この章で学ぶこと

「集合と命題」は、これから先の数学すべてで使う"考え方の道具"を整理する章。前の章「数と式」で計算力を鍛えたのに続き、この章では「ものの集まりをどう扱うか(集合)」と「主張が正しいかどうかをどう判定するか(命題)」という、暗黙のうちに使われているルールをはっきり言葉にしていく。

とくに必要条件・十分条件の考え方や、対偶・背理法といった証明の技法は、次の章「2次関数」以降で扱う「方程式の解の条件」「場合分けの根拠」などを正確に語るための土台になる。計算そのものは難しくないぶん、論理の順序(何が仮定で何が結論か、矢印はどちら向きか)を丁寧に追う練習だと考えて取り組もう。

学習の順路

この章は3ページ構成。上から順番に進めば、集合の基本 → 命題の判定 → 証明の技法、と自然に積み上がる。

1. 集合 集合の表し方、\(\in\)(要素)と\(\subset\)(部分集合)の違い、共通部分・和集合・補集合、ド・モルガンの法則、要素の個数の公式、部分集合の個数(\(2^n\))を学ぶ。
↓
2. 命題と条件(必要・十分) 命題の真偽と反例の考え方、\(p \Rightarrow q\) と集合の包含の関係、必要条件・十分条件・必要十分条件の判定、条件の否定(ド・モルガンの法則)を学ぶ。
↓
3. 逆・裏・対偶と証明 逆・裏・対偶の作り方と真偽の関係、対偶を利用した証明、背理法、直接証明との使い分けを学ぶ。

要点整理1 集合の基本

\(\in\)(要素と集合) \(a \in A\) は「\(a\) は \(A\) の要素」。1つのものが対象。
\(\subset\)(集合と集合) \(A \subset B\) は「\(A\) の要素が全部 \(B\) にも入っている」。集合どうしの関係。
どんな集合 \(A\) についても \(\varnothing \subset A\)、\(A \subset A\) は常に成り立つ。
要素\(n\)個の集合の部分集合の個数 \[= 2^n\ 個\](要素1個ごとに「入れる・入れない」の2通り。空集合と自分自身も1個と数える)

2つの集合の要素の個数 \[n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B)\]
ド・モルガンの法則(集合)
\(\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}\)(和集合の補集合=補集合どうしの共通部分)
\(\overline{A \cap B} = \overline{A} \cup \overline{B}\)(共通部分の補集合=補集合どうしの和集合)

要点整理2 命題の真偽・必要条件と十分条件

命題が真 → すべての場合で成り立つことを確かめる。
命題が偽 → 成り立たない反例をたった1つ挙げればよい(全部調べる必要はない)。
\(p \Rightarrow q\) が真 → \(p\) は \(q\) であるための十分条件
\(q \Rightarrow p\) が真 → \(p\) は \(q\) であるための必要条件
両方真なら必要十分条件(同値)。判定は2本の矢印をそれぞれ実際に確かめるのが確実。
条件の否定(ド・モルガンの法則)
「\(p\) かつ \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、または \(q\) でない」
「\(p\) または \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、かつ \(q\) でない」

要点整理3 逆・裏・対偶と証明法の使い分け

逆
\(q \Rightarrow p\)
(仮定と結論を入れ替える)
裏
\(\lnot p \Rightarrow \lnot q\)
(仮定も結論もそのまま否定)
対偶
\(\lnot q \Rightarrow \lnot p\)
(入れ替えてから否定)
元の命題と対偶は、必ず真偽が一致する。逆・裏の真偽は元の命題と一致するとは限らない(ただし逆と裏どうしは必ず一致する)。「たぶん逆も真だろう」と決めつけず、実際に確かめること。
直接証明
仮定から式変形でまっすぐ結論へ導ける場合。まずこれができないか考える。
対偶証明
結論(や仮定)を否定すると具体的な形(\(n=2k+1\)など)に書きやすくなる場合。偶数・奇数、倍数がからむ命題でよく使う。
背理法
結論が「〜は存在しない」「〜は無理数」のように否定形・限定的な場合。対偶を作っても扱いにくいときの手段。
手順1 証明したい結論を否定して、それが成り立つと仮定する
↓
手順2 その仮定から式変形や論理を進め、矛盾を導く
↓
手順3 矛盾が生じた以上、手順1の仮定が誤り。よってもとの結論が成り立つ(背理法)

要点整理4 つまずきやすいポイント

\(\in\) と \(\subset\) の混同 要素そのもの(1つのもの)には \(\in\)、集合(かたまり)には \(\subset\)。\(\{4\} \subset A\) は正しいが \(4 \subset A\) とは書かない。

「反例を1つ」で済ませられるのは偽を示すときだけ 真であることを示すには、反例が1つもないことまで確認する必要がある(具体例をいくつか試して満足しない)。

「pはqの何条件か」の矢印の向き \(p \Rightarrow q\) が真なら十分条件、\(q \Rightarrow p\) が真なら必要条件。矢印の出発点が \(p\) か \(q\) かを取り違えると逆になる。

逆・裏の真偽を決めつけない 一致するのは対偶だけ。逆・裏は一致することもあれば、しないこともある。必ず自分で確かめる。

対偶証明と背理法の使い分け 対偶証明は「\(p \Rightarrow q\)」の形の命題向け。結論が「存在しない」「無理数である」のような否定的・限定的な形なら背理法を選ぶ。
まとめテスト(標準)

3ページ分の内容を横断する総合問題、全25問。目標時間30分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。要素を並べる問題は小さい順にコンマ区切りで入力。証明問題は入力欄なしで、自分で書いてから「解説を見る」で確認しよう。

基本(1〜15)
1
集合の演算

\(A = \{2, 4, 6, 8, 10, 12\}\)、\(B = \{4, 8, 12, 16\}\) のとき、\(A \cap B\) と \(A \cup B\) をそれぞれ求めよ。

\(A \cap B = \{\) \(\}\) \(A \cup B = \{\) \(\}\)
解説を見る
両方に入っている数を探すと \(4, 8, 12\)。よって \(A \cap B = \{4,8,12\}\)。 重複させずに全部集めると \(2,4,6,8,10,12,16\)。よって \(A \cup B = \{2,4,6,8,10,12,16\}\)。 \(A \cap B = \{4,8,12\}\)、\(A \cup B = \{2,4,6,8,10,12,16\}\)
2
個数の公式

\(n(A) = 13\)、\(n(B) = 9\)、\(n(A \cap B) = 4\) であるとき、\(n(A \cup B)\) を求めよ。

\(n(A \cup B) =\)
解説を見る
\(n(A \cup B) = n(A) + n(B) - n(A \cap B) = 13 + 9 - 4 = 18\)。 \(n(A \cup B) = 18\)
3
部分集合の個数

集合 \(C = \{a, b, c, d, e, f\}\)(要素6個)の部分集合(空集合や \(C\) 自身も含む)は全部で何個あるか。

部分集合の総数 個
解説を見る
要素それぞれについて「入れる・入れない」の2通りの選び方があり、要素は6個あるので、部分集合の総数は \(2\times2\times2\times2\times2\times2=2^6=64\) 個。 部分集合は全部で64個
4
補集合

\(U = \{1, 2, \ldots, 12\}\) を全体集合とする。\(A\) を \(U\) の中の3の倍数全体の集合とするとき、\(A\) と \(\overline{A}\) をそれぞれ求めよ。

\(A = \{\) \(\}\) \(\overline{A} = \{\) \(\}\)
解説を見る
\(U\) の中の3の倍数を書き出すと \(A = \{3,6,9,12\}\)。 \(U\) の中で \(A\) に入っていない数を集めると \(\overline{A} = \{1,2,4,5,7,8,10,11\}\)。 \(A = \{3,6,9,12\}\)、\(\overline{A} = \{1,2,4,5,7,8,10,11\}\)
5
真偽判定

命題「\(x=6\) ならば \(x^2=36\)」の真偽を答えよ(真/偽を入力)。

答え
解説を見る
\(x=6\) を代入すると \(x^2=6^2=36\) となり成り立つ。 真
6
真偽判定+反例

命題「\(x^2=9\) ならば \(x=3\)」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(x\) の値を求めよ。

真偽  反例 \(x=\)
解説を見る
\(x^2=9\) を満たす \(x\) は \(x=3\) だけでなく \(x=-3\) もある。\(x=-3\) のとき \(x^2=9\) は成り立つが \(x=3\) は成り立たない。 偽(反例:\(x=-3\))
7
十分・必要の判定

\(p\):「\(n\) は8の倍数」、\(q\):「\(n\) は4の倍数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か(十分/必要/必要十分/どちらでもない を入力)。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):8の倍数は \(8=4\times2\) なので必ず4の倍数でもある。真。 \(q \Rightarrow p\):\(n=4\) は4の倍数だが8の倍数ではない。反例があるので偽。 十分条件(必要条件ではない)
8
十分・必要の判定(7の逆)

\(p\):「\(n\) は4の倍数」、\(q\):「\(n\) は8の倍数」とする(7の \(p,q\) を入れ替えたもの)。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(n=4\) は4の倍数だが8の倍数ではない。反例があるので偽。 \(q \Rightarrow p\):8の倍数は必ず4の倍数でもある。真。 必要条件(十分条件ではない)
9
否定を作る(ド・モルガン)

命題「\(x<3\) または \(x>9\)」の否定を作り、\(a \le x \le b\) の形で表すときの \(a,\ b\) の値を求めよ。

\(a=\)  \(b=\)
解説を見る
「\(p\) または \(q\)」の否定は「\(p\) でない、かつ \(q\) でない」。\(p\):「\(x<3\)」の否定は「\(x \ge 3\)」、\(q\):「\(x>9\)」の否定は「\(x \le 9\)」。これを「かつ」でつなぐと \(x \ge 3\) かつ \(x \le 9\)、すなわち \(3 \le x \le 9\)。 \(a=3,\ b=9\)
10
逆の真偽+反例

命題「自然数 \(n\) について、\(n>6\) ならば \(n>3\) である」の逆の真偽を答えよ。また、自然数の中でいちばん小さい反例を1つ答えよ。

逆の真偽  反例 \(n=\)
解説を見る
逆:「\(n>3\) ならば \(n>6\) である」 \(n=4\) は \(3\) より大きいが \(6\) より大きくはない。いちばん小さい反例は \(n=4\)。 偽(反例 \(n=4\))
11
対偶の真偽

命題「自然数 \(n\) について、\(n\) が5の倍数ならば \(n\) は10の倍数である」の対偶の真偽を答えよ(まず元の命題の真偽を考えてから判断しよう)。

対偶の真偽
解説を見る
元の命題を確認する:\(n=5\) は5の倍数だが10の倍数ではない。反例があるので元の命題は偽。 対偶は元の命題と必ず真偽が一致するので、対偶も偽。 偽
12
裏の真偽+反例

命題「\(n=4\) ならば \(n^2=16\) である」の裏(\(\lnot p \Rightarrow \lnot q\) の形)の真偽を答え、偽ならば反例となる \(n\) の値を求めよ。

裏の真偽  反例 \(n=\)
解説を見る
裏:「\(n \ne 4\) ならば \(n^2 \ne 16\) である」 \(n=-4\) は \(4\) ではないが、\(n^2=(-4)^2=16\) となってしまい、結論「\(n^2 \ne 16\)」が成り立たない。 偽(反例 \(n=-4\))
13
条件の判定(抽象)

命題「\(p \Rightarrow q\) が真、\(q \Rightarrow p\) が偽」であることが分かっているとき、\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\) が真であることは、\(p\) が \(q\) であるための十分条件であることをそのまま意味する。\(q \Rightarrow p\) が偽なので、必要条件ではない。 十分条件(必要条件ではない)
14
「〜だけ」の個数

\(n(A) = 18\)、\(n(A \cap B) = 6\) であるとき、「\(A\) だけに入っていて \(B\) には入っていない」個数を求めよ。

Aだけの個数
解説を見る
\(A\) の要素のうち、\(B\) にも入っている分(\(A \cap B\))を除けば「\(A\) だけ」の個数になる。 \(A\) だけの個数 \(= n(A) - n(A \cap B) = 18 - 6 = 12\)。 Aだけに入っている個数は12
15
「どちらでもない」の個数

全体集合 \(U\) について \(n(U) = 40\)、\(n(A \cup B) = 27\) であるとき、\(A\) にも \(B\) にも入っていない個数を求めよ。

どちらにも入っていない個数
解説を見る
「どちらにも入っていない」個数は、全体から \(A \cup B\) を除いたものなので \(n(U) - n(A \cup B) = 40 - 27 = 13\)。 どちらにも入っていない個数は13
発展(16〜25)
16
部分集合の個数(条件付き)

集合 \(C = \{1, 2, 3, 4, 5, 6\}\)(要素6個)の部分集合は全部で何個あるか。また、そのうち要素 \(1\) と \(2\) を両方とも必ず含む部分集合は何個あるか。

部分集合の総数 個 \(1\) と \(2\) を両方含む部分集合 個
解説を見る
要素は6個あるので、部分集合の総数は \(2^6=64\) 個。 要素 \(1\) と \(2\) を必ず含む場合は、\(1\) と \(2\) はどちらも「入れる」に固定されるので、残り \(4\) 個の要素(\(3,4,5,6\))だけが自由に選べる。よってその個数は \(2^4=16\) 個。 部分集合は全部で64個、そのうち1と2を両方含むものは16個
17
3つの集合の個数

60人にアンケートをとったところ、バスケが好きな人は28人、サッカーが好きな人は25人、野球が好きな人は20人、バスケとサッカーの両方が好きな人は12人、サッカーと野球の両方が好きな人は10人、バスケと野球の両方が好きな人は9人、3つとも好きな人は5人であった。バスケ・サッカー・野球のうち少なくとも1つが好きな人は何人か。また、どれも好きでない人は何人か。

少なくとも1つ好き 人 どれも好きでない 人
解説を見る
バスケ・サッカー・野球の集合をそれぞれ \(D, S, Y\) とする。3つの集合の場合、2つずつの重なりをそれぞれ引き、3つとも重なる部分を最後に1回足し戻す。 \(n(D \cup S \cup Y) = n(D) + n(S) + n(Y) - n(D \cap S) - n(S \cap Y) - n(D \cap Y) + n(D \cap S \cap Y)\) \(= 28 + 25 + 20 - 12 - 10 - 9 + 5\) \(= 73 - 31 + 5 = 47\)。 全体は60人なので、どれも好きでない人は \(60 - 47 = 13\) 人。 少なくとも1つ好きな人は47人、どれも好きでない人は13人
18
ド・モルガン×個数

全体集合 \(U = \{1, 2, \ldots, 30\}\) の部分集合として、\(A\) を \(U\) の中の5の倍数全体、\(B\) を \(U\) の中の6の倍数全体とする。ド・モルガンの法則 \(\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}\) を用いて、5の倍数でも6の倍数でもない数の個数を求めよ。

5の倍数でも6の倍数でもない数の個数 個
解説を見る
まず \(A\), \(B\) を書き出す。\(A = \{5,10,15,20,25,30\}\) より \(n(A)=6\)。\(B=\{6,12,18,24,30\}\) より \(n(B)=5\)。 \(A \cap B\) は \(5\) と \(6\) の公倍数、つまり \(30\) の倍数のうち \(30\) 以下のもので \(\{30\}\)、\(n(A \cap B)=1\)。 \(n(A \cup B) = 6 + 5 - 1 = 10\)。 求めたいのは「5の倍数でも6の倍数でもない数」、つまり \(\overline{A \cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}\) の個数。これは全体から \(A \cup B\) を除いたものなので、\(n(\overline{A \cup B}) = n(U) - n(A \cup B) = 30 - 10 = 20\)。 5の倍数でも6の倍数でもない数は20個
19
必要十分(因数分解)

\(x\) を実数とする。\(p\):「\(x^2-6x+9=0\)」、\(q\):「\(x=3\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x^2-6x+9=(x-3)^2\) なので、\(x^2-6x+9=0\) は \((x-3)^2=0\)、つまり \(x=3\) しか解を持たない(2乗が0になるのは中身が0のときだけ)。よって \(p\) が成り立てば \(x=3\)、真。 \(q \Rightarrow p\):\(x=3\) のとき \(9-18+9=0\)。真。 両方の矢印が真なので同値。 必要十分条件
20
推移律

3つの条件 \(p,\ q,\ r\) について、命題「\(p \Rightarrow q\)」と「\(q \Rightarrow r\)」がともに真であることが分かっている。このとき、\(p\) は \(r\) であるための何条件といえるか。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\) が真で \(q \Rightarrow r\) が真ならば、\(p\) が成り立つとき \(q\) が成り立ち、\(q\) が成り立つとき \(r\) が成り立つ。この鎖をつなげると、\(p\) が成り立てば必ず \(r\) も成り立つ、すなわち「\(p \Rightarrow r\)」も真だといえる(推移律)。 一方、逆の「\(r \Rightarrow p\)」が真かどうかは、この情報だけでは決まらない(別途確かめる必要がある)。 十分条件(必要条件かどうかはこの情報だけでは決まらない)
21
逆・裏・対偶をまとめて判定

命題「実数 \(x\) について、\(x^2-16=0\) ならば \(x=4\) である」の逆・裏・対偶それぞれの真偽を答えよ。

逆の真偽  裏の真偽  対偶の真偽
解説を見る
まず元の命題を確認する:\(x^2-16=0\) を解くと \(x=4\) と \(x=-4\)。\(x=-4\) は反例なので、元の命題は偽。 逆:「\(x=4\) ならば \(x^2-16=0\)」→ \(16-16=0\) となり成り立つ。真 裏:「\(x^2-16 \ne 0\) ならば \(x \ne 4\)」→ 逆・裏は必ず真偽が一致するので、逆が真なら裏も真。 対偶:「\(x \ne 4\) ならば \(x^2-16 \ne 0\)」→ 対偶は元の命題と必ず真偽が一致するので、元が偽なら対偶も偽(実際 \(x=-4\) は \(4\) ではないのに \(x^2-16=0\) となり、結論「\(x^2-16 \ne 0\)」が破れる)。 逆:真、裏:真、対偶:偽
22
背理法の証明

\(a,\ b\) を有理数とする。「\(a+b\sqrt2=0\) ならば \(a=0\) かつ \(b=0\) である」ことを証明せよ。(\(\sqrt2\) が無理数であることは証明済みとしてよい)

解答を見る
結論を否定して、\(b \ne 0\) であると仮定する(\(a=0\) かつ \(b=0\) の否定は「\(a \ne 0\) または \(b \ne 0\)」だが、まず \(b\) について場合分けして考える)。 (1) \(b \ne 0\) のとき 仮定 \(a+b\sqrt2=0\) を変形すると \[\sqrt2 = -\dfrac{a}{b}\] \(a,\ b\) は有理数で \(b \ne 0\) だから、右辺 \(-\dfrac{a}{b}\) は有理数どうしの計算結果、すなわち有理数である。つまり \(\sqrt2\) が有理数ということになるが、これは「\(\sqrt2\) は無理数である」ことに矛盾する。よって \(b \ne 0\) という場合はあり得ず、\(b=0\) でなければならない。 (2) \(b=0\) のとき このとき仮定 \(a+b\sqrt2=0\) は \(a+0=0\)、すなわち \(a=0\) となる。 (1)より \(b=0\) が確定し、(2)よりそのとき \(a=0\) も確定する。したがって、 \(a+b\sqrt2=0\) ならば \(a=0\) かつ \(b=0\) である
23
必要十分(2変数・実数条件)

\(a,\ b\) を実数とする。\(p\):「\(a=3\) かつ \(b=-2\)」、\(q\):「\((a-3)^2+(b+2)^2=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(a=3,\ b=-2\) ならば \((3-3)^2+(-2+2)^2=0+0=0\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(a,\ b\) が実数のとき \((a-3)^2 \ge 0\)、\((b+2)^2 \ge 0\) が必ず成り立つ。和が0になるのは、2つとも0のとき以外にありえない。よって \(a-3=0\) かつ \(b+2=0\)、すなわち \(a=3\) かつ \(b=-2\)。真。 両方の矢印が真なので同値。 注意:この同値関係は \(a,\ b\) が実数であることが前提(実数の2乗は0以上、という性質を使っている)。 必要十分条件(ただし \(a,\ b\) が実数であることが前提)
24
個数の文章題(方程式で逆算)

45人のクラスで、数学が得意な生徒の人数は、英語が得意な生徒の人数よりちょうど3人多かった。両方得意な生徒は10人、どちらも得意でない生徒は8人であった。英語が得意な生徒、数学が得意な生徒はそれぞれ何人か。

英語が得意 人 数学が得意 人
解説を見る
英語が得意な生徒の人数を \(x\) とすると、数学が得意な生徒は \(x+3\)。 「どちらも得意でない」生徒が8人なので、「数学か英語のどちらかが得意」な生徒は \(45-8=37\) 人。 公式 \(n(数学 \cup 英語) = n(数学) + n(英語) - n(数学 \cap 英語)\) にあてはめると、 \((x+3) + x - 10 = 37\) \(2x - 7 = 37\) \(2x = 44\) \(x = 22\)。 よって英語が得意な生徒は22人、数学が得意な生徒は \(22+3=25\) 人。 検算:\(25+22-10=37\)(数学か英語のどちらかが得意)、\(45-37=8\)(どちらも得意でない)で条件と一致する。 英語が得意な生徒は22人、数学が得意な生徒は25人
25
対偶証明(余りによる場合分け)

\(n\) を整数とする。「\(n^2\) が5の倍数ならば \(n\) は5の倍数である」を証明せよ。

解答を見る
元の命題を直接証明しようとすると、「\(n^2\) が5の倍数」という条件から \(n\) の形を直接読み取るのは難しい。そこで対偶を考える。 対偶:「\(n\) が5の倍数でないならば \(n^2\) は5の倍数でない」 \(n\) が5の倍数でないとき、\(n\) を5で割った余りは \(1,\ 2,\ 3,\ 4\) のいずれかになる(余り0は「5の倍数」の場合なので除く)。そこで、ある整数 \(k\) を使って \(n=5k+r\)(\(r=1,2,3,4\))とおき、余りごとに場合分けして \(n^2\) を計算する。 (1) \(r=1\) のとき(\(n=5k+1\)) \(n^2=(5k+1)^2=25k^2+10k+1=5(5k^2+2k)+1\) \(5k^2+2k\) は整数だから、\(n^2\) は「5×整数+1」の形。5の倍数ではない。 (2) \(r=2\) のとき(\(n=5k+2\)) \(n^2=(5k+2)^2=25k^2+20k+4=5(5k^2+4k)+4\) \(5k^2+4k\) は整数だから、\(n^2\) は「5×整数+4」の形。5の倍数ではない。 (3) \(r=3\) のとき(\(n=5k+3\)) \(n^2=(5k+3)^2=25k^2+30k+9=5(5k^2+6k+1)+4\) \(5k^2+6k+1\) は整数だから、\(n^2\) は「5×整数+4」の形。5の倍数ではない。 (4) \(r=4\) のとき(\(n=5k+4\)) \(n^2=(5k+4)^2=25k^2+40k+16=5(5k^2+8k+3)+1\) \(5k^2+8k+3\) は整数だから、\(n^2\) は「5×整数+1」の形。5の倍数ではない。 余り \(r\) と \(n^2\) を5で割った余りの対応をまとめると、次の表のようになる。
\(n\)を5で割った余り1234
\(n^2\)を5で割った余り1441
(1)〜(4) のどの場合も \(n^2\) を5で割った余りは0にならない、つまり \(n^2\) は5の倍数にならないので、対偶は真。対偶が真であることと元の命題が真であることは同値だから、 「\(n^2\) が5の倍数ならば \(n\) は5の倍数である」は真
共通テスト形式チャレンジ(大問1)

目標時間 8分/配点 20点

文化祭実行委員の太郎さんと花子さんが、来場アンケートの結果について話している。全校生徒200人にアンケートをとったところ、「文化祭のパンフレットを読んだ」生徒と「文化祭のSNSをフォローした」生徒について、次のことが分かった。

太郎「パンフレットを読んだ生徒は120人、SNSをフォローした生徒は95人だったよ。」
花子「じゃあ、どちらもしなかった生徒の人数も教えて。」
太郎「それは40人だったよ。」
花子「その情報があれば、両方した生徒の人数も求められるはずだね。」
(1)

パンフレットを読んだか、SNSをフォローしたか、少なくとも一方をした生徒の人数を求めよ。全校生徒数から「どちらもしなかった」人数を引けばよい。

\(200-40=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\boxed{\text{ウ}}\)(人)

アイウ
解説を見る
全校生徒200人のうち「どちらもしなかった」生徒が40人なので、「少なくとも一方をした」生徒は、全体からその分を除けばよい。 \(200-40=160\) 少なくとも一方をした生徒は160人
(2)

(1)で求めた160人と、集合の要素の個数の公式 \(n(A\cup B)=n(A)+n(B)-n(A\cap B)\) を用いると、パンフレットを読み、かつSNSもフォローした生徒(両方した生徒)の人数は \(\boxed{\text{エ}}\boxed{\text{オ}}\)人 である。

エオ
解説を見る
パンフレットを読んだ生徒の集合を \(P\)、SNSをフォローした生徒の集合を \(S\) とすると、\(n(P)=120\)、\(n(S)=95\)、\(n(P\cup S)=160\)((1)の結果)。 公式 \(n(P\cup S)=n(P)+n(S)-n(P\cap S)\) にあてはめると、 \(160=120+95-n(P\cap S)\) \(160=215-n(P\cap S)\) \(n(P\cap S)=215-160=55\) 両方した生徒は55人
(3)

パンフレットは読んだが、SNSはフォローしなかった生徒の人数を求めよ。

\(\boxed{\text{カ}}\boxed{\text{キ}}\)人

カキ
解説を見る
「パンフレットは読んだがSNSはフォローしなかった」人数は、パンフレットを読んだ生徒から、両方した生徒((2)で求めた55人)を除けばよい。 \(n(P)-n(P\cap S)=120-55=65\) パンフレットだけ読んだ生徒は65人
共通テスト形式チャレンジ(大問2)

目標時間 8分/配点 20点

太郎さんと花子さんは、数学の授業で出た「自然数 \(n\) について、\(n^2\) がある数の倍数ならば、\(n\) もその数の倍数といえるか」という問題について話し合っている。

太郎「先生が『\(n^2\) が12の倍数ならば、\(n\) は12の倍数である』という命題を黒板に書いたよ。これは正しいと思う?」
花子「反例が見つかれば、この命題はすぐに偽だと分かるよね。具体的な数で試してみよう。」
(1)

\(n=6\) のときの \(n^2\) の値を求め、この命題(\(n^2\) が12の倍数ならば \(n\) は12の倍数である)が真か偽かを判定せよ(\(n=6\) がこの命題の反例になっているかどうかを確認すればよい)。

\(n^2=\boxed{\text{ア}}\boxed{\text{イ}}\) この命題は \(\boxed{\text{ウ}}\)(真または偽で答えよ)

アイ  ウ
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\(n=6\) のとき \(n^2=36\)。\(36\div12=3\) なので \(36\) は12の倍数。しかし \(6\) は12の倍数ではない(\(6\div12\) は割り切れない)。 よって \(n=6\) は「\(n^2\) が12の倍数だが \(n\) は12の倍数でない」という反例になっている。反例が1つでも見つかれば、命題は偽だといえる。 \(n^2=36\)、この命題は偽(反例 \(n=6\))
(2)

花子「じゃあ、"\(n^2\) が6の倍数ならば \(n\) は6の倍数である"だったらどうかな? 12ではなく6で考えてみよう。」
太郎「6は \(2\times3\) だから、2と3に分けて考えられそうだね。」

すでに学んだ2つの事実「\(n^2\) が偶数(2の倍数)ならば \(n\) は偶数である」と「\(n^2\) が3の倍数ならば \(n\) は3の倍数である」を組み合わせて、この命題("\(n^2\) が6の倍数ならば \(n\) は6の倍数である")の真偽を判定せよ。

\(\boxed{\text{エ}}\)(真または偽で答えよ)

エ
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\(6=2\times3\) なので、\(n^2\) が6の倍数であるとき、\(n^2\) は2の倍数でもあり3の倍数でもある。 「\(n^2\) が2の倍数ならば \(n\) は2の倍数である」という事実より、\(n\) は2の倍数。 「\(n^2\) が3の倍数ならば \(n\) は3の倍数である」という事実より、\(n\) は3の倍数。 \(n\) が2の倍数であり、かつ3の倍数でもあるならば、\(2\) と \(3\) は互いに素(1以外に共通の約数を持たない)なので、\(n\) は \(2\times3=6\) の倍数である。 よってこの命題は真。(1)では12の場合に反例(\(n=6\))が見つかったが、6の場合は真になる。この違いは、\(12=2^2\times3\) のように同じ素数を2回以上含む数と、\(6=2\times3\) のように素数がそれぞれ1回だけの数とで、\(n^2\) の割り切れ方が違ってくることに関係している。 真
(3)

花子「じゃあ、"\(n\) が6の倍数である"ことと"\(n^2\) が6の倍数である"ことは、必要十分条件と言えるかな?」

(1)(2)の結果を整理して判定せよ。(\(n\) が6の倍数ならば \(n^2\) も6の倍数になることは、すぐに確かめられる)

\(\boxed{\text{オ}}\)

オ
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\(p\):「\(n\) が6の倍数」、\(q\):「\(n^2\) が6の倍数」とする。 \(p \Rightarrow q\):\(n\) が6の倍数なら \(n=6m\)(\(m\) は整数)と書けるので、\(n^2=36m^2=6\times6m^2\) となり6の倍数。真。 \(q \Rightarrow p\):(2)で示した通り、\(n^2\) が6の倍数ならば \(n\) は6の倍数。真。 両方の矢印が真なので、\(p\) と \(q\) は必要十分条件(同値)である。 必要十分条件
記述チャレンジ

答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。

記1

「集合の考え方」と「命題の考え方」は、この章の中でどのようにつながっているか。\(p \Rightarrow q\) と集合の包含関係 \(P \subset Q\) の対応に触れながら説明せよ。

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条件 \(p\) を満たすもの全体の集合を \(P\)、条件 \(q\) を満たすもの全体の集合を \(Q\) とすると、命題「\(p \Rightarrow q\)」(\(p\) ならば \(q\))が真であることと、\(P \subset Q\)(\(P\) が \(Q\) にすっぽり含まれること)は、まったく同じことを言っている。つまり「集合の包含関係」は「命題の真偽」を図として見る方法であり、この章の前半(集合)と後半(命題)は、同じ内容を2つの言葉(記号の言葉と、包含関係の図)で表しているにすぎない。 この対応があるおかげで、命題が偽であることを示す「反例」は、集合の言葉では「\(P\) に属するが \(Q\) に属さない要素」として、図で直接見つけられるようになる。逆に、\(P \subset Q\) が成り立つことをベン図で確認できれば、それがそのまま「\(p \Rightarrow q\) は真」であることの根拠になる。 さらに、必要条件・十分条件という言葉も、この対応の上に成り立っている。\(P \subset Q\) のとき、\(P\) は \(Q\) と同じか、それよりも範囲の狭い集合なので、\(P\) に入っていること(\(p\))は \(Q\) に入っていること(\(q\))よりも「厳しい・限定的な」条件になる。だから \(p\) が成り立てば \(q\) は自動的に成り立つ(\(p\) は \(q\) であるための十分条件)が、逆に \(q\) が成り立っても \(p\) が成り立つとは限らない、という関係が図から直感的に理解できる。 「\(p \Rightarrow q\) が真」であることと「\(P \subset Q\)」であることは同じ内容を表しており、集合の包含関係を使うと、命題の真偽・反例・必要条件と十分条件のすべてを図として直感的に確認できる。
記2

ある命題を証明するとき、「直接証明」「対偶証明」「背理法」の3つの方法から、どれを選ぶべきかをどう判断すればよいか。それぞれの方法が向いている命題の形に触れながら、判断の手順を説明せよ。

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3つの証明方法は、どれか1つがつねに正解というわけではなく、証明したい命題の「結論の形」を見て選ぶのがコツである。 まず最初に検討すべきは直接証明である。仮定から式変形や計算をまっすぐ進めれば結論にたどり着ける場合は、これがいちばん自然で分かりやすい方法になる。例えば「すべての実数 \(x\) について \(x^2-4x+5>0\)」のような命題は、平方完成するだけで \((x-2)^2+1>0\) と直接示せるので、対偶や背理法を持ち出す必要はない。 直接証明が難しいと感じたら、次に対偶証明を検討する。対偶「\(\lnot q \Rightarrow \lnot p\)」は元の命題と必ず真偽が一致するので、対偶さえ証明できれば元の命題の証明として十分である。とくに結論(や仮定)を否定すると、「\(n\) は奇数である」のように具体的な形(\(n=2k+1\))に書けるようになる命題――偶数・奇数や倍数がからむ命題――でこの方法が力を発揮する。仮定が「\(n^2\) は偶数」のような、そのままでは扱いにくい否定しにくい条件のときも、対偶を取れば仮定が具体的な形に変わり、証明しやすくなる。 最後に、結論がそもそも「〜は存在しない」「〜は無理数である」のように否定形・限定的な形をしている命題には背理法を使う。このような結論は対偶を作っても結局否定形のままで扱いにくいことが多いため、「結論が成り立たないと仮定すると矛盾が起きる。だから結論は成り立つ」という背理法の構造がいちばん有効になる。 まず直接証明を試し、仮定・結論の否定が具体的な形に書けそうなら対偶証明、結論が「存在しない」「〜でない数である」のような否定形・限定的な形なら背理法――という順番で考えると、証明方法を選びやすい。