STEP 1

命題と真偽・反例

「\(x=2\) ならば \(x^2=4\)」のように、正しいか正しくないか(真偽)がはっきり決まる文や式を命題という。命題が真であることを示すには、あてはまる場合すべてで成り立つことを確かめる必要があるが、であることを示すのは実は簡単で、成り立たない例(反例)をたった1つ見つければそれで終わり。全部の場合を調べる必要はない。

例題1 命題「\(x=2\) ならば \(x^2=4\)」は真か偽か判定せよ。

解答を見る
\(x=2\) を実際に代入すると \(x^2 = 2^2 = 4\) となり、成り立つ。

例題2 命題「\(x^2=4\) ならば \(x=2\)」は真か偽か判定せよ。偽の場合は反例を1つ挙げよ。

解答を見る
\(x^2=4\) を満たす \(x\) は \(x=2\) だけでなく \(x=-2\) もある。\(x=-2\) のとき \(x^2=(-2)^2=4\) は成り立つが、\(x=2\) は成り立たない。 偽(反例:\(x=-2\))
命題がであることを示す → 一般的な議論・計算ですべての場合を確かめる。
命題がであることを示す → 成り立たない反例をたった1つ挙げればよい。「\(x^2=4\) ならば \(x=2\)」と「\(x=2\) ならば \(x^2=4\)」は別の命題で、真偽が違うことに注意しよう。
STEP 2

\(p \Rightarrow q\) と集合の包含

条件 \(p\) を満たすもの全体の集合を \(P\)、条件 \(q\) を満たすもの全体の集合を \(Q\) とする。このとき「\(p \Rightarrow q\)」(\(p\) ならば \(q\))が真であることと、\(P\) が \(Q\) にすっぽり含まれること(\(P \subset Q\))は、まったく同じことを言っている。

例題 \(p\):「\(x\) は4の倍数」、\(q\):「\(x\) は2の倍数」とする。\(P \subset Q\) といえるか。

解答を見る
4の倍数は必ず2の倍数でもある(\(4=2\times2\) なので、\(4\) で割り切れるなら \(2\) でも割り切れる)。つまり \(P\) の要素はすべて \(Q\) の要素。 \(P \subset Q\) が成り立つ(\(p \Rightarrow q\) は真)
\(P \subset Q\) ⇔ 「\(p \Rightarrow q\)」は真。図で確かめるときは「\(p\) だが \(q\) でない」部分(反例が住む場所)が空かどうかをチェックすればよい。
STEP 3

必要条件・十分条件・必要十分条件

「\(p \Rightarrow q\)」が真のとき、\(p\) は \(q\) であるための十分条件、\(q\) は \(p\) であるための必要条件と呼ぶ。「\(p \Rightarrow q\)」と、その逆「\(q \Rightarrow p\)」の両方が真なら、\(p\) と \(q\) は互いの必要十分条件(同値)。判定は覚え方に頼らず、2つの矢印それぞれの真偽を実際に確かめるのが確実。

\(p \Rightarrow q\) が真 → \(p\) は \(q\) であるための十分条件(\(p\) が成り立てば \(q\) が成り立つのに十分)
\(q \Rightarrow p\) が真 → \(p\) は \(q\) であるための必要条件(\(q\) が成り立つには \(p\) が必ず成り立っている必要がある)

判定の手順

手順1 命題「\(p \Rightarrow q\)」が真か偽かを調べる(反例が1つでもあれば偽)
手順2 その逆の命題「\(q \Rightarrow p\)」が真か偽かを調べる
\(p \Rightarrow q\) 真・\(q \Rightarrow p\) 真
\(p\) は \(q\) であるための必要十分条件
\(p \Rightarrow q\) 真・\(q \Rightarrow p\) 偽
\(p\) は \(q\) であるための十分条件(必要条件ではない)
\(p \Rightarrow q\) 偽・\(q \Rightarrow p\) 真
\(p\) は \(q\) であるための必要条件(十分条件ではない)
\(p \Rightarrow q\) 偽・\(q \Rightarrow p\) 偽
\(p\) と \(q\) はどちらでもない(無関係)

例題 \(p\):「\(x=3\)」、\(q\):「\(x^2-5x+6=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるためのどんな条件か。

解答を見る
手順1:\(p \Rightarrow q\) を確かめる。\(x=3\) のとき \(x^2-5x+6 = 9-15+6=0\) となり成り立つ。よって真。 手順2:\(q \Rightarrow p\) を確かめる。\(x^2-5x+6=0\) を解くと \((x-2)(x-3)=0\) より \(x=2,\ 3\)。\(x=2\) は \(q\) を満たすが \(p\)(\(x=3\))は満たさない。よって反例があり偽。 \(p \Rightarrow q\) 真・\(q \Rightarrow p\) 偽なので、手順の表の該当欄にあてはめる。 \(p\) は \(q\) であるための十分条件(必要条件ではない)
STEP 4

条件の否定と「かつ」「または」(ド・モルガンの法則)

条件 \(p\) の否定は「\(p\) でない」で、これを \(\overline{p}\) と書く。2つの条件を組み合わせるときの否定には次の規則があり、これをド・モルガンの法則という。

「\(p\) かつ \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、または \(q\) でない」
「\(p\) または \(q\)」の否定 → 「\(p\) でない、かつ \(q\) でない」

「かつ」の否定は「または」に、「または」の否定は「かつ」に入れ替わる。ベン図で見ると、それぞれの範囲がぴったり反転していることが分かる。

不等式の範囲でも同じ考え方が使える。「\(x<1\) または \(x>5\)」の否定は、それぞれを否定して「かつ」でつなぎ、「\(x \ge 1\) かつ \(x \le 5\)」、つまり「\(1 \le x \le 5\)」になる。

例題 条件「\(x\) は2の倍数である、かつ、\(x\) は3の倍数である」の否定をド・モルガンの法則を使って作れ。

解答を見る
「\(p\) かつ \(q\)」の否定は「\(p\) でない、または \(q\) でない」なので、それぞれの条件を否定して「または」でつなぐ。 「\(x\) は2の倍数でない、または、\(x\) は3の倍数でない」
練習問題(全18問)

「十分」「必要」「必要十分」「どちらでもない」のいずれかで答える問題が中心。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜6)
1
真偽判定

命題「\(x=5\) ならば \(x^2=25\)」の真偽を答えよ(真/偽を入力)。

答え
解説を見る
\(x=5\) を代入すると \(x^2=5^2=25\) となり成り立つ。
2
真偽判定+反例

命題「\(x^2=25\) ならば \(x=5\)」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(x\) の値を求めよ。

真偽  反例 \(x=\)
解説を見る
\(x^2=25\) を満たすのは \(x=5\) と \(x=-5\)。\(x=-5\) のとき \(x^2=25\) は成り立つが \(x=5\) は成り立たない。 偽(反例:\(x=-5\))
3
十分・必要の判定

\(p\):「\(n\) は9の倍数」、\(q\):「\(n\) は3の倍数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か(十分/必要/必要十分/どちらでもない を入力)。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):9の倍数は \(9=3\times3\) なので必ず3の倍数でもある。真。 \(q \Rightarrow p\):\(n=3\) は3の倍数だが9の倍数ではない。反例があるので偽。 十分条件(必要条件ではない)
4
十分・必要の判定(3の逆)

\(p\):「\(n\) は3の倍数」、\(q\):「\(n\) は9の倍数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(n=3\) は3の倍数だが9の倍数ではない。反例があるので偽。 \(q \Rightarrow p\):9の倍数は必ず3の倍数でもある。真。 必要条件(十分条件ではない)
5
十分・必要の判定(不等式)

\(p\):「\(x>4\)」、\(q\):「\(x>1\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x>4\) ならば当然 \(x>1\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(x=2\) は \(x>1\) を満たすが \(x>4\) は満たさない。反例があるので偽。 十分条件(必要条件ではない)
6
十分・必要の判定(図形)

\(p\):「四角形ABCDは正方形である」、\(q\):「四角形ABCDは長方形である」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):正方形は4つの角がすべて直角なので、必ず長方形でもある。真。 \(q \Rightarrow p\):縦横の長さが違う長方形は正方形ではない。反例があるので偽。 十分条件(必要条件ではない)
標準(7〜14)
7

\(p\):「\(x=3\)」、\(q\):「\(x^2-5x+6=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
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\(p \Rightarrow q\):\(x=3\) のとき \(9-15+6=0\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(x^2-5x+6=0\) を解くと \((x-2)(x-3)=0\) より \(x=2,\ 3\)。\(x=2\) は反例。偽。 十分条件(必要条件ではない)
8

\(p\):「\(x^2-5x+6=0\)」、\(q\):「\(x=3\)」とする(7の \(p,q\) を入れ替えたもの)。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x^2-5x+6=0\) の解は \(x=2,\ 3\)。\(x=2\) は \(p\) を満たすが \(q\)(\(x=3\))を満たさない。反例があり偽。 \(q \Rightarrow p\):\(x=3\) ならば \(9-15+6=0\) が成り立つ。真。 必要条件(十分条件ではない)
9

\(p\):「\(x=4\)」、\(q\):「\(2x-8=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x=4\) のとき \(2\times4-8=0\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(2x-8=0\) を解くと \(x=4\)。真。 両方の矢印が真なので同値。 必要十分条件
10

\(p\):「\(x>1\)」、\(q\):「\(x<8\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x=100\) は \(x>1\) を満たすが \(x<8\) は満たさない。反例があり偽。 \(q \Rightarrow p\):\(x=-5\) は \(x<8\) を満たすが \(x>1\) は満たさない。反例があり偽。 どちらも偽なので無関係。 どちらでもない
11
集合を使った判定

\(p\):「\(x \in \{2,\ 4,\ 6\}\)」、\(q\):「\(x\) は偶数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(2,\ 4,\ 6\) はすべて偶数。真。 \(q \Rightarrow p\):\(x=8\) は偶数だが集合 \(\{2,4,6\}\) の要素ではない。反例があり偽。 十分条件(必要条件ではない)
12
真偽判定+反例

命題「自然数 \(n\) が素数ならば \(n\) は奇数である」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(n\) の値を求めよ。

真偽  反例 \(n=\)
解説を見る
素数は「1とその数自身以外に約数を持たない2以上の整数」。\(n=2\) は素数だが偶数なので、奇数であるという結論が成り立たない。 偽(反例:\(n=2\))
13
否定を作る(ド・モルガン)

条件「\(x\) は2の倍数である、かつ、\(x\) は3の倍数である」の否定を、ド・モルガンの法則を用いて作れ。

解説を見る
「\(p\) かつ \(q\)」の否定は「\(p\) でない、または \(q\) でない」。 「\(x\) は2の倍数でない、または、\(x\) は3の倍数でない」
14
「かつ」を含む条件

\(p\):「\(x>1\) かつ \(x<4\)」、\(q\):「\(x>0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(1<x<4\) ならば \(x>1>0\) なので \(x>0\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(x=100\) は \(x>0\) を満たすが \(1<x<4\) は満たさない。反例があり偽。 十分条件(必要条件ではない)
挑戦(15〜18)
15
2乗と不等式(混同注意)

\(p\):「\(x>2\)」、\(q\):「\(x^2>4\)」とする(\(x\) は実数)。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x>2\) ならば \(x\) は正で2より大きいので、2乗すると \(x^2>4\)。真。 \(q \Rightarrow p\):\(x=-3\) は \(x^2=9>4\) を満たすが \(x>2\) は満たさない。反例があり偽。 十分条件(必要条件ではない)
16
15の逆・混同しやすい組

\(p\):「\(x^2>4\)」、\(q\):「\(x>2\)」とする(\(x\) は実数、15の \(p,q\) を入れ替えたもの)。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x=-3\) は \(x^2=9>4\) を満たすが \(x>2\) は満たさない。反例があり偽(\(x^2>4\) は \(x>2\) だけでなく \(x<-2\) の場合も含むことに注意)。 \(q \Rightarrow p\):\(x>2\) ならば \(x^2>4\)。真。 必要条件(十分条件ではない)
17
図形の同値な言い換え

\(p\):「三角形ABCは正三角形である」、\(q\):「三角形ABCの3つの内角はすべて60°である」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):正三角形は3辺がすべて等しいので、二等辺三角形の性質(底角が等しい)を2回使うと3つの内角もすべて等しく、和が180°であることから各角は60°になる。真。 \(q \Rightarrow p\):3つの内角がすべて60°ならば、少なくとも2つの角が等しい二等辺三角形が2組できることになり、結局3辺すべてが等しくなる。真。 必要十分条件
18
「または」を含む条件

\(p\):「\(n\) は4の倍数、または \(n\) は6の倍数」、\(q\):「\(n\) は2の倍数」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):4の倍数も6の倍数も、どちらも2で割り切れるので必ず2の倍数。真。 \(q \Rightarrow p\):\(n=2\) は2の倍数だが、4の倍数でも6の倍数でもない。反例があり偽。 十分条件(必要条件ではない)
応用問題(プリント限定)

ここから先はPDF限定の腕試し。入試の基礎レベルに挑戦しよう。

応1
絶対値・混同しやすい組

命題「実数 \(x\) について、\(|x|=3\) ならば \(x=3\)」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(x\) の値を求めよ。

真偽  反例 \(x=\)
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絶対値の定義より \(|x|=3\) を満たす実数は \(x=3\) と \(x=-3\) の2つ。\(x=-3\) のとき \(|x|=3\) は成り立つが \(x=3\) は成り立たない。 偽(反例:\(x=-3\))
応2
2乗の和と必要十分

実数 \(x,\ y\) について、\(p\):「\(x=0\) かつ \(y=0\)」、\(q\):「\(x^2+y^2=0\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
\(p \Rightarrow q\):\(x=0,\ y=0\) ならば \(x^2+y^2=0+0=0\)。真。 \(q \Rightarrow p\):実数の2乗は必ず0以上(\(x^2 \ge 0,\ y^2 \ge 0\))。和が0になるのは、2つとも0のときしかない。つまり \(x=0\) かつ \(y=0\)。真。 両方の矢印が真なので同値。 必要十分条件
応3
集合を使った判定+反例

\(1\) 以上 \(20\) 以下の自然数全体を全体集合 \(U\) とする。\(A\):4の倍数の集合、\(B\):8の倍数の集合とするとき、命題「\(x \in A\) ならば \(x \in B\)」の真偽を答え、偽ならば反例となる \(x\) の値のうち最小のものを求めよ。

真偽  反例(最小) \(x=\)
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\(A=\{4,\ 8,\ 12,\ 16,\ 20\}\)、\(B=\{8,\ 16\}\)。\(A\) の要素のうち \(B\) に入っていないものがある(\(4,\ 12,\ 20\))ので、\(A \subset B\) は成り立たない。反例のうち最小のものは \(x=4\)。 偽(反例:\(x=4\))
応4
絶対値の定義と必要十分

実数 \(x\) について、\(p\):「\(|x|=3\)」、\(q\):「\(x=3\) または \(x=-3\)」とする。\(p\) は \(q\) であるための何条件か。

答え
解説を見る
絶対値の定義そのものにより、「\(|x|=3\)」と「\(x=3\) または \(x=-3\)」はまったく同じ実数の集まりを表す。したがって \(p \Rightarrow q\)、\(q \Rightarrow p\) はどちらも真。 必要十分条件
応5
ド・モルガン×不等式

命題「\(x<1\) または \(x>5\)」の否定を作り、\(a \le x \le b\) の形で表すときの \(a,\ b\) の値を求めよ。

\(a=\)  \(b=\)
解説を見る
「\(p\) または \(q\)」の否定は「\(p\) でない、かつ \(q\) でない」。\(p\):「\(x<1\)」の否定は「\(x \ge 1\)」、\(q\):「\(x>5\)」の否定は「\(x \le 5\)」。これを「かつ」でつなぐと \(x \ge 1\) かつ \(x \le 5\)、すなわち \(1 \le x \le 5\)。 \(a=1,\ b=5\)