この章で学ぶこと
「集合と命題」は、これから先の数学すべてで使う"考え方の道具"を整理する章。前の章「数と式」で計算力を鍛えたのに続き、この章では「ものの集まりをどう扱うか(集合)」と「主張が正しいかどうかをどう判定するか(命題)」という、暗黙のうちに使われているルールをはっきり言葉にしていく。
とくに必要条件・十分条件の考え方や、対偶・背理法といった証明の技法は、次の章「2次関数」以降で扱う「方程式の解の条件」「場合分けの根拠」などを正確に語るための土台になる。計算そのものは難しくないぶん、論理の順序(何が仮定で何が結論か、矢印はどちら向きか)を丁寧に追う練習だと考えて取り組もう。
学習の順路
この章は3ページ構成。上から順番に進めば、集合の基本 → 命題の判定 → 証明の技法、と自然に積み上がる。
要点整理1 集合の基本
\(\subset\)(集合と集合) \(A \subset B\) は「\(A\) の要素が全部 \(B\) にも入っている」。集合どうしの関係。
どんな集合 \(A\) についても \(\varnothing \subset A\)、\(A \subset A\) は常に成り立つ。
2つの集合の要素の個数 \[n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)\]
\(\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}\)(和集合の補集合=補集合どうしの共通部分)
\(\overline{A \cap B} = \overline{A} \cup \overline{B}\)(共通部分の補集合=補集合どうしの和集合)
要点整理2 命題の真偽・必要条件と十分条件
命題が偽 → 成り立たない反例をたった1つ挙げればよい(全部調べる必要はない)。
\(q \Rightarrow p\) が真 → \(p\) は \(q\) であるための必要条件
両方真なら必要十分条件(同値)。判定は2本の矢印をそれぞれ実際に確かめるのが確実。
「\(p\) かつ \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、または \(q\) でない」
「\(p\) または \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、かつ \(q\) でない」
要点整理3 逆・裏・対偶と証明法の使い分け
\(q \Rightarrow p\)
(仮定と結論を入れ替える)
\(\lnot p \Rightarrow \lnot q\)
(仮定も結論もそのまま否定)
\(\lnot q \Rightarrow \lnot p\)
(入れ替えてから否定)
仮定から式変形でまっすぐ結論へ導ける場合。まずこれができないか考える。
結論(や仮定)を否定すると具体的な形(\(n=2k+1\)など)に書きやすくなる場合。偶数・奇数、倍数がからむ命題でよく使う。
結論が「〜は存在しない」「〜は無理数」のように否定形・限定的な場合。対偶を作っても扱いにくいときの手段。
要点整理4 つまずきやすいポイント
「反例を1つ」で済ませられるのは偽を示すときだけ 真であることを示すには、反例が1つもないことまで確認する必要がある(具体例をいくつか試して満足しない)。
「pはqの何条件か」の矢印の向き \(p \Rightarrow q\) が真なら十分条件、\(q \Rightarrow p\) が真なら必要条件。矢印の出発点が \(p\) か \(q\) かを取り違えると逆になる。
逆・裏の真偽を決めつけない 一致するのは対偶だけ。逆・裏は一致することもあれば、しないこともある。必ず自分で確かめる。
対偶証明と背理法の使い分け 対偶証明は「\(p \Rightarrow q\)」の形の命題向け。結論が「存在しない」「無理数である」のような否定的・限定的な形なら背理法を選ぶ。
3ページ分の内容を横断する総合問題、全25問。目標時間30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。要素を並べる問題は小さい順にコンマ区切りで入力。証明問題は入力欄なしで、自分で書いてから「解説を見る」で確認しよう。
\(A = \{2, 4, 6, 8, 10, 12\}\)、\(B = \{4, 8, 12, 16\}\) のとき、\(A \cap B\) と \(A \cup B\) をそれぞれ求めよ。
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\(n(A) = 13\)、\(n(B) = 9\)、\(n(A \cap B) = 4\) であるとき、\(n(A \cup B)\) を求めよ。
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集合 \(C = \{a, b, c, d, e, f\}\)(要素6個)の部分集合(空集合や \(C\) 自身も含む)は全部で何個あるか。
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\(U = \{1, 2, \ldots, 12\}\) を全体集合とする。\(A\) を \(U\) の中の3の倍数全体の集合とするとき、\(A\) と \(\overline{A}\) をそれぞれ求めよ。
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命題「\(x=6\) ならば \(x^2=36\)」の真偽を答えよ(真/偽を入力)。
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命題「\(x^2=9\) ならば \(x=3\)」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(x\) の値を求めよ。
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\(p\):「\(n\) は8の倍数」、\(q\):「\(n\) は4の倍数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か(十分/必要/必要十分/どちらでもない を入力)。
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\(p\):「\(n\) は4の倍数」、\(q\):「\(n\) は8の倍数」とする(7の \(p,q\) を入れ替えたもの)。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。
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命題「\(x<3\) または \(x>9\)」の否定を作り、\(a \le x \le b\) の形で表すときの \(a,\ b\) の値を求めよ。
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命題「自然数 \(n\) について、\(n>6\) ならば \(n>3\) である」の逆の真偽を答えよ。また、自然数の中でいちばん小さい反例を1つ答えよ。
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命題「自然数 \(n\) について、\(n\) が5の倍数ならば \(n\) は10の倍数である」の対偶の真偽を答えよ(まず元の命題の真偽を考えてから判断しよう)。
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命題「\(n=4\) ならば \(n^2=16\) である」の裏(\(\lnot p \Rightarrow \lnot q\) の形)の真偽を答え、偽ならば反例となる \(n\) の値を求めよ。
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命題「\(p \Rightarrow q\) が真、\(q \Rightarrow p\) が偽」であることが分かっているとき、\(p\) は \(q\) であるための何条件か。
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\(n(A) = 18\)、\(n(A \cap B) = 6\) であるとき、「\(A\) だけに入っていて \(B\) には入っていない」個数を求めよ。
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全体集合 \(U\) について \(n(U) = 40\)、\(n(A \cup B) = 27\) であるとき、\(A\) にも \(B\) にも入っていない個数を求めよ。
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集合 \(C = \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}\)(要素6個)の部分集合は全部で何個あるか。また、そのうち要素 \(1\) と \(2\) を両方とも必ず含む部分集合は何個あるか。
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60人にアンケートをとったところ、バスケが好きな人は28人、サッカーが好きな人は25人、野球が好きな人は20人、バスケとサッカーの両方が好きな人は12人、サッカーと野球の両方が好きな人は10人、バスケと野球の両方が好きな人は9人、3つとも好きな人は5人であった。バスケ・サッカー・野球のうち少なくとも1つが好きな人は何人か。また、どれも好きでない人は何人か。
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全体集合 \(U = \{1, 2, \ldots, 30\}\) の部分集合として、\(A\) を \(U\) の中の5の倍数全体、\(B\) を \(U\) の中の6の倍数全体とする。ド・モルガンの法則 \(\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}\) を用いて、5の倍数でも6の倍数でもない数の個数を求めよ。
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\(x\) を実数とする。\(p\):「\(x^2-6x+9=0\)」、\(q\):「\(x=3\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。
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3つの条件 \(p,\ q,\ r\) について、命題「\(p \Rightarrow q\)」と「\(q \Rightarrow r\)」がともに真であることが分かっている。このとき、\(p\) は \(r\) であるための何条件といえるか。
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命題「実数 \(x\) について、\(x^2-16=0\) ならば \(x=4\) である」の逆・裏・対偶それぞれの真偽を答えよ。
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\(a,\ b\) を有理数とする。「\(a+b\sqrt2=0\) ならば \(a=0\) かつ \(b=0\) である」ことを証明せよ。(\(\sqrt2\) が無理数であることは証明済みとしてよい)
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\(a,\ b\) を実数とする。\(p\):「\(a=3\) かつ \(b=-2\)」、\(q\):「\((a-3)^2+(b+2)^2=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。
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45人のクラスで、数学が得意な生徒の人数は、英語が得意な生徒の人数よりちょうど3人多かった。両方得意な生徒は10人、どちらも得意でない生徒は8人であった。英語が得意な生徒、数学が得意な生徒はそれぞれ何人か。
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\(n\) を整数とする。「\(n^2\) が5の倍数ならば \(n\) は5の倍数である」を証明せよ。
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| \(n\)を5で割った余り | 1 | 2 | 3 | 4 |
| \(n^2\)を5で割った余り | 1 | 4 | 4 | 1 |
太郎「パンフレットを読んだ生徒は120人、SNSをフォローした生徒は95人だったよ。」
花子「じゃあ、どちらもしなかった生徒の人数も教えて。」
太郎「それは40人だったよ。」
花子「その情報があれば、両方した生徒の人数も求められるはずだね。」
パンフレットを読んだか、SNSをフォローしたか、少なくとも一方をした生徒の人数を求めよ。全校生徒数から「どちらもしなかった」人数を引けばよい。
\(200-40=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\boxed{\text{ウ}}\)(人)
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(1)で求めた160人と、集合の要素の個数の公式 \(n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)\) を用いると、パンフレットを読み、かつSNSもフォローした生徒(両方した生徒)の人数は \(\boxed{\text{エ}}\boxed{\text{オ}}\)人 である。
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パンフレットは読んだが、SNSはフォローしなかった生徒の人数を求めよ。
\(\boxed{\text{カ}}\boxed{\text{キ}}\)人
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太郎「先生が『\(n^2\) が12の倍数ならば、\(n\) は12の倍数である』という命題を黒板に書いたよ。これは正しいと思う?」
花子「反例が見つかれば、この命題はすぐに偽だと分かるよね。具体的な数で試してみよう。」
\(n=6\) のときの \(n^2\) の値を求め、この命題(\(n^2\) が12の倍数ならば \(n\) は12の倍数である)が真か偽かを判定せよ(\(n=6\) がこの命題の反例になっているかどうかを確認すればよい)。
\(n^2=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\) この命題は \(\boxed{\text{ウ}}\)(真または偽で答えよ)
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花子「じゃあ、"\(n^2\) が6の倍数ならば \(n\) は6の倍数である"だったらどうかな? 12ではなく6で考えてみよう。」
太郎「6は \(2\times3\) だから、2と3に分けて考えられそうだね。」
すでに学んだ2つの事実「\(n^2\) が偶数(2の倍数)ならば \(n\) は偶数である」と「\(n^2\) が3の倍数ならば \(n\) は3の倍数である」を組み合わせて、この命題("\(n^2\) が6の倍数ならば \(n\) は6の倍数である")の真偽を判定せよ。
\(\boxed{\text{エ}}\)(真または偽で答えよ)
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花子「じゃあ、"\(n\) が6の倍数である"ことと"\(n^2\) が6の倍数である"ことは、必要十分条件と言えるかな?」
(1)(2)の結果を整理して判定せよ。(\(n\) が6の倍数ならば \(n^2\) も6の倍数になることは、すぐに確かめられる)
\(\boxed{\text{オ}}\)
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答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
「集合の考え方」と「命題の考え方」は、この章の中でどのようにつながっているか。\(p \Rightarrow q\) と集合の包含関係 \(P \subset Q\) の対応に触れながら説明せよ。
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ある命題を証明するとき、「直接証明」「対偶証明」「背理法」の3つの方法から、どれを選ぶべきかをどう判断すればよいか。それぞれの方法が向いている命題の形に触れながら、判断の手順を説明せよ。