この章で学ぶこと

「極限」は数III全体の出発点であり、これまで数B「数列」や数I・数IIの関数(2次関数、三角関数、指数・対数関数)で扱ってきた「値」の話を、「限りなく近づく」という新しい視点で捉え直す単元である。前半(1〜2)では、数列の極限と関数の極限という2つの「近づき方」を学び、分数式の変形・根号の有理化・はさみうちの原理といった、不定形を処理するための計算テクニックを一通りそろえる。後半(3)では、その極限の言葉を使って「連続」という性質を厳密に定義し、中間値の定理という強力な存在証明の道具、そして今後何度も登場する重要な定数 \(e\) を導入する。ここで身につけた「\(x\to a\) のときの\(f(x)\)の行き先」という考え方は、次章「微分法」で微分係数を定義するときにそのまま使われ(微分係数とは平均変化率の極限にほかならない)、さらにその先の積分法にもつながっていく。極限は計算テクニックの集まりであると同時に、数III全体を貫く「言葉」でもある。

学習の順路

下から順番に読み進めよう。1で「数列」の極限の考え方と計算テクニックを固め、2でそれを「関数」に拡張して片側極限という新しい視点を加え、3で極限の言葉を使って「連続」を定義し、中間値の定理と \(e\) にたどり着く、という流れになっている。

  1. 1. 数列の極限・無限級数 ― 数列の収束・発散、公比 \(r\) による \(r^n\) の場合分け、分数式・根号式の極限計算、はさみうちの原理、無限等比級数の和を学ぶ。
  2. 2. 関数の極限 ― 右側極限・左側極限という新しい視点、\(0/0\)の不定形の処理(因数分解・有理化)、\(x\to\infty\)の極限、三角関数の極限公式\(\sin x/x\to1\)を学ぶ。
  3. 3. 関数の連続性 ― 極限の言葉による連続の定義、連続になるように定数を定める問題、中間値の定理による解の存在証明、ネイピア数\(e\)の定義を学ぶ。

要点整理 数列の極限と計算テクニック

数列の極限で真っ先に押さえるべきは「式の見た目」で処理方法を選び分けること。テスト直前は、まずこの見分け方だけを思い出せれば十分だ。

\(r^n\) の極限(\(n\to\infty\))―― 公比\(r\)で5つに場合分け
\(r > 1\):\(r^n \to \infty\) / \(r=1\):\(r^n=1\)(一定) / \(-1<r<1\):\(r^n\to0\) / \(r=-1\):振動 / \(r<-1\):振動(絶対値が増大)
分数式(多項式÷多項式)
分母の最高次の項で分子・分母を割る。\(1/n,\ 1/n^2,\dots\to0\)を使ってシンプルにする。
\(\infty-\infty\)(根号の差)
共役(符号を変えた式)を分子・分母に掛けて有理化し、根号を分子だけに残す。
値が予測できない項を含む(\((-1)^n,\ \sin n\)など)
その項の値がつねに一定の範囲(例:\(-1\)以上\(1\)以下)に収まることを使い、上下から挟む(はさみうちの原理)。
無限等比級数 初項\(a\)、公比\(r\)の無限等比級数 \(a+ar+ar^2+\cdots\) は \(|r|<1\)のとき収束し、和は \(\dfrac{a}{1-r}\)。\(|r|\ge1\)(\(a\neq0\))のときは発散する。循環小数は「循環する部分」を初項・公比として読み替えれば、この公式で分数に変換できる。
収束するための必要条件(対偶で発散を示す) 無限級数\(a_1+a_2+\cdots\)が収束するなら\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0\)。よって\(a_n\)が\(0\)に収束しない(または極限が存在しない)なら、その無限級数は発散する。逆は成り立たない(\(a_n\to0\)でも発散する級数はある)ので注意。

要点整理 関数の極限の使い分け

関数の極限は数列の極限の考え方に「右から」「左から」という近づき方の区別が加わっただけ。不定形の処理テクニックは数列のときとほぼ共通しているので、新しく覚えることは少ない。

片側極限の判定手順
手順1 右側極限 \(\displaystyle\lim_{x\to a+0}f(x)\)(\(a\)より大きい値から近づける)を調べる
手順2 左側極限 \(\displaystyle\lim_{x\to a-0}f(x)\)(\(a\)より小さい値から近づける)を調べる
手順3 両者が一致すればその値が \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)\)。不一致なら極限は存在しない
\(0/0\)の不定形
分子・分母が多項式なら因数分解して共通因数を約分。根号を含むなら共役を掛けて有理化。どちらも「\(0/0\)を作っている原因の因数」を消してから代入する。
\(x\to\infty\)の分数関数
分子の次数 < 分母の次数 → 極限は\(0\)。分子の次数 = 分母の次数 → 極限は最高次の係数の比。分子の次数 > 分母の次数 → 発散。
三角関数の極限の公式 \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin x}{x}=1\)(角と分母が完全に一致していることが条件)。角がそろっていないときは \(\displaystyle\dfrac{\sin kx}{x}=k\cdot\dfrac{\sin kx}{kx}\to k\) のように \(kx\) をひとかたまりにする。半角公式 \(1-\cos x=2\sin^2\dfrac{x}{2}\) を使えば \(1-\cos x\) の形も \(\sin\) の公式に持ち込める。

要点整理 連続性・中間値の定理・\(e\)

この章の最後の柱は、極限の言葉を使って新しい概念(連続)を定義し、それを使って新しい定理(中間値の定理)と新しい定数(\(e\))にたどり着く、という展開になっている。定義に一度戻れば、あとはすべてそこからの応用だ。

連続の定義 \(f(x)\)が\(x=a\)で連続 \(\iff\) \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=f(a)\)。これは「\(f(a)\)が定義されている」「極限が存在する」「両者が一致する」という3条件がすべて成り立つことと同じ。連続になるように定数を定める問題では、区分的定義の境界で左側極限・右側極限・その点の値の3つ全部を一致させる。
手順1 \(f(x)\)が対象区間で連続であることを述べる(整式・多くの分数関数や無理関数、三角関数は定義域内でつねに連続)
↓
手順2 区間の両端の値 \(f(a)\), \(f(b)\) を実際に計算する
↓
手順3 異符号であることを確認し、中間値の定理により \(f(c)=0\) となる \(c\) が \((a,b)\) に存在すると結論づける
中間値の定理の注意 この定理が保証するのは「解が少なくとも1つ存在すること」だけ。解の値そのものは求まらないし、両端が同符号のときは「解がない」とは言えない(単に「この定理では判定できない」だけ)。
\(e\)(ネイピア数)の定義 \(\displaystyle e = \lim_{n\to\infty}\left(1+\dfrac{1}{n}\right)^n = 2.71828\ldots\)(無理数)。\(k\)を0でない定数とすると \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\dfrac{k}{n}\right)^n = e^k\) が成り立つ(\(m=n/k\)とおいて定義の形に合わせる)。\(k\)が負でも成り立つ。
まとめテスト(標準)

この章全体を横断する総合演習、全25問。目標時間は30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。\(\infty\)は「inf」、振動・発散は「発散」と入力しよう。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜15)
1
|r|<1

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \left(\dfrac{3}{4}\right)^n\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(r=\dfrac{3}{4}\) は \(-1<r<1\) を満たすので0に収束する。 \(0\)
2
r>1

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} 6^n\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(r=6\) は \(r>1\) を満たすので、正の無限大に発散する。 \(\infty\)
3
r<-1・振動

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} (-4)^n\) について、収束・発散を判定せよ。

判定
解説を見る
\(r=-4\) は \(r<-1\) にあたる。符号が交互に変わりながら絶対値が増大するので、極限値を持たない。 振動して発散する
4
分数式・最高次で割る

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \dfrac{3n+2}{n-1}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分子・分母を\(n\)で割ると \(\dfrac{3+\frac2n}{1-\frac1n} \to \dfrac{3+0}{1-0}\) \(3\)
5
無限等比級数の和

初項6、公比 \(\dfrac{1}{3}\) の無限等比級数の和を求めよ。

和
解説を見る
\(|r|<1\) なので収束する。\(S=\dfrac{6}{1-\frac13}=\dfrac{6}{\frac23}\) \(9\)
6
約分

\(\displaystyle\lim_{x\to3}\dfrac{x^2-x-6}{x-3}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(\dfrac{x^2-x-6}{x-3}=\dfrac{(x-3)(x+2)}{x-3}=x+2\) \(\displaystyle\lim_{x\to3}\dfrac{x^2-x-6}{x-3}=3+2=5\)
7
sinの基本公式

\(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin5x}{x}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(\dfrac{\sin5x}{x}=5\cdot\dfrac{\sin5x}{5x}\to5\times1\) \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin5x}{x}=5\)
8
x→∞・同次数

\(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{5x+1}{2x-3}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分母の最高次の項\(x\)で割ると \(\dfrac{5+\frac1x}{2-\frac3x}\to\dfrac{5}{2}\) \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{5x+1}{2x-3}=\dfrac{5}{2}\)
9
x→∞・分子の次数が低い

\(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{x+2}{x^2+1}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分母の次数(2次)が分子の次数(1次)より高いので、分母の最高次\(x^2\)で割ると分子は0に近づく。 \(\dfrac{x+2}{x^2+1}=\dfrac{\frac1x+\frac2{x^2}}{1+\frac1{x^2}}\to\dfrac{0}{1}\) \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{x+2}{x^2+1}=0\)
10
片側極限

\(f(x)=\dfrac{1}{x-3}\) について、\(\displaystyle\lim_{x\to3+0}f(x)\)、\(\displaystyle\lim_{x\to3-0}f(x)\) をそれぞれ求めよ。

\(\displaystyle\lim_{x\to3+0}f(x)=\)  \(\displaystyle\lim_{x\to3-0}f(x)=\)
解説を見る
\(x\to3+0\)(\(x\)が\(3\)よりわずかに大きい)のとき、\(x-3\)は正の側から\(0\)に近づくので\(\dfrac{1}{x-3}\)はいくらでも大きくなる。 \(x\to3-0\)(\(x\)が\(3\)よりわずかに小さい)のとき、\(x-3\)は負の側から\(0\)に近づくので\(\dfrac{1}{x-3}\)はいくらでも小さく(負に大きく)なる。 \(\displaystyle\lim_{x\to3+0}f(x)=+\infty\)、\(\displaystyle\lim_{x\to3-0}f(x)=-\infty\)
11
連続になるように定数を定める(分数式)

次の関数が \(x=4\) で連続となるように、定数 \(a\) の値を定めよ。 \[ f(x) = \begin{cases} \dfrac{x^2-16}{x-4} & (x \neq 4) \\ a & (x = 4) \end{cases} \]

\(a=\)
解説を見る
\(x\neq4\)のとき\(f(x)=\dfrac{(x-4)(x+4)}{x-4}=x+4\)。 \(\displaystyle\lim_{x\to4}(x+4)=8\)。 \(a=8\)
12
連続になるように定数を定める(区分的定義)

次の関数が \(x=2\) で連続となるように、定数 \(a\) の値を定めよ。 \[ f(x) = \begin{cases} 2x+a & (x \le 2) \\ x^2+1 & (x \gt 2) \end{cases} \]

\(a=\)
解説を見る
\(x\le2\)の式から\(f(2)=4+a\)。 右側の極限は\(\displaystyle\lim_{x\to2+0}(x^2+1)=4+1=5\)。 一致させると\(4+a=5\)。 \(a=1\)
13
はさみうちの原理

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \dfrac{\cos n}{n}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(-1\le\cos n\le1\) より、各辺を正の数\(n\)で割って\(-\dfrac1n\le\dfrac{\cos n}{n}\le\dfrac1n\)。両端はともに0に収束するので、はさみうちの原理より \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{\cos n}{n}=0\)
14
循環小数の変換

循環小数 \(0.555\ldots\) を分数で表せ。

分数
解説を見る
\(0.555\ldots=0.5+0.05+0.005+\cdots\)は初項\(0.5=\dfrac{5}{10}\)、公比\(\dfrac{1}{10}\)の無限等比級数。 \(S=\dfrac{\frac{5}{10}}{1-\frac{1}{10}}=\dfrac{\frac{5}{10}}{\frac{9}{10}}=\dfrac{5}{9}\) \(\dfrac{5}{9}\)
15
中間値の定理の適用判定

中間値の定理を用いて、方程式 \(x^3-2x-5=0\) が区間 \([2,\ 3]\) に実数解をもつと言えるか。言えるなら「ある」、言えないなら「ない」と答えよ。

答え
解説を見る
\(f(x)=x^3-2x-5\)とおくと整式なので連続。 \(f(2)=8-4-5=-1<0\)、\(f(3)=27-6-5=16>0\)。異符号。 中間値の定理により、区間[2,3]に解があると言える → ある
発展(16〜25)
16
根号の有理化(x→0)

\(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sqrt{x+9}-3}{x}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分子・分母に\(\sqrt{x+9}+3\)を掛けて有理化する。 \(\dfrac{\sqrt{x+9}-3}{x}=\dfrac{(x+9)-9}{x(\sqrt{x+9}+3)}=\dfrac{x}{x(\sqrt{x+9}+3)}=\dfrac{1}{\sqrt{x+9}+3}\) \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sqrt{x+9}-3}{x}=\dfrac{1}{3+3}=\dfrac{1}{6}\)
17
根号の有理化(数列)

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \left(\sqrt{n^2+5n} - n\right)\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分子・分母に\(\sqrt{n^2+5n}+n\)を掛けて有理化する。 \(\sqrt{n^2+5n}-n=\dfrac{(n^2+5n)-n^2}{\sqrt{n^2+5n}+n}=\dfrac{5n}{\sqrt{n^2+5n}+n}\) 分子・分母を\(n\)で割ると \(=\dfrac{5}{\sqrt{1+\frac5n}+1}\to\dfrac{5}{\sqrt{1+0}+1}=\dfrac{5}{2}\) \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(\sqrt{n^2+5n}-n\right)=\dfrac{5}{2}\)
18
半角公式を使うsinの極限

\(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{1-\cos3x}{x^2}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
半角公式\(1-\cos\theta=2\sin^2\dfrac{\theta}{2}\)に\(\theta=3x\)を代入すると\(1-\cos3x=2\sin^2\dfrac{3x}{2}\)。 \(\dfrac{1-\cos3x}{x^2}=\dfrac{2\sin^2\frac{3x}{2}}{x^2}=2\left(\dfrac{\sin\frac{3x}{2}}{\frac{3x}{2}}\right)^2\cdot\left(\dfrac{3x}{2}\right)^2\div x^2=2\left(\dfrac{\sin\frac{3x}{2}}{\frac{3x}{2}}\right)^2\cdot\dfrac{9}{4}\) \(x\to0\)のとき\(\dfrac{3x}{2}\to0\)なので\(\dfrac{\sin\frac{3x}{2}}{\frac{3x}{2}}\to1\)。 \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{1-\cos3x}{x^2}=2\times1^2\times\dfrac94=\dfrac{9}{2}\)
19
2文字の係数決定

\(\displaystyle\lim_{x\to2}\dfrac{3x^2+ax+b}{x-2}=5\) が成り立つように定数 \(a,\ b\) の値を定めよ。

\(a=\)  \(b=\)
解説を見る
分母が\(x\to2\)で\(0\)に近づき、極限値が\(5\)(有限)と指定されているので、分子も\(x=2\)で\(0\)でなければならない。 分子に\(x=2\)を代入:\(12+2a+b=0\) …(1) 分子が\(x-2\)を因数に持つので\(3x^2+ax+b=(x-2)(3x+c)\)と書ける(\(c\)は定数)。展開すると\(3x^2+(c-6)x-2c\)。 係数比較:\(a=c-6\)、\(b=-2c\)。 商\(3x+c\)に\(x=2\)を代入した値が極限値になるので、\(6+c=5\)より\(c=-1\)。 このとき\(a=c-6=-7\)、\(b=-2c=2\)。((1)式で確認:\(12+2(-7)+2=0\)で成立) \(a=-7,\ b=2\)(実際\(3x^2-7x+2=(x-2)(3x-1)\)となり、極限値は\(3\times2-1=5\))
20
中間値の定理の適用判定

中間値の定理を用いて、方程式 \(x^3-6x+2=0\) が区間 \([0,\ 1]\) に実数解をもつと言えるか。言えるなら「ある」、言えないなら「ない」と答えよ。

答え
解説を見る
\(f(x)=x^3-6x+2\)とおくと整式なので連続。 \(f(0)=2>0\)、\(f(1)=1-6+2=-3<0\)。異符号。 中間値の定理により、区間[0,1]に解があると言える → ある
21
無限級数の発散判定・必要条件の対偶

無限級数 \(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty} \dfrac{3n+1}{n+2}\) の収束・発散を判定せよ。

判定
解説を見る
一般項\(a_n=\dfrac{3n+1}{n+2}\)の極限を調べる。分子・分母を\(n\)で割ると \(a_n=\dfrac{3+\frac1n}{1+\frac2n}\to\dfrac{3+0}{1+0}=3\)(\(n\to\infty\)) 極限値は\(3\neq0\)である。無限級数が収束するならば一般項は0に収束するはずなので、その対偶より、一般項が0に収束しないこの級数は収束しない。 無限級数\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\dfrac{3n+1}{n+2}\)は発散する
22
x→−∞の符号のトラップ

\(\displaystyle\lim_{x\to-\infty}\left(\sqrt{x^2+4x}+x\right)\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(x\to-\infty\)なので\(x=-t\)(\(t\to+\infty\))と置き換える。 \(\sqrt{x^2+4x}+x=\sqrt{t^2-4t}-t=\dfrac{(t^2-4t)-t^2}{\sqrt{t^2-4t}+t}=\dfrac{-4t}{\sqrt{t^2-4t}+t}\) \(t>0\)なので分子・分母を\(t\)で割ると \(=\dfrac{-4}{\sqrt{1-\frac4t}+1}\to\dfrac{-4}{1+1}=-2\) \(\displaystyle\lim_{x\to-\infty}\left(\sqrt{x^2+4x}+x\right)=-2\)
23
次章(微分)の準備:平均変化率の極限

\(f(x)=x^2\) について、\(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(f(2+h)=(2+h)^2=4+4h+h^2\)、\(f(2)=4\)なので \(\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}=\dfrac{(4+4h+h^2)-4}{h}=\dfrac{4h+h^2}{h}=4+h\)(\(h\neq0\)なら約分できる) \(h\to0\)を代入すると \(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}=4\)(この形は次章「微分係数」の定義そのものである)
24
sinの極限×連続の定義(複合問題)

次の関数が \(x=0\) で連続となるように、定数 \(a\) の値を定めよ。 \[ f(x) = \begin{cases} \dfrac{\sin3x}{x} & (x \neq 0) \\ a & (x = 0) \end{cases} \]

\(a=\)
解説を見る
\(x\neq0\)のとき\(\dfrac{\sin3x}{x}=3\cdot\dfrac{\sin3x}{3x}\)。 \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin3x}{x}=3\times1=3\) 連続にするには\(f(0)=a\)がこの極限値と一致すればよい。 \(a=3\)
25
総合問題:この章の技法を組み合わせる(章の総仕上げ)

\(a=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{6x+1}{3x-2}\)、\(r=\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin x}{2x}\) とするとき、初項\(a\)、公比\(r\)の無限等比級数の和を求めよ。

\(a=\)  \(r=\)  和
解説を見る
まず\(a\)を求める。分母の最高次\(x\)で割ると \(a=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{6+\frac1x}{3-\frac2x}=\dfrac{6}{3}=2\) 次に\(r\)を求める。\(\dfrac{\sin x}{2x}=\dfrac12\cdot\dfrac{\sin x}{x}\)なので \(r=\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac12\cdot\dfrac{\sin x}{x}=\dfrac12\times1=\dfrac12\) \(|r|=\dfrac12<1\)なので、初項\(2\)、公比\(\dfrac12\)の無限等比級数は収束し、和は \(S=\dfrac{a}{1-r}=\dfrac{2}{1-\frac12}=\dfrac{2}{\frac12}\) \(a=2,\ r=\dfrac12\)、無限等比級数の和は\(4\)
記述チャレンジ

答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。

記1

この章は「数列の極限」「関数の極限」「関数の連続性」という3つの節で構成されている。この3つがどのようにつながっているか、また、この章で学んだ考え方が次章「微分法」にどう活かされるかを説明せよ。

模範解答を見る
数列の極限は「\(n\)を限りなく大きくしたときに\(a_n\)がどこに近づくか」という、1方向(\(n\to\infty\))だけの近づき方を扱うものである。関数の極限は、この考え方を\(x\to a\)という一般の近づき方に拡張したものだが、数列と違って\(x\)は\(a\)より大きい側からも小さい側からも近づけるため、「右側極限」「左側極限」という新しい区別が必要になる。この2つが一致するときに限って\(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)\)が存在すると言える、というのが数列の極限にはなかった新しい視点である。 さらに「連続」という性質は、この関数の極限の言葉を使って初めて厳密に定義できる。\(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=f(a)\)という1本の等式が、「グラフがちぎれずに繋がっている」という直感的なイメージを、計算で確認できる形に翻訳している。中間値の定理や\(e\)の定義も、この「極限」という言葉があって初めて意味を持つ道具である。 次章の「微分法」では、微分係数という新しい量が\(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}\)という極限として定義される。これはまさにこの章で身につけた「\(0/0\)の不定形を、約分や有理化で処理してから極限をとる」という技術をそのまま使う場面である。また、\(\sin x/x\to1\)という公式は三角関数の導関数を求めるときに、\(e\)の定義は指数関数・対数関数の導関数を求めるときに、それぞれ直接使われる。つまりこの章は独立した1つの単元というより、次章以降で使う「計算の部品」を先に一通りそろえておく章である。 数列の極限を右側・左側という近づき方に拡張したものが関数の極限であり、その関数の極限の言葉で「連続」を定義する、という流れでこの章はつながっている。ここで身につけた不定形の処理技術・\(\sin x/x\)の公式・\(e\)の定義は、次章「微分法」の微分係数の定義や導関数の計算にそのまま使われる。
記2

次の3つの極限をそれぞれ求め、それぞれどの処理方法(最高次の項で割る/有理化する/公式を使う、など)を選んだか、選んだ理由も含めて説明せよ。
(1) \(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \dfrac{4n-1}{2n+3}\)
(2) \(\displaystyle\lim_{x\to0} \dfrac{\sqrt{x+1}-1}{x}\)
(3) 初項8、公比\(-\dfrac14\)の無限等比級数の和

模範解答を見る
(1) この式は多項式÷多項式という分数式であり、\(n\to\infty\)のときそのまま代入すると\(\infty/\infty\)の不定形になってしまう。このタイプは分母の最高次の項(ここでは\(n\))で分子・分母を割るのが基本方針である。 \(\dfrac{4n-1}{2n+3}=\dfrac{4-\frac1n}{2+\frac3n}\) \(n\to\infty\)のとき\(\dfrac1n\to0\)、\(\dfrac3n\to0\)なので、極限値は\(\dfrac{4-0}{2+0}=2\)。 (2) この式は\(x\to0\)をそのまま代入すると\(\dfrac{0}{0}\)の不定形になり、しかも根号を含んでいる。根号を含む不定形は、共役(符号を変えた式、ここでは\(\sqrt{x+1}+1\))を分子・分母に掛けて有理化し、根号を消してから代入するのが方針である。 \(\dfrac{\sqrt{x+1}-1}{x}=\dfrac{(x+1)-1}{x(\sqrt{x+1}+1)}=\dfrac{x}{x(\sqrt{x+1}+1)}=\dfrac{1}{\sqrt{x+1}+1}\) これで\(x=0\)を代入できる形になり、極限値は\(\dfrac{1}{1+1}=\dfrac12\)。 (3) これは分数式でも不定形でもなく、そもそも「無限等比級数の和」という決まった公式が使える場面である。公比\(r=-\dfrac14\)は\(|r|=\dfrac14<1\)を満たすので収束し、公式\(S=\dfrac{a}{1-r}\)にそのまま代入すればよい。 \(S=\dfrac{8}{1-\left(-\frac14\right)}=\dfrac{8}{\frac54}=\dfrac{32}{5}\) このように、まず式の見た目(多項式の分数式か、根号を含む不定形か、公式がそのまま使える形か)を見分けることが、処理方法を選ぶ最初の一歩になる。 (1) 分母の最高次\(n\)で割って\(2\)。(2) 根号を有理化して\(\dfrac12\)。(3) 無限等比級数の公式にそのまま代入して\(\dfrac{32}{5}\)(\(=6.4\))。
共通テスト形式チャレンジ

大問1 目標時間 8分/配点 20点

花子さんは、ある薬を毎日同じ時刻に1回、100mgずつ服用したときに体内に残る薬の量について、先生と一緒に考えている。次の会話を読んで、あとの問いに答えよ。

先生「この薬は、24時間経つと体内の量がちょうど\(\dfrac15\)倍になることが分かっているとしよう。花子さんが100mgずつ毎日服用し続けるとき、\(n\)回目の服薬直後の体内の薬の量を\(a_n\)(mg)とすると、\(a_1=100\)で、\(a_{n+1}=\dfrac15a_n+100\)という関係が成り立つね。」
花子「服薬を何回も繰り返すと、\(a_n\)はどんな値に近づいていくのか気になります。」
(1)

数列\(\{a_n\}\)が一定の値\(\alpha\)に収束すると仮定すると、漸化式\(a_{n+1}=\dfrac15a_n+100\)の両辺で\(n\to\infty\)とすることで\(\alpha=\dfrac15\alpha+100\)が成り立つはずである。これを解くと \(\alpha=\boxed{\text{アイウ}}\) である。また、この\(\alpha\)を用いて漸化式を \(a_{n+1}-\alpha=\dfrac15(a_n-\alpha)\) の形に変形すると、\(a_1-\alpha=\boxed{\text{エオ}}\)(符号もつけて入力)となる。

アイウ エオ
解説を見る
\(\alpha=\dfrac15\alpha+100\)を解く。両辺に5を掛けて\(5\alpha=\alpha+500\)、\(4\alpha=500\)、\(\alpha=125\)。 \(a_{n+1}-125=\left(\dfrac15a_n+100\right)-125=\dfrac15a_n-25=\dfrac15(a_n-125)\)となり、確かに\(a_{n+1}-\alpha=\dfrac15(a_n-\alpha)\)の形になる。 \(a_1=100\)なので\(a_1-\alpha=100-125=-25\)。 \(\alpha=125\)、\(a_1-\alpha=-25\)
(2)

(1)より、数列\(\{a_n-\alpha\}\)は初項\(a_1-\alpha\)、公比\(\dfrac15\)の等比数列である。これを用いて\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n\)を求めると \(\boxed{\text{カキク}}\) である。

カキク
解説を見る
\(a_n-\alpha=(a_1-\alpha)\left(\dfrac15\right)^{n-1}=-25\left(\dfrac15\right)^{n-1}\)より \(a_n=125-25\left(\dfrac15\right)^{n-1}\) \(\dfrac15\)は\(|r|<1\)を満たすので\(\left(\dfrac15\right)^{n-1}\to0\)(\(n\to\infty\))。よって \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=125-0=125\)(服薬を繰り返すほど、体内の薬の量は125mgに限りなく近づいていく)
(3)

花子「では、服薬直後の体内の薬の量が120mg以上になるのは、何回目の服薬直後からですか。」
(2)で求めた一般項 \(a_n=125-25\left(\dfrac15\right)^{n-1}\) を用いて、\(a_n\ge120\)を満たす最小の\(n\)を求めると \(n=\boxed{\text{ケ}}\) である。

ケ
解説を見る
\(a_n\ge120\)を解く。 \(125-25\left(\dfrac15\right)^{n-1}\ge120\) \(-25\left(\dfrac15\right)^{n-1}\ge-5\) 両辺を\(-25\)で割ると、不等号の向きが変わることに注意して \(\left(\dfrac15\right)^{n-1}\le\dfrac15\) \(\dfrac15\)は1より小さい正の数なので、指数が大きいほど値は小さくなる。よって \(n-1\ge1\)、すなわち\(n\ge2\) 実際に確かめると、\(a_1=100\)(120未満)、\(a_2=125-25\times\dfrac15=125-5=120\)(120以上)となり、2回目の服薬直後から条件を満たす。 \(n=2\)(2回目の服薬直後から120mg以上になる)

大問2 目標時間 8分/配点 20点

文化祭の科学部では、1日の気温 \(T(x)\)(\(x\)時間後、単位は℃)を観測データから次のように近似することにした。太郎さんと先生が、このモデルについて話している。次の会話を読んで、あとの問いに答えよ。
\[ T(x) = \begin{cases} -x^2+2x+1 & (0 \le x \lt 5) \\ -2x+b & (5 \le x \le 10) \end{cases} \] 先生「\(b\)の値はまだ決まっていない。観測データが\(x=5\)のところで途切れずにつながって見えるように、\(T(x)\)が\(x=5\)で連続になるように\(b\)を決めよう。」
(1)

\(\displaystyle\lim_{x\to5-0}T(x)\) を求めよ。\(\boxed{\text{コサ}}\)(符号もつけて入力)

コサ
解説を見る
\(x<5\)の範囲では\(T(x)=-x^2+2x+1\)であり、これは整式なので\(x=5\)での左側極限はそのまま代入して求められる。 \(\displaystyle\lim_{x\to5-0}T(x)=-5^2+2\times5+1=-25+10+1=-14\) \(\displaystyle\lim_{x\to5-0}T(x)=-14\)
(2)

\(T(x)\)が\(x=5\)で連続になるように、定数\(b\)の値を定めよ。\(b=\boxed{\text{ス}}\)(符号もつけて入力)

ス
解説を見る
\(x\ge5\)の式から\(T(5)=-2\times5+b=-10+b\)。 連続にするには、(1)で求めた左側極限\(-14\)と\(T(5)\)が一致すればよい。 \(-10+b=-14\) \(b=-4\)
(3)

太郎「気温が0℃になる瞬間が、朝の観測開始から何時間後にあるか気になりますね。」
先生「(2)で\(b=-4\)と決まったから、\(5\le x\le10\)では\(T(x)=-2x-4\)だ。この区間で\(T(x)\)の符号がどうなるか確かめてごらん。」
太郎「\(T(5)=-14\)、\(T(10)=-24\)で、しかも1次関数だから区間全体で負のままですね。」
先生「その通り。だから0℃になる瞬間があるとすれば、残りの区間\(0\le x\lt5\)の中だけだ。」
気温が0℃になる時刻の1つが、区間\(0\le x\lt5\)の中の、整数\(n\)を用いて\(n\lt x\lt n+1\)と表せる範囲に存在することを、中間値の定理を用いて示すとき、\(n\)の値を求めよ。\(n=\boxed{\text{セ}}\)

セ
解説を見る
まず\(5\le x\le10\)の範囲を確認する。(2)より\(b=-4\)なので、この区間では\(T(x)=-2x-4\)。 これは傾き\(-2\)の1次関数(つねに減少)で、\(T(5)=-10-4=-14\)、\(T(10)=-20-4=-24\)となり、区間の両端がどちらも負。1次関数は区間内で単調に変化するので、この間で\(T(x)\)が\(0\)になることはない。 よって0℃になる瞬間があるとすれば、残りの区間\(0\le x<5\)の中である。この区間では\(T(x)=-x^2+2x+1\)であり、整式なのでこの区間で連続。整数を順に代入して符号を調べる。 \(T(0)=1>0\) \(T(1)=-1+2+1=2>0\) \(T(2)=-4+4+1=1>0\) \(T(3)=-9+6+1=-2<0\) \(T(2)\)と\(T(3)\)が異符号なので、中間値の定理により\(T(c)=0\)となる実数\(c\)が開区間\((2,3)\)に少なくとも1つ存在する。 \(n=2\)(気温が0℃になる時刻の1つが2時間後から3時間後の間にある)