この章で学ぶこと
微分法は、数IIで学んだ多項式関数の微分を土台に、その適用範囲を一気に広げる章である。前章「関数の極限」で身につけた極限の計算、とくに \(\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1\) という公式が、ここで三角関数の導関数を導く鍵になる。前半(1〜2)では積・商・合成関数の微分公式を整え、その公式を三角関数・対数関数・指数関数へと拡張し、対数微分法や陰関数・媒介変数表示といった新しい微分のテクニックを身につける。後半(3〜4)では、求めた導関数を使って接線・法線、増減表、極値、凹凸、グラフの概形を調べ、さらに方程式の解の個数・不等式の証明・速度と加速度・近似式といった実際の応用へとつなげていく。ここで身につけた微分の技術は、次章「積分法」で微分の逆演算として全面的に使われることになる。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1〜2で「微分の公式」を数IIIの関数すべてに使えるように整え、3で「接線・増減・グラフ」に発展させ、4で「実際の応用」へとつなげる、という流れになっている。
- 1. 微分の計算(積・商・合成) ― 積の微分・商の微分・合成関数の微分(チェーンルール)の3公式と、\(x^n\)の微分公式が負の指数・分数の指数にも拡張できることを学ぶ。
- 2. いろいろな関数の導関数 ― 三角関数・対数関数・指数関数の導関数、対数微分法、高次導関数、陰関数・媒介変数表示の微分を学ぶ。
- 3. 接線・増減・グラフ ― 接線・法線の方程式、\(f'(x)\)の符号による増減と極値の判定、\(f''(x)\)の符号による凹凸と変曲点の判定、漸近線を含むグラフの概形の描き方を学ぶ。
- 4. 微分の応用(速度・近似・不等式) ― 方程式の実数解の個数をグラフの交点として捉える方法、不等式の証明、速度・加速度、接線を使った1次近似の計算を学ぶ。
要点整理 微分の公式一覧
この章で新しく増える公式は多いが、テストで実際に使うのは「どの公式を使う形の式か」を見抜くところが8割。まずは公式そのものを一覧で押さえておこう。
\[ (fg)' = f'g+fg', \qquad \left(\frac{f}{g}\right)' = \frac{f'g-fg'}{g^2}, \qquad \frac{dy}{dx}=\frac{dy}{du}\cdot\frac{du}{dx}\ (y=f(u),\ u=g(x)) \]
\[ (x^n)' = nx^{n-1} \] 負の指数・分数の指数も同じ形で使える。根号や分数式は先に指数の形に書きかえてから微分するのがコツ(\(\sqrt{x}=x^{\frac12}\)、\(\dfrac1{x^2}=x^{-2}\) など)。
\[ (\sin x)'=\cos x,\quad (\cos x)'=-\sin x,\quad (\tan x)'=\frac{1}{\cos^2x} \] \[ (\ln x)'=\frac1x\ (x>0), \qquad (a^x)'=a^x\ln a,\quad \text{特に}\ (e^x)'=e^x \]
積・商・累乗が何個も絡んで複雑な式、または \(y=f(x)^{g(x)}\) のように指数の位置に変数がある式。両辺の対数をとると積が和に、商が差に、累乗が係数に変わって計算が楽になる。
因数が2〜3個程度、指数の位置に変数がない式。積・商・合成の公式を直接あてはめる方が速い。
要点整理 接線・増減・極値・凹凸
この章のいちばんの土台は「\(f'(x)\)の符号=グラフの向き」という対応。増減表・極値・凹凸・変曲点まで、すべて同じ考え方でつながっている。
要点整理 方程式・不等式・応用(速度・近似)
求めた導関数は、そのままでは終わらない。方程式の解の個数、不等式の証明、動く点の速さ、複雑な数の近似値まで、微分は「調べる道具」として様々な場面で使われる。
位置 \(x=f(t)\) のとき 速度 \(v=f'(t)\)、加速度 \(a=f''(t)\)(平面上の運動の速さは \(\sqrt{(dx/dt)^2+(dy/dt)^2}\))
\(x\) が \(a\) に近いとき \(f(x)\fallingdotseq f(a)+f'(a)(x-a)\)。とくに \((1+x)^n\fallingdotseq1+nx\)(\(x\)が0に近いとき)はよく使う。
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
\(y = x^2(2x-1)\) を微分したとき、\(y'\) の \(x^2\) の係数と \(x\) の係数を求めよ。
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\(y = (x+2)(x^2-3)\) を微分し、\(y'(1)\) の値を求めよ。
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\(y = \dfrac{2x+1}{x-3}\) を微分し、\(y'(1)\) の値を求めよ。
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\(y = \dfrac{x^2}{x-1}\) を微分し、\(y'(2)\) の値を求めよ。
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\(y = (3x-1)^3\) を微分すると \(y' = A(3x-1)^2\) の形になる。\(A\) の値と \(y'(1)\) の値を求めよ。
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\(y = (x^2+2)^2\) を微分し、\(y'(1)\) の値を求めよ。
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\(y=\sin x\) の \(x=\dfrac{\pi}{6}\) における微分係数を求めよ。
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\(y=\cos x\) の \(x=\dfrac{\pi}{3}\) における微分係数を求めよ。
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\(y=\ln x\) の \(x=5\) における微分係数を求めよ。
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\(y=e^x\) の \(x=3\) における微分係数を求めよ。
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曲線 \(y=x^3-2x\) 上の点 \((1,\ -1)\) における接線の傾きと\(y\)切片を求めよ。
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曲線 \(y=e^x\) 上の点 \((2,\ e^2)\) における接線の傾きと\(y\)切片を求めよ。
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\(y = 2x^3-3x^2-12x\) の極値を求めよ。
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\(y = x^3-3x^2+5\) の変曲点の座標を求めよ。
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\(y = x^3-3x\)(\(0 \le x \le 3\))の最大値・最小値を求めよ。
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\(y = \dfrac{1}{(x^2-1)^2}\) を微分し、\(y'(2)\) の値を求めよ。
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\(y = (x+1)^2(x-3)^3\) を対数微分法で微分し、\(y'(2)\) の値を求めよ。
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\(x^2+xy+y^2=13\) について、点 \((3,\ 1)\) における \(\dfrac{dy}{dx}\) の値を求めよ。
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\(x=t^3,\ y=t^2\) について、\(t=2\) における \(\dfrac{dy}{dx}\) の値を求めよ。
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\(y=e^{3x}\) の第3次導関数 \(y'''\) を求め、\(y'''(0)\) の値を求めよ。
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\(f(x)=2x^3-3x^2-12x+5\) について、方程式 \(f(x)=0\) の異なる実数解の個数を求めよ。
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\(x>0\) のとき \(\sqrt{1+x} < 1+\dfrac{x}{2}\) が成り立つことを証明せよ。
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直線上を運動する点の位置が \(x(t)=t^3-9t^2+24t\)(\(t\ge0\))で表されるとき、速度が0になる時刻をすべて求めよ。時刻が2つあるときはコンマ区切りで入力せよ。また、\(t=3\) における加速度を求めよ。
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1次近似 \((1+x)^n\fallingdotseq1+nx\) を用いて、\((0.98)^5\) の近似値を求めよ。
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\(f(x)=2x^3-9x^2+12x-3\) の極値を求めよ。また、この曲線の \(x=3\) における接線の傾きと\(y\)切片を求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
この章では、積・商・合成関数の微分公式から出発して、三角関数・対数関数・指数関数の微分へと公式を広げ、最終的にはそれらを使って接線・増減・極値、方程式・不等式への応用へと発展させた。この一連の流れを、具体例を挙げながら説明せよ。
模範解答を見る
\(y=x\ln x-x\)(\(x>0\))について、\(y'\) を求め、増減・極値を調べよ。さらに \(y''\) を求め、この関数のグラフの凹凸について分かることを述べよ。
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先生「まずは高さの式を時刻\(t\)で微分して、速度の式を求めてみよう。」
花子「はい。\(v(t)=h'(t)\)ですね。」
速度 \(v(t)=h'(t)\) を求めると、\(v(t)=-3t^2+\boxed{\text{アイ}}t\) となる。アイの値を求めよ。
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先生「加速度\(a(t)=v'(t)\)も求めて、加速度が0になる時刻を調べてみよう。それは速度が最大になる瞬間でもあるよ。」
加速度は \(a(t)=v'(t)=-6t+\boxed{\text{ウエ}}\) となる。\(a(t)=0\) となる時刻は \(t=\boxed{\text{オ}}\)(秒)であり、そのときの速度は \(v(\boxed{\text{オ}})=\boxed{\text{カキ}}\)(m/秒)である。
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花子「じゃあ、ロケットが最高点に達する時刻も調べてみます。」
\(v(t)=0\) となる時刻のうち \(t>0\) であるものを求めると \(t=\boxed{\text{クケ}}\)(秒)であり、そのときの高さは \(h(\boxed{\text{クケ}})=\boxed{\text{コサシ}}\)(m)である。
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先生「まずは\(C(t)\)を\(t\)で微分して、濃度が減少していく速さを求めてみよう。」
\(C'(t)\) を求めると \(C'(t)=\boxed{\text{アイ}}e^{-0.1t}\) となる(アイは符号もつけて入力せよ)。
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先生「(1)の結果を使うと、\(t=0\)における接線が求められるね。」
曲線 \(y=C(t)\) 上の \(t=0\) における接線の傾きは \(\boxed{\text{ウエ}}\)(符号もつけて入力せよ)、\(y\)切片は \(\boxed{\text{オカキ}}\) である。
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太郎「濃度が減少していく速さが、服用直後(\(t=0\))の半分になるのは何時間後か知りたいです。」
先生「\(C'(t)\)の絶対値が\(C'(0)\)の絶対値の半分になる時刻を求めればいいね。」
\(C'(t)=\dfrac12 C'(0)\) となる時刻 \(t\) を、\(\boxed{\text{クケ}}\ln\boxed{\text{コ}}\) の形で求めよ。