この章で学ぶこと
積分法は、数IIIの学習の中で「極限」「微分法」に続く最後の柱であり、微分法で学んだ内容と表裏一体の関係にある。前章「微分法」では、\(f'(x)\)の符号からグラフの増減や接線を読み取るという“計算から図形を読み取る”流れを学んだが、この章の積分法はいわば逆向きで、面積や体積という具体的な図形の量を、細かく分けて足し合わせるという発想から式(定積分)へと組み立てていく。前半(1〜2)では数IIで身につけた積分の考え方を、\(e^x\)・\(\ln x\)・三角関数といった数IIIで新しく登場した関数にまで広げ、置換積分・部分積分という2つの計算技術を鍛える。後半(3)では、その計算力を使って面積・体積・曲線の長さという3つの図形量を実際に求めていく。ここで身につけた「細かく分けてたし合わせる」という考え方は、物理における速度と道のりの関係や、より進んだ解析学の基礎にもそのままつながっていく。
学習の順路
下から順番に読み進めよう。1で「積分の計算技術(公式・置換・部分積分・式の変形)」を固め、2で「定積分ならではの技(対称性・区分求積法)」を身につけ、3でその計算力を使って面積・体積・曲線の長さという実際の図形量を求める、という流れになっている。
- 1. 不定積分(置換・部分積分) ― 数IIIで新しく増えた6つの基本公式を押さえたうえで、置換積分・部分積分という2大テクニックを学ぶ。部分分数分解・半角公式・奇数乗の分解・積和公式など、公式がそのまま使えない形の変形も扱う。
- 2. 定積分とその計算 ― 定積分ならではの置換積分(区間もいっしょに置き換える)・部分積分、偶関数・奇関数の対称性、定積分で表された関数、区分求積法(和の極限を積分に直す)を学ぶ。
- 3. 面積・体積・曲線の長さ ― 積分の代表的な応用として、曲線に囲まれた面積、回転体の体積(円板を積み重ねる発想)、曲線の長さ(三平方の定理を積み重ねる発想)を学ぶ。3つとも「細かく分けてたし合わせる」という共通の発想で貫かれている。
要点整理 積分公式一覧といつ使うか
この章で新しく増えたのは、\(x^{\alpha}\)型の一般化(分数・負の指数まで)と、\(e^x\)・三角関数の積分公式。丸暗記するより、「与えられた式がどの形に当てはまるか」を見分ける練習の方が大事だ。
要点整理 置換積分・部分積分の使い分け
この2つは積分計算の主力コンビ。どちらを使うかは、式の形を見た瞬間に判断できるようになりたい。
\(f(g(x))\,g'(x)\)の形(外側の関数の中に別の関数があり、そのすぐ後ろに中身の微分がかけてある)を見つけたとき。中身を\(u\)とおいて文字を置き換える。
種類の異なる2つの関数の積で、そのままでは積分できない形(\(x\)の累乗と\(e^x\)・\(\sin x\)・\(\cos x\)・\(\ln x\)の組み合わせなど)。微分すると簡単になる方を\(f(x)\)に選ぶ。
要点整理 定積分ならではの技(対称性・区分求積法)
定積分は、不定積分の計算をそのまま最後まで行わなくても、グラフの対称性や和の言い換えだけで答えが求まることがある。計算量を減らす3つの武器を押さえておこう。
奇関数(\(f(-x)=-f(x)\)) \(\displaystyle\int_{-a}^{a} f(x)\,dx = 0\)
要点整理 面積・体積・曲線の長さの使い分け
この章の後半で学ぶ3つの応用は、公式の形こそ違うが、発想はすべて同じ。積分区間を細かく割って、1つ分の断片(帯・円板・線分)の量を求め、それを積分でたし合わせている。
\(\displaystyle S=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}\,dx\)
上の関数−下の関数を積分
\(\displaystyle V=\pi\int_a^b y^2\,dx\)
断面の円の面積を積分
\(\displaystyle L=\int_a^b\sqrt{1+(y')^2}\,dx\)
三平方の定理を積分
この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
\(\displaystyle \int \left(6x^2 - \dfrac{1}{x} + 3e^x\right) dx\) を求めよ(\(C\)は省略してよい)。\(x^3\)の係数、\(\ln|x|\)の係数、\(e^x\)の係数をそれぞれ求めよ。
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\(\displaystyle \int \left(\dfrac{5}{x} - 2\sin x\right) dx\) を求めよ(\(C\)は省略してよい)。\(\ln|x|\)の係数、\(\cos x\)の係数をそれぞれ求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^1 6x(x^2+2)^2\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^4 x\sqrt{x^2+9}\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^1 3xe^x\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_1^{e^2} 2\ln x\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^{\pi} \cos^2 x\,dx\) を求めよ。
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直線 \(y=3x-2\)(\(0\le x\le2\))の長さ \(L\) を、曲線の長さの公式を使って求めよ。
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\(\displaystyle \int \dfrac{1}{x^2-9}\,dx = \dfrac{1}{\text{ア}}\ln\left|\dfrac{x-3}{x+3}\right|+C\) のアを求めよ。
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\(\displaystyle \int \dfrac{x^2}{x+1}\,dx = \dfrac{x^2}{2} + \text{ア}\,x + \ln|x+1|+C\) のアを求めよ。
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\(\displaystyle \int_{-3}^{3} (5x^3-2x)\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}\dfrac{3k^2}{n^3}\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^2 |x-1|\,dx\) を求めよ。
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曲線 \(y=e^x\) と \(x\) 軸、\(y\) 軸、および直線 \(x=2\) で囲まれた部分の面積 \(S\)(\(0\le x\le2\))を求めよ。
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直線 \(y=2x\)(\(0\le x\le3\))を \(x\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\text{ア}\,\pi\) と表せる。アを求めよ。
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\(\displaystyle \int_0^{\pi} x^2\sin x\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int \dfrac{x^3}{x^2+1}\,dx = \dfrac{x^2}{2} - \dfrac{1}{\text{ア}}\ln(x^2+1)+C\) のアを求めよ。
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曲線 \(y=x\) と \(y=x^3\) で囲まれた部分(\(0\le x\le1\))を \(x\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\dfrac{\text{ア}}{21}\pi\) と表せる。アを求めよ。
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曲線 \(y=x^2\)(\(x\ge0\))と \(y\) 軸、直線 \(y=3\) で囲まれた部分を、\(y\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\dfrac{\text{ア}}{2}\pi\) と表せる。アを求めよ。
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曲線 \(y=\dfrac{x^4}{8}+\dfrac{1}{4x^2}\)(\(1\le x\le2\))の長さ \(L\) を求めよ。
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曲線 \(y=e^x\) の \(x=1\) における接線を求めよ。また、この接線と曲線 \(y=e^x\)、\(y\) 軸で囲まれた部分の面積 \(S\)(\(0\le x\le1\))を求めよ。
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\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}\dfrac1n\sin\dfrac{k\pi}{2n}\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_1^{e} (\ln x)^2\,dx\) を求めよ。
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\(\displaystyle \int_{-1}^{1} \left(x^3e^{x^2}+6x^2\right) dx\) を求めよ。
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曲線 \(y=\sqrt{x}\) と直線 \(y=\dfrac{x}{2}\) で囲まれた部分の面積 \(S\)(\(0\le x\le4\))を求めよ。また、この部分を \(x\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\dfrac{\text{ア}}{3}\pi\) と表せる。\(S\)とアを求めよ。
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
この章で学んだ面積・体積・曲線の長さの3つの公式は、見た目こそ違うが、どれも同じ発想にもとづいている。面積の場合を例にとって、その共通の発想を説明せよ。
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不定積分の置換積分と部分積分は、それぞれどのような形の式を見たときに使うべきか、判断の基準を説明せよ。そのうえで、\(\displaystyle \int x\sqrt{2x+1}\,dx\) を実際に置換積分で求め、答案として仕上げよ。
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花子「速さ\(v(t)\)を\(t\)で積分すると、出発してから進んだ距離が分かるね。」
太郎「じゃあ、まず不定積分から求めてみよう。」
出発してから\(t\)秒後までに進んだ距離を\(x(t)=\displaystyle\int_0^t v(u)\,du\)とすると \[ x(t) = \boxed{\text{ア}}\,t-\dfrac{t^2}{\boxed{\text{イ}}} \] となる。ア、イを求めよ。
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花子「速さが\(0\)になるのはいつですか。」 \(v(t)=0\)となるのは\(t=6\)のとき(ちょうど記録の終わりの時刻)である。(1)の結果を使うと、出発してから\(6\)秒後までに進んだ距離は\(x(6)=\boxed{\text{ウエ}}\)mである。ウエを求めよ。
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太郎「積分で求めた距離は、\(v\)\(t\)グラフと\(t\)軸で囲まれた面積とも一致するはずだね。」\(v(t)=6-t\)は直線なので、\(v\)\(t\)グラフと\(t\)軸・直線\(t=6\)で囲まれた部分は、底辺\(\boxed{\text{オ}}\)、高さ\(\boxed{\text{カ}}\)の直角三角形になる。この面積は\(\boxed{\text{キク}}\)であり、(2)の結果と一致することが確認できる。オ、カ、キクを求めよ。
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先生「体積は\(V=\pi\displaystyle\int_1^3(x+1)^2\,dx\)で求められるね。まずは置換積分で計算してみよう。」
\(u=x+1\)とおいて置換積分すると、積分区間は\(u=\boxed{\text{ア}}\)から\(u=\boxed{\text{イ}}\)に変わる。ア、イを求めよ。
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この置換を使って計算すると、体積は\(V=\dfrac{\boxed{\text{ウエ}}}{\boxed{\text{オ}}}\pi\)(cm³)となる。ウエ、オを求めよ。
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先生「置換を使わずに、直接展開して積分しても確かめられるよ。」\((x+1)^2=x^2+2x+1\)を直接積分すると \[ V=\pi\left[\dfrac{x^3}{\boxed{\text{カ}}}+x^2+x\right]_1^3 \] となり、(2)と同じ値になることが確認できる。カを求めよ。