この章で学ぶこと
図形と計量は、直角三角形の辺の比として\(\sin,\ \cos,\ \tan\)を定義するところから始まり、その定義を鈍角、さらには三角形全体の計量へと広げていく章である。前章「2次関数」で身につけた「1つの式の中に複数の性質が同居している」という見方は、この章でも三角比の相互関係や正弦定理・余弦定理という形でそのまま生きてくる。大切なのは定義の丸暗記ではなく、直角三角形の辺の比から出発し、座標による拡張を経て、三角形全体の計量(辺・角・面積・外接円・内接円)へとつながる一本の流れを意識して学ぶことである。ここで身につけた考え方は、次章「データの分析」でのグラフの読み取りにも活き、数学IIの「三角関数」ではラジアン(弧度法)や一般角へとさらに広がっていく。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1〜2で「三角比の定義と相互関係」という土台を固め、3で鈍角へと視野を広げ、4〜5で三角形全体の計量(辺・角・面積)へと接続する、という流れになっている。
- 1. 三角比の定義(sin・cos・tan) ― 直角三角形の辺の比として\(\sin,\ \cos,\ \tan\)を定義し、有名角\(30^\circ,\ 45^\circ,\ 60^\circ\)の値と、高さを測る利用法を学ぶ。
- 2. 三角比の相互関係 ― \(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)などの関係式を使い、1つの値から残り2つの三角比を求める方法を学ぶ。
- 3. 鈍角への拡張(90°−θ・180°−θ) ― 座標を使って定義を\(0^\circ\)〜\(180^\circ\)まで広げ、\(90^\circ-\theta\)・\(180^\circ-\theta\)の公式と三角方程式の解き方を学ぶ。
- 4. 正弦定理・余弦定理 ― 三角形の辺と角を結ぶ2つの定理を学び、与えられた情報に応じてどちらを使うかを判断する。
- 5. 三角形の面積と計量 ― \(\sin\)を使った面積公式、3辺からの面積の求め方、内接円の半径、直方体の対角線までを学ぶ。
要点整理 三角比の定義と相互関係
定義に立ち返れば、相互関係の3つの式はすべて導ける。丸暗記ではなく「なぜその式が成り立つか」を、いつでも自分で再現できるようにしておこう。
\(\sin\theta=\dfrac{\text{対辺}}{\text{斜辺}}\) \(\cos\theta=\dfrac{\text{隣辺}}{\text{斜辺}}\) \(\tan\theta=\dfrac{\text{対辺}}{\text{隣辺}}\)
(1) \(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)(三平方の定理から)
(2) \(\tan\theta=\dfrac{\sin\theta}{\cos\theta}\)(定義を代入するだけ)
(3) \(1+\tan^2\theta=\dfrac{1}{\cos^2\theta}\)((1)を\(\cos^2\theta\)で割る)
相互関係(1)で\(\cos\theta\)を求める
→相互関係(2)で\(\tan\theta\)
相互関係(1)で\(\sin\theta\)を求める
→相互関係(2)で\(\tan\theta\)
相互関係(3)で\(\cos\theta\)を求める
→\(\sin\theta=\tan\theta\times\cos\theta\)
要点整理 有名角の値の一覧(0°〜180°)
テスト直前はこの表を丸ごと眺めて、値がすぐ出てくるか確認しよう。鈍角側は「符号だけが変わる」ことに注目すると覚えやすい。
| \(\theta\) | \(0^\circ\) | \(30^\circ\) | \(45^\circ\) | \(60^\circ\) | \(90^\circ\) | \(120^\circ\) | \(135^\circ\) | \(150^\circ\) | \(180^\circ\) |
| \(\sin\theta\) | \(0\) | \(\dfrac12\) | \(\dfrac{\sqrt2}{2}\) | \(\dfrac{\sqrt3}{2}\) | \(1\) | \(\dfrac{\sqrt3}{2}\) | \(\dfrac{\sqrt2}{2}\) | \(\dfrac12\) | \(0\) |
| \(\cos\theta\) | \(1\) | \(\dfrac{\sqrt3}{2}\) | \(\dfrac{\sqrt2}{2}\) | \(\dfrac12\) | \(0\) | \(-\dfrac12\) | \(-\dfrac{\sqrt2}{2}\) | \(-\dfrac{\sqrt3}{2}\) | \(-1\) |
| \(\tan\theta\) | \(0\) | \(\dfrac{\sqrt3}{3}\) | \(1\) | \(\sqrt3\) | なし | \(-\sqrt3\) | \(-1\) | \(-\dfrac{\sqrt3}{3}\) | \(0\) |
要点整理 正弦定理・余弦定理・面積公式の使い分け
3つの公式は、それぞれ使える場面がはっきり決まっている。「何が分かっていて、何を求めたいか」を最初に整理すれば、迷わず選べる。
→正弦定理を使う
\(\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}=\dfrac{c}{\sin C}=2R\)
→余弦定理を使う
\(a^2=b^2+c^2-2bc\cos A\)
要点整理 内接円・外接円・空間図形への接続
内接円の半径 面積\(S\)と周の長さがわかれば \(r=\dfrac{2S}{a+b+c}\)
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」、根号は「√3」でも「sqrt3」でもOK。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
直角三角形で、隣辺6・対辺8・斜辺10のとき、\(\sin\theta,\ \cos\theta,\ \tan\theta\) を求めよ。
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次の値を求めよ。\(\sin60^\circ\)、\(\tan30^\circ\)
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次の値を求めよ。\(\cos0^\circ\)、\(\sin90^\circ\)
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\(\theta\)は鋭角とする。\(\sin\theta=\dfrac{8}{17}\) のとき、\(\cos\theta,\ \tan\theta\) を求めよ。
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\(\theta\)は鋭角とする。\(\cos\theta=\dfrac{5}{13}\) のとき、\(\sin\theta,\ \tan\theta\) を求めよ。
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\(\theta\)は鋭角とする。\(\tan\theta=\dfrac{4}{3}\) のとき、\(\cos\theta,\ \sin\theta\) を求めよ。
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次の値を求めよ。\(\sin135^\circ\)、\(\cos150^\circ\)
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\(\tan120^\circ\) の値を求めよ。
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\(\sin\theta=\dfrac56\) のとき、\(\cos(90^\circ-\theta)\) の値を求めよ。
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\(\cos\theta=\dfrac16\) のとき、\(\cos(180^\circ-\theta)\) の値を求めよ。
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\(\cos\theta=-\dfrac12\)(\(0^\circ \le \theta \le 180^\circ\))を満たす\(\theta\)を求めよ。
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三角形ABCにおいて、\(\angle A=60^\circ\)、\(a=9\) のとき、外接円の半径Rを求めよ。
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三角形ABCにおいて、\(b=6\)、\(c=9\)、\(\angle A=60^\circ\) のとき、辺aの長さを求めよ。
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三角形の3辺が \(6,\ 7,\ 11\) のとき、辺11の対角の余弦の値を求め、この三角形が鋭角三角形・鈍角三角形のいずれか判定せよ。
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三角形ABCにおいて、\(a=8\)、\(b=9\)、\(\angle C=30^\circ\) のとき、面積Sを求めよ。
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三角形ABCの3辺が \(a=7\)、\(b=5\)、\(c=8\) のとき、\(\angle A\) の大きさと外接円の半径Rを求めよ。
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ある坂道の傾斜角を\(\theta\)とする。この坂道に沿って\(25\)m進むと、水平方向には\(24\)m進んだ。\(\cos\theta,\ \sin\theta,\ \tan\theta\)をそれぞれ求めよ。
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\(\theta\)は\(90^\circ<\theta<180^\circ\)の角とする。\(\tan\theta=-2\)のとき、\(\sin\theta,\ \cos\theta\)を求めよ。
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三角形ABCにおいて、\(b=7\)、\(\angle C=45^\circ\)、面積\(S=14\sqrt2\)のとき、辺aの長さを求めよ。
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三角形の3辺が \(7,\ 8,\ 13\) のとき、面積Sと内接円の半径rを求めよ。
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縦\(5\)、横\(12\)の直方体があり、対角線の長さが\(15\)であるとき、高さcを求めよ(\(c>0\))。
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円に内接する四角形ABCDにおいて、\(AB=7\)、\(BC=8\)、\(\angle ABC=120^\circ\)、\(CD=15\)、\(DA=8\)とする。対角線ACの長さと、四角形ABCDの面積を求めよ。
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三角形ABCの内角\(A,\ B,\ C\)について\(A+B+C=180^\circ\)が成り立つ。\(B+C=135^\circ\)のとき、\(\cos A\)と\(\sin A\)の値を求めよ。
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三角形の3辺の比が\(a:b:c=5:6:7\)であるとき、最も大きい角(辺cの対角)の余弦の値を求めよ。
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三角形ABCにおいて、\(b=8\)、\(c=3\)、\(\angle A=60^\circ\)である。辺aの長さ、面積S、外接円の半径Rをすべて求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
三角比は最初、直角三角形の辺の比として\(0^\circ<\theta<90^\circ\)の範囲でしか定義されていなかった。座標を用いた定義に拡張することで、なぜ鈍角に対しても三角比が矛盾なく(それまでの鋭角の定義と食い違うことなく)定義できるようになるのかを、鋭角の場合との関係に触れながら説明せよ。
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三角形の辺や角、面積を求めるとき、この章では正弦定理・余弦定理・面積公式という3つの道具を学んだ。それぞれ「どんな情報(辺・角の組み合わせ)が与えられていれば使えるか」を整理して説明せよ。
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先生「対岸の点をA、こちら側の岸にある2地点をB、Cとしよう。\(BC=10\)m、\(\angle ABC=120^\circ\)、\(\angle ACB=30^\circ\)で観測できたよ。」
花子「2つの角がわかっているから、正弦定理が使えそうですね。」
\(\angle BAC\)の大きさを求めよ。また、正弦定理を用いて外接円の直径\(2R\)を求めよ。 \(\angle BAC=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}{}^\circ\)、\(2R=\boxed{\text{ウ}}\boxed{\text{エ}}\)m である。
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正弦定理を使って、辺AB、辺ACの長さを求めよ。 \(AB=\boxed{\text{オ}}\boxed{\text{カ}}\)m、\(AC=\boxed{\text{キ}}\boxed{\text{ク}}\sqrt{\boxed{\text{ケ}}}\)m である。
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太郎「これで三角形ABCの3辺と角がすべて求まりましたね。面積も求めてみよう。」
三角形ABCの面積Sと、点Aから直線BCへおろした垂線の長さhを求めよ。
\(S=\boxed{\text{コ}}\boxed{\text{サ}}\sqrt{\boxed{\text{シ}}}\)m²、\(h=\boxed{\text{ス}}\sqrt{\boxed{\text{セ}}}\)m である。
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太郎「3辺が5、6、9の三角形を考えてみよう。」
花子「まず、いちばん大きい角がどんな角か調べたいね。」
最も大きい角(辺9の対角)を\(C\)とする。\(\cos C=\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イ}}}\)である(アは符号もつけて入力)。この三角形は鋭角三角形・鈍角三角形のいずれか、判定せよ。
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相互関係を用いて\(\sin C\)の値を求めよ。\(\sin C=\dfrac{\boxed{\text{ウ}}\sqrt{\boxed{\text{エ}}}}{\boxed{\text{オ}}}\)である。これを用いて面積Sを求めると、\(S=\boxed{\text{カ}}\boxed{\text{キ}}\sqrt{\boxed{\text{ク}}}\)となる。
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花子「面積が求まったから、内接円の半径も出せるね。」
この三角形の内接円の半径rを求めよ。\(r=\sqrt{\boxed{\text{ケ}}}\)である。