心をIとする。\(\angle BIC=142^\circ\)のとき、\(\angle A\)の大きさを求めよ。
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円の外部の点Pから接線PTを引き、Tを接点とする。また、Pを通る割線が円とA, B(Aが近い方)で交わり、\(PA:AB=2:3\)である。\(PT=10\)のとき、\(PA\)の長さを求めよ(\(PA=x\)とおき、\(x\)は正の実数とする)。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
「角の二等分線と比の定理」「チェバの定理」「メネラウスの定理」は、どれも三角形の辺を分ける点の比を扱っているが、それぞれ何が同じで何が違うのかを、図の中に出てくる「線の本数」や「関係する点の個数」に着目して説明せよ。
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この章は、三角形の性質(1ページ)から始まり、比の定理(2ページ)、円の性質(3ページ)、そして作図・空間図形(4ページ)へと話題が進んでいく。一見バラバラに見えるこの4つのテーマに共通する、図形の性質を調べるときの基本的な考え方を、具体例を1つ挙げながら説明せよ。
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先生「1本目の道はPから池に入る点をA、出る点をBとし、\(PA=8\)m、\(AB=10\)mとする。2本目の道はPから入る点をC、出る点をDとし、\(PC=9\)mとする。」
花子「方べきの定理を使えば、道の長さから池の中の距離もわかりそうですね。」
まず\(PB\)の長さを求めよ。\(PB = PA+AB = \boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\)mである。次に方べきの定理\(PA\times PB=PC\times PD\)を用いて、\(PD\)の長さを求めよ。\(PD = \boxed{\text{ウ}}\boxed{\text{エ}}\)mである。
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太郎「池にはもう1本、点Pから接するように引ける道があるはずです。」 点Pから池に引いた接線をPT(Tは接点)とする。\(PT^2 = PA\times PB = \boxed{\text{オ}}\boxed{\text{カ}}\boxed{\text{キ}}\)なので、\(PT = \boxed{\text{ク}}\boxed{\text{ケ}}\)mである。
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花子「接点Tのところで、道PTと池の縁に沿って引いた弦TAがつくる角を測ったら\(35^\circ\)でした。」 この角(点Pの側にある弧TAをはさむ角)を接弦定理に使うと、反対側の円周角\(\angle TXA\)(Xは弧の反対側の円周上の点)は\(\boxed{\text{コ}}\boxed{\text{サ}}\)度である。さらにこの弧TAに対する中心角は\(\boxed{\text{シ}}\boxed{\text{ス}}\)度である。
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先生「看板の三角形の辺の長さは、\(AB=16,\ AC=24,\ BC=30\)とする。頂点Aから角の二等分線を引いて、辺BCと交わる点をDとしよう。」
角の二等分線と比の定理を用いて、BD, DCの長さを求めよ。\(BD=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\)、\(DC=\boxed{\text{ウ}}\boxed{\text{エ}}\)である。
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太郎「支柱をもう1本、辺AB上の点Fに立てて、直線AD, CFと辺CA上の点Eを結んだ直線BEが1点で交わるようにしたいです。」 先生「辺CA上の点Eを\(CE:EA=3:4\)となるようにとろう。」 チェバの定理を用いて、\(AF:FB\)を求めよ。\(AF:FB=\boxed{\text{オ}}:\boxed{\text{カ}}\)である。
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3直線AD, BE, CFの交点をPとする。三角形ABDに、直線CPF(Fは辺AB上、Pは辺AD上、Cは辺BDの延長上)についてメネラウスの定理を用いると、\(AP:PD=\boxed{\text{キ}}\boxed{\text{ク}}:\boxed{\text{ケ}}\)である。