この範囲の全体像

数III全体は「極限」という考え方を土台にして組み立てられた3章構成である。第1章「極限」では、数列の極限・関数の極限を通じて「限りなく近づく」という考え方を鍛え、はさみうちの原理や不定形の処理(因数分解・有理化)といった計算技術を一通りそろえると同時に、連続性・中間値の定理・ネイピア数\(e\)という、この先ずっと使い続ける道具を手に入れる。この章は独立した単元というより、後続の2章のための「言葉」を用意する章という性格が強い。

第2章「微分法」は、その極限の言葉を全面的に使って組み立てられている。数IIで学んだ多項式の微分公式を、\(\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1\)という極限公式を使って三角関数へ、\(e\)の定義を使って指数関数・対数関数へと拡張していく。微分係数そのものが「平均変化率の極限」\(\displaystyle f'(a)=\lim_{h\to0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}\)として定義されているのだから、これは当然の帰結でもある。こうして手に入れた導関数を使って、接線・増減・極値・グラフの概形、さらには方程式の解の個数、不等式の証明、速度・加速度、近似式といった応用へと展開していく。

第3章「積分法」は、微分法と表裏一体の関係にある。不定積分の公式は微分公式を逆から読んだものであり、置換積分・部分積分も微分の合成関数・積の公式をひっくり返した技術にほかならない。そして定積分は、実は第1章の「極限」に舞い戻る。区分求積法\(\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx=\lim_{n\to\infty}\frac1n\sum_{k=1}^nf\!\left(\frac kn\right)\)が示すとおり、面積という図形の量は「細かく分けてたし合わせ、分割を限りなく細かくする」という、数列の極限とまったく同じ発想で定義されているのである。

つまり数IIIの3章は、「極限という言葉を用意する→その言葉で微分を定義し公式を広げる→微分の逆演算として積分を定義し、しかも積分自身も極限で定義される」という、一直線につながった1つの物語になっている。速度は位置の微分、位置の変化量(変位)は速度の積分というように、微分と積分はつねに逆演算として行き来し、その両方の足元を極限が支えている。この「極限→微分→積分」という順序を意識しておけば、まとめテストで章をまたぐ問題に出会っても、どの技術をどう組み合わせればよいかの見当がつけやすくなる。

章まとめへのリンク一覧

各章の詳しいまとめ・まとめテストは以下のページにある。この総復習で手が止まった単元があれば、まず該当する章まとめに戻って確認しよう。

  1. 第1章 極限 ― 数列の極限・関数の極限、不定形の処理(因数分解・有理化)、はさみうちの原理、連続性・中間値の定理・ネイピア数\(e\)。
  2. 第2章 微分法 ― 積・商・合成関数の微分、三角関数・指数関数・対数関数の導関数、接線・増減・極値・グラフの概形、方程式・不等式・速度・近似への応用。
  3. 第3章 積分法 ― 置換積分・部分積分、偶関数・奇関数の対称性、区分求積法、面積・体積・曲線の長さ。

要点の総整理 極限が土台になる3つの定義

数III全体を通して、「限りなく近づける」という同じ操作が、形を変えて3回登場する。この3つが同じ土台の上に立っていると気づけば、章をまたいだ問題にも動じなくなる。

数列の極限 \(n\to\infty\) ― 「限りなく近づく」という考え方そのものを学ぶ(第1章)
↓
微分係数の定義 \(\displaystyle f'(a)=\lim_{h\to0}\frac{f(a+h)-f(a)}{h}\) ― 割線の傾きの極限として、接線の傾きを定義する(第2章)
↓
導関数の公式 \((x^n)'=nx^{n-1}\)、\((\sin x)'=\cos x\) など ― 毎回極限を計算しなくても済むように公式化する
↓
積分は微分の逆演算 ― 不定積分の公式は、導関数の公式を逆から読んだもの(第3章)
↓
区分求積法 \(\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx=\lim_{n\to\infty}\frac1n\sum_{k=1}^nf\!\left(\frac kn\right)\) ― 定積分(面積)もまた、数列の極限で定義される
覚えておくべきこと 微分係数も定積分も、定義そのものは「極限」である。公式を丸暗記して計算だけできればよいわけではなく、なぜその公式が成り立つのか、たどっていくと必ず第1章の極限に行き着く、という構造を意識しておくと、初めて見る設定の問題にも対応しやすくなる。

要点の総整理 方程式の実数解の個数を調べる2つの武器

「\(f(x)=0\)の実数解は何個あるか」という問いには、極限の章と微分法の章、それぞれ役割の違う道具が用意されている。どちらも中身は「連続な関数のグラフがx軸を横切るかどうか」を見ているのだが、答えられる範囲がまるで違う。

中間値の定理(第1章)
\(f(x)\)が連続で、\(f(a)\)と\(f(b)\)が異符号なら、\((a,\ b)\)に少なくとも1つ解が存在する。「ある」ことしか言えない(何個あるかは分からない)。
増減表(第2章)
\(f'(x)\)の符号から極大値・極小値を求め、それらとx軸(\(y=0\))の位置関係を見る。極大値と極小値の符号の組み合わせから、解の個数を正確に数えられる。
使い分けの目安 微分できない(または増減を調べにくい)関数、あるいは「そもそも解があるか」だけを問われている場面では中間値の定理。多項式・指数・三角関数など微分しやすい関数で「何個あるか」まで問われている場面では増減表。実際の入試問題では、この2つを1つの大問の中で両方使わせる誘導もよくある。

要点の総整理 面積・体積を求める前に必要な微分の情報

積分の公式\(\displaystyle S=\int_a^b\{f(x)-g(x)\}\,dx\)を使うには、「どちらの関数が上か」を先に確定させておく必要がある。この判定を誤ると、面積の値が丸ごと符号違いになってしまう。

手順1 \(f(x)=g(x)\)を解いて交点のx座標を求める(方程式を解く)
↓
手順2 交点にはさまれた区間の中に適当な値を1つ代入し、\(f(x)\)と\(g(x)\)のどちらが大きいかを確認する(または増減表・グラフの概形から判断する)
↓
手順3 上の関数から下の関数を引いて積分する。体積なら「外側の半径の2乗−内側の半径の2乗」を\(\pi\)倍して積分する
注意 代入で確認する値は、交点そのもの(\(f(x)=g(x)\)になる点)を選ばないこと。交点では差が\(0\)になり、上下の判定ができない。区間の内側の値を選ぶこと。
まとめテスト(標準)

数III全範囲を横断する総合演習、全40問。目標時間は60分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜20)
1
|r|<1

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \left(\dfrac{2}{5}\right)^n\) を求めよ。

極限値
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\(r=\dfrac25\) は \(-1<r<1\) を満たすので\(0\)に収束する。 \(0\)
2
分数式・最高次で割る

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \dfrac{4n-3}{2n+7}\) を求めよ。

極限値
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分子・分母を\(n\)で割ると \(\dfrac{4-\frac3n}{2+\frac7n} \to \dfrac{4-0}{2+0}\) \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{4n-3}{2n+7}=2\)
3
無限等比級数の和

初項12、公比 \(\dfrac{1}{4}\) の無限等比級数の和を求めよ。

和
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\(|r|=\dfrac14<1\)なので収束する。\(S=\dfrac{12}{1-\frac14}=\dfrac{12}{\frac34}\) \(16\)
4
約分

\(\displaystyle\lim_{x\to2}\dfrac{x^2-5x+6}{x-2}\) を求めよ。

極限値
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\(\dfrac{x^2-5x+6}{x-2}=\dfrac{(x-2)(x-3)}{x-2}=x-3\) \(\displaystyle\lim_{x\to2}\dfrac{x^2-5x+6}{x-2}=2-3=-1\)
5
sinの基本公式

\(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin4x}{x}\) を求めよ。

極限値
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\(\dfrac{\sin4x}{x}=4\cdot\dfrac{\sin4x}{4x}\to4\times1\) \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\sin4x}{x}=4\)
6
x→∞・分子の次数が低い

\(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{2x+3}{x^2-1}\) を求めよ。

極限値
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分母の次数(2次)が分子の次数(1次)より高いので、分母の最高次\(x^2\)で割ると分子は\(0\)に近づく。 \(\dfrac{2x+3}{x^2-1}=\dfrac{\frac2x+\frac3{x^2}}{1-\frac1{x^2}}\to\dfrac{0}{1}\) \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{2x+3}{x^2-1}=0\)
7
連続になるように定数を定める

次の関数が \(x=3\) で連続となるように、定数 \(a\) の値を定めよ。 \[ f(x) = \begin{cases} \dfrac{x^2-9}{x-3} & (x \neq 3) \\ a & (x = 3) \end{cases} \]

\(a=\)
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\(x\neq3\)のとき\(f(x)=\dfrac{(x-3)(x+3)}{x-3}=x+3\)。 \(\displaystyle\lim_{x\to3}(x+3)=6\)。 \(a=6\)
8
積の微分・基本

\(y = x^2(3x-2)\) を微分したとき、\(y'\) の \(x^2\) の係数と \(x\) の係数を求めよ。

\(x^2\)の係数  \(x\)の係数
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\(f(x)=x^2,\ f'(x)=2x\)、\(g(x)=3x-2,\ g'(x)=3\) とおく。 \[ y' = 2x(3x-2)+x^2\cdot3 = 6x^2-4x+3x^2 \] \(y' = 9x^2-4x\)
9
商の微分・特定点での値

\(y = \dfrac{3x-2}{x+1}\) を微分し、\(y'(0)\) の値を求めよ。

\(y'(0)=\)
解説を見る
\(f(x)=3x-2,\ f'(x)=3\)、\(g(x)=x+1,\ g'(x)=1\) とおく。 \[ y' = \frac{3(x+1)-(3x-2)\cdot1}{(x+1)^2} = \frac{3x+3-3x+2}{(x+1)^2} = \frac{5}{(x+1)^2} \] \(x=0\) を代入すると分母は\(1\)。 \(y'(0) = 5\)
10
合成関数・基本

\(y = (2x+3)^4\) を微分すると \(y' = A(2x+3)^3\) の形になる。\(A\) の値と \(y'(-1)\) の値を求めよ。

\(A=\)  \(y'(-1)=\)
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\(u=2x+3\) とおくと \(y=u^4\)。 \[ \frac{dy}{du}=4u^3,\qquad \frac{du}{dx}=2 \] \[ y' = 4u^3\cdot2 = 8u^3 = 8(2x+3)^3 \] \(x=-1\) を代入すると \(u=1\) なので \(y'(-1)=8\times1^3\)。 \(A=8\)、\(y'(-1) = 8\)
11
sin・cosの微分係数

\(y=\sin x\) の \(x=\dfrac{\pi}{3}\) における微分係数と、\(y=\cos x\) の \(x=\dfrac{\pi}{6}\) における微分係数をそれぞれ求めよ。

\(\sin\):\(y'\!\left(\dfrac{\pi}{3}\right)=\)  \(\cos\):\(y'\!\left(\dfrac{\pi}{6}\right)=\)
解説を見る
\(y=\sin x\)なら\(y'=\cos x\)なので\(y'\!\left(\dfrac\pi3\right)=\cos\dfrac\pi3=\dfrac12\)。 \(y=\cos x\)なら\(y'=-\sin x\)なので\(y'\!\left(\dfrac\pi6\right)=-\sin\dfrac\pi6=-\dfrac12\)。 \(\dfrac12\)、\(-\dfrac12\)
12
ln x・e^xの微分係数

\(y=\ln x\) の \(x=\dfrac14\) における微分係数と、\(y=e^x\) の \(x=1\) における微分係数をそれぞれ求めよ。

\(\ln x\):\(y'\!\left(\dfrac14\right)=\)  \(e^x\):\(y'(1)=\)
解説を見る
\(y=\ln x\)なら\(y'=\dfrac1x\)なので\(y'\!\left(\dfrac14\right)=\dfrac{1}{1/4}=4\)。 \(y=e^x\)なら\(y'=e^x\)(微分しても形が変わらない)なので\(y'(1)=e\)。 \(4\)、\(e\)
13
接線・べき関数

曲線 \(y=x^3-3x+1\) 上の \(x=2\) における接線の傾きと\(y\)切片を求めよ。

傾き  \(y\)切片
解説を見る
\(f'(x)=3x^2-3\)より\(f'(2)=12-3=9\)。接点は\(f(2)=8-6+1=3\)。 接線:\(y=9(x-2)+3=9x-18+3=9x-15\) 傾き\(9\)、\(y\)切片\(-15\)
14
極値・3次関数

\(y = x^3-6x^2+9x\) の極値を求めよ。

極大値 (\(x=\) ) 極小値 (\(x=\) )
解説を見る
\(f'(x)=3x^2-12x+9=3(x^2-4x+3)=3(x-1)(x-3)\)。\(f'(x)=0\)より\(x=1,\ 3\)。 \(x<1\)で増加、\(1<x<3\)で減少、\(x>3\)で増加。 \(f(1)=1-6+9=4\)、\(f(3)=27-54+27=0\)。 \(x=1\)で極大値\(4\)、\(x=3\)で極小値\(0\)
15
不定積分の基本公式(総合)

\(\displaystyle \int \left(4x^3 - \dfrac{2}{x} + 5\cos x\right) dx\) を求めよ(\(C\)は省略してよい)。\(x^4\)の係数、\(\ln|x|\)の係数、\(\sin x\)の係数をそれぞれ求めよ。

\(x^4\)の係数  \(\ln|x|\)の係数  \(\sin x\)の係数
解説を見る
各項を公式にあてはめる。 \(\displaystyle\int4x^3\,dx=x^4\)、\(\displaystyle\int\left(-\dfrac2x\right)dx=-2\ln|x|\)、\(\displaystyle\int5\cos x\,dx=5\sin x\) \(x^4-2\ln|x|+5\sin x\)
16
置換積分(べき乗型・定積分)

\(\displaystyle \int_0^1 8x(x^2+1)^3\,dx\) を求めよ。

値
解説を見る
\(u=x^2+1\)とおくと\(du=2x\,dx\)、すなわち\(8x\,dx=4\,du\)。\(x:0\to1\)のとき\(u:1\to2\)。 \(\displaystyle \int_0^1 8x(x^2+1)^3\,dx = \int_1^2 4u^3\,du = \Bigl[u^4\Bigr]_1^2 = 16-1=15\) \(15\)
17
部分積分(x・e^x型・定積分)

\(\displaystyle \int_0^2 xe^x\,dx\) を求めよ。

値
解説を見る
\(f(x)=x,\ g'(x)=e^x\)と選ぶと\(\displaystyle\int xe^x\,dx=(x-1)e^x+C\)なので \(\displaystyle \int_0^2 xe^x\,dx = \Bigl[(x-1)e^x\Bigr]_0^2 = 1\cdot e^2-(-1\cdot1) = e^2+1\) \(e^2+1\)
18
奇関数の性質

\(\displaystyle \int_{-2}^{2} (7x^3-4x)\,dx\) を求めよ。

値
解説を見る
\(f(x)=7x^3-4x\)は\(f(-x)=-7x^3+4x=-f(x)\)より奇関数。区間が原点対称なので、計算するまでもなく積分は\(0\)。 \(0\)
19
曲線とx軸の間の面積

曲線 \(y=3x^2\) と \(x\) 軸、直線 \(x=2\) で囲まれた部分の面積 \(S\)(\(0\le x\le2\))を求めよ。

\(S=\)
解説を見る
\(3x^2\ge0\)なので、そのまま積分すればよい。 \(\displaystyle S=\int_0^2 3x^2\,dx=\Bigl[x^3\Bigr]_0^2=8\) \(S=8\)
20
回転体の体積(円錐型の確認)

直線 \(y=x\) と \(x\) 軸、直線 \(x=4\) で囲まれた部分を \(x\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\dfrac{\text{ア}}{3}\pi\) と表せる。アを求めよ。

ア=
解説を見る
\(\displaystyle V=\pi\int_0^4 x^2\,dx=\pi\Bigl[\dfrac{x^3}{3}\Bigr]_0^4=\dfrac{64}{3}\pi\) ア \(=64\)
標準(21〜34)
21
根号の有理化(数列)

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty} \left(\sqrt{n^2+3n} - n\right)\) を求めよ。

極限値
解説を見る
分子・分母に\(\sqrt{n^2+3n}+n\)を掛けて有理化する。 \(\sqrt{n^2+3n}-n=\dfrac{(n^2+3n)-n^2}{\sqrt{n^2+3n}+n}=\dfrac{3n}{\sqrt{n^2+3n}+n}\) 分子・分母を\(n\)で割ると \(=\dfrac{3}{\sqrt{1+\frac3n}+1}\to\dfrac{3}{\sqrt{1+0}+1}=\dfrac{3}{2}\) \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(\sqrt{n^2+3n}-n\right)=\dfrac{3}{2}\)
22
2文字の係数決定

\(\displaystyle\lim_{x\to3}\dfrac{2x^2+ax+b}{x-3}=7\) が成り立つように定数 \(a,\ b\) の値を定めよ。

\(a=\)  \(b=\)
解説を見る
分母が\(x\to3\)で\(0\)に近づき、極限値が\(7\)(有限)と指定されているので、分子も\(x=3\)で\(0\)でなければならない。 分子に\(x=3\)を代入:\(18+3a+b=0\) …(1) 分子が\(x-3\)を因数に持つので\(2x^2+ax+b=(x-3)(2x+c)\)と書ける(\(c\)は定数)。展開すると\(2x^2+(c-6)x-3c\)。 係数比較:\(a=c-6\)、\(b=-3c\)。 商\(2x+c\)に\(x=3\)を代入した値が極限値になるので、\(6+c=7\)より\(c=1\)。 このとき\(a=c-6=-5\)、\(b=-3c=-3\)。((1)式で確認:\(18+3(-5)+(-3)=0\)で成立) \(a=-5,\ b=-3\)(実際\(2x^2-5x-3=(x-3)(2x+1)\)となり、極限値は\(2\times3+1=7\))
23
対数微分法

\(y = (x-1)^3(x+2)^2\) を対数微分法で微分し、\(y'(3)\) の値を求めよ。

\(y'(3)=\)
解説を見る
\(x=3\)付近では\(x-1>0,\ x+2>0\)なので、そのまま両辺の対数をとってよい。 \[ \ln y = 3\ln(x-1)+2\ln(x+2) \] 両辺を \(x\) で微分する。 \[ \frac{y'}{y} = \frac{3}{x-1}+\frac{2}{x+2} \] まず \(x=3\) での \(y\) の値を求める。 \[ y(3) = (3-1)^3(3+2)^2 = 8\times25 = 200 \] 次に \(x=3\) での \(\dfrac{y'}{y}\) の値を求める。 \[ \frac{y'}{y}\bigg|_{x=3} = \frac{3}{2}+\frac{2}{5} = \frac{15}{10}+\frac{4}{10} = \frac{19}{10} \] \(y'=y\times\dfrac{y'}{y}\) より \[ y'(3) = 200\times\frac{19}{10} = 380 \] \(y'(3) = 380\)
24
陰関数の微分

\(x^2-xy+y^2=7\) について、点 \((3,\ 1)\) における \(\dfrac{dy}{dx}\) の値を求めよ。

\(y'=\)
解説を見る
両辺を \(x\) で微分する。\(x^2\) の微分は \(2x\)。\(xy\) の微分は積の微分公式で \(y+xy'\)。\(y^2\) の微分は合成関数の微分法で \(2y\cdot y'\)。右辺\(7\)の微分は\(0\)。 \[ 2x-(y+xy')+2y\cdot y' = 0 \] \(y'\) を含む項をくくり出す。 \[ 2x-y+y'(2y-x) = 0 \] \[ y' = \frac{y-2x}{2y-x} \] 点 \((3,1)\) を代入すると、分子は \(1-6=-5\)、分母は \(2-3=-1\)。 \(y' = 5\)
25
半角公式(定積分)

\(\displaystyle \int_0^{\pi/2} \sin^2 x\,dx\) を求めよ。

値
解説を見る
半角公式\(\sin^2x=\dfrac{1-\cos2x}{2}\)を使う。 \(\displaystyle \int_0^{\pi/2}\sin^2x\,dx = \left[\dfrac{x}{2}-\dfrac{\sin2x}{4}\right]_0^{\pi/2} = \left(\dfrac{\pi}{4}-0\right)-0 = \dfrac{\pi}{4}\) \(\dfrac{\pi}{4}\)
26
部分分数分解

\(\displaystyle \int \dfrac{1}{x^2-16}\,dx = \dfrac{1}{\text{ア}}\ln\left|\dfrac{x-4}{x+4}\right|+C\) のアを求めよ。

ア=
解説を見る
\(\dfrac{1}{x^2-16}=\dfrac{1}{(x-4)(x+4)}=\dfrac18\left(\dfrac{1}{x-4}-\dfrac{1}{x+4}\right)\)と分解できるので \(\displaystyle \int \dfrac{1}{x^2-16}\,dx = \dfrac18\ln|x-4|-\dfrac18\ln|x+4|+C = \dfrac18\ln\left|\dfrac{x-4}{x+4}\right|+C\) ア \(=8\)
27
総合:極限×微分(微分係数の定義)

\(f(x)=x^2-3x\) について、\(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(f(2+h)=(2+h)^2-3(2+h)=4+4h+h^2-6-3h=h^2+h-2\)、\(f(2)=4-6=-2\)なので \(\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}=\dfrac{(h^2+h-2)-(-2)}{h}=\dfrac{h^2+h}{h}=h+1\)(\(h\neq0\)なら約分できる) \(h\to0\)を代入すると \(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(2+h)-f(2)}{h}=1\)(この極限はそのまま\(f'(2)\)であり、実際\(f'(x)=2x-3\)より\(f'(2)=1\)と一致する)
28
総合:微分×積分(接線を求めてから面積へ)

曲線 \(y=x^2\) の \(x=1\) における接線の方程式を求めよ。また、この曲線と接線ではさまれた部分のうち \(0\le x\le2\) の部分の面積 \(S\) を求めよ。

接線:傾き  \(y\)切片   \(S=\)
解説を見る
\(f'(x)=2x\)より\(f'(1)=2\)。接点は\((1,\ 1)\)なので接線は \(y=2(x-1)+1=2x-1\)(傾き\(2\)、\(y\)切片\(-1\)) \(x^2-(2x-1)=(x-1)^2\ge0\)なので、曲線はつねに接線以上(等号は\(x=1\)のときだけ)。よって\(0\le x\le2\)では曲線が上、接線が下。 \(\displaystyle S=\int_0^2\Bigl\{x^2-(2x-1)\Bigr\}dx=\int_0^2(x-1)^2\,dx=\Bigl[\dfrac{(x-1)^3}{3}\Bigr]_0^2=\dfrac13-\left(-\dfrac13\right)=\dfrac23\) 接線は\(y=2x-1\)(傾き\(2\)、\(y\)切片\(-1\))、面積\(S=\dfrac23\)
29
総合:極限×積分(区分求積法)

\(\displaystyle \lim_{n\to\infty}\sum_{k=1}^{n}\dfrac{5k^4}{n^5}\) を求めよ。

値
解説を見る
和の形を「\(\dfrac1n\times\)(\(k/n\)だけの式)」に整理する。 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}\dfrac{5k^4}{n^5} = \dfrac1n\sum_{k=1}^{n}5\left(\dfrac{k}{n}\right)^4\) これは\(f(x)=5x^4\)として\(\dfrac1n\displaystyle\sum_{k=1}^n f\!\left(\dfrac kn\right)\)の形になっているので、極限は\(\displaystyle\int_0^1 5x^4\,dx=\Bigl[x^5\Bigr]_0^1=1\)に一致する。 \(1\)
30
tanとsinの極限公式の組み合わせ

\(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\tan3x}{\sin2x}\) を求めよ。

極限値
解説を見る
\(\tan3x=\dfrac{\sin3x}{\cos3x}\)なので \(\dfrac{\tan3x}{\sin2x}=\dfrac{\sin3x}{\cos3x\cdot\sin2x}=\dfrac{1}{\cos3x}\cdot\dfrac{\sin3x}{x}\cdot\dfrac{x}{\sin2x}\) \(=\dfrac{1}{\cos3x}\cdot3\cdot\dfrac{\sin3x}{3x}\cdot\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{2x}{\sin2x}\) \(x\to0\)のとき\(\cos3x\to1\)、\(\dfrac{\sin3x}{3x}\to1\)、\(\dfrac{\sin2x}{2x}\to1\)(したがって\(\dfrac{2x}{\sin2x}\to1\))なので \(\displaystyle\lim_{x\to0}\dfrac{\tan3x}{\sin2x}=\dfrac{1}{1}\times3\times1\times\dfrac12\times1=\dfrac32\)
31
総合:微分×積分(加速度から速度・位置へ)

直線上を運動する点の加速度が \(a(t)=6t-4\)(\(t\ge0\))で表され、速度は\(v(0)=1\)、位置は\(x(0)=0\)を満たすとする。速度\(v(t)\)を求めるときに定まる定数(\(v(0)=1\)から決まる積分定数)の値と、位置の式\(x(t)\)を使った\(x(2)\)の値を求めよ。

積分定数  \(x(2)=\)
解説を見る
速度は加速度の不定積分(微分の逆演算)。 \(\displaystyle v(t)=\int a(t)\,dt=\int(6t-4)\,dt=3t^2-4t+C\) \(v(0)=1\)より\(C=1\)。よって\(v(t)=3t^2-4t+1\)。 位置は速度の不定積分。 \(\displaystyle x(t)=\int v(t)\,dt=\int(3t^2-4t+1)\,dt=t^3-2t^2+t+C_2\) \(x(0)=0\)より\(C_2=0\)。よって\(x(t)=t^3-2t^2+t\)。 \(x(2)=8-8+2=2\) 積分定数は\(1\)(\(v(t)=3t^2-4t+1\))、\(x(2)=2\)
32
y軸回転の体積

曲線 \(y=x^2\)(\(x\ge0\))と \(y\) 軸、直線 \(y=4\) で囲まれた部分を、\(y\) 軸のまわりに1回転させてできる立体の体積は \(V=\text{ア}\,\pi\) と表せる。アを求めよ。

ア=
解説を見る
\(y=x^2\)(\(x\ge0\))を\(x\)について解くと\(x^2=y\)。 \(\displaystyle V=\pi\int_0^4 x^2\,dy=\pi\int_0^4 y\,dy=\pi\Bigl[\dfrac{y^2}{2}\Bigr]_0^4=8\pi\) ア \(=8\)
33
総合:極限×微分×積分(軽量版)

\(a=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{6n-1}{3n+2}\) とする。\(g(x)=ax^2-4x\) の最小値を求めよ。また \(\displaystyle\int_0^a 2x\,dx\) の値を求めよ。

\(a=\)  \(g(x)\)の最小値 (\(x=\) ) \(\displaystyle\int_0^a2x\,dx=\)
解説を見る
まず\(a\)を求める。分子・分母を\(n\)で割ると \(a=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{6-\frac1n}{3+\frac2n}=\dfrac63=2\) \(a=2\)なので\(g(x)=2x^2-4x\)。\(g'(x)=4x-4\)、\(g'(x)=0\)より\(x=1\)。\(g''(x)=4>0\)(下に凸)なので\(x=1\)で最小。 \(g(1)=2-4=-2\) 最後に\(\displaystyle\int_0^a2x\,dx=\int_0^2 2x\,dx=\Bigl[x^2\Bigr]_0^2=4\) \(a=2\)、\(x=1\)で最小値\(-2\)、\(\displaystyle\int_0^22x\,dx=4\)
34
不等式証明・最小値を利用

\(x>0\) のとき \(e^x>1+x\) が成り立つことを証明せよ。

解答を見る
\(g(x)=e^x-1-x\)(\(x\ge0\))とおく。\(x>0\)で\(g(x)>0\)を示せばよい。 \[ g'(x)=e^x-1 \] \(x>0\)のとき\(e^x>1\)(\(e^x\)は単調増加で\(e^0=1\)だから)なので\(g'(x)>0\)。よって\(g(x)\)は\(x>0\)の範囲で単調に増加する。 \[ g(0)=e^0-1-0=1-1-0=0 \] \(g(x)\)は\(x=0\)から単調に増加するので、\(x>0\)のとき\(g(x)>g(0)=0\)。 \(x>0\) のとき \(e^x>1+x\)(証明終わり)
発展(35〜40)
35
総合:微分×積分(極値とグラフの概形→面積)

\(f(x)=x^3-3x^2\) の極値を求めよ。また、この曲線とx軸で囲まれた部分のうち \(0\le x\le3\) の部分の面積 \(S\) を求めよ。

極大値 (\(x=\) ) 極小値 (\(x=\) ) \(S=\)
解説を見る
\(f'(x)=3x^2-6x=3x(x-2)\)。\(f'(x)=0\)より\(x=0,\ 2\)。 \(x<0\)で増加、\(0<x<2\)で減少、\(x>2\)で増加。 \(f(0)=0\)(極大)、\(f(2)=8-12=-4\)(極小)。 面積は\(f(x)=x^2(x-3)\)と因数分解できることを使う。\(0\le x\le3\)では\(x^2\ge0\)、\(x-3\le0\)なので\(f(x)\le0\)(等号は\(x=0,3\)のみ)。曲線はx軸より下にあるので \(\displaystyle S=-\int_0^3(x^3-3x^2)\,dx=-\Bigl[\dfrac{x^4}{4}-x^3\Bigr]_0^3=-\left(\dfrac{81}{4}-27\right)=-\left(-\dfrac{27}{4}\right)=\dfrac{27}{4}\) \(x=0\)で極大値\(0\)、\(x=2\)で極小値\(-4\)。面積\(S=\dfrac{27}{4}\)
36
総合:極限×積分(eの定義の応用)

\(L=\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\dfrac3n\right)^n\) を\(e\)を用いて表せ。また、\(\displaystyle\int_0^{\ln L}e^x\,dx\) の値を求めよ。

\(L=\)  \(\displaystyle\int_0^{\ln L}e^x\,dx=\)
解説を見る
\(e\)の定義の一般形\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\left(1+\dfrac{k}{n}\right)^n=e^k\)に\(k=3\)を当てはめると \(L=e^3\) \(\ln L=\ln e^3=3\)なので \(\displaystyle\int_0^{\ln L}e^x\,dx=\int_0^3e^x\,dx=\Bigl[e^x\Bigr]_0^3=e^3-1\) \(L=e^3\)、\(\displaystyle\int_0^3e^x\,dx=e^3-1\)
37
総合:微分×積分(速度の符号変化と道のり)

直線上を運動する点の位置が \(x(t)=-t^3+6t^2\)(\(0\le t\le6\))で表されるとき、\(x\)が最大になる時刻とそのときの位置を求めよ。また、\(0\le t\le6\)における道のり(速度の符号が変わることに注意した移動距離の総和)を求めよ。

\(x\)が最大:\(t=\)  位置   道のり
解説を見る
速度は\(v(t)=x'(t)=-3t^2+12t=-3t(t-4)\)。\(v(t)=0\)より\(t=0,\ 4\)。 \(0<t<4\)で\(v(t)>0\)(前進)、\(4<t<6\)で\(v(t)<0\)(後退)なので、\(t=4\)で\(x\)は最大になる。 \(x(4)=-64+6\times16=32\) 道のりを求める。\(x(0)=0\)、\(x(4)=32\)、\(x(6)=-216+6\times36=0\)。 \(0\to4\)秒で\(x\)は\(0\)から\(32\)まで前進し、\(4\to6\)秒で\(32\)から\(0\)まで後退する。道のりは移動距離の絶対値の和なので 道のり\(=|32-0|+|0-32|=32+32=64\) \(t=4\)で\(x\)が最大(位置\(32\))、\(0\le t\le6\)の道のりは\(64\)
38
総合:極限×微分(微分係数の定義と有理化)

\(f(x)=\sqrt{x+1}\) について、極限の定義 \(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(3+h)-f(3)}{h}\) を有理化によって計算し、\(f'(3)\) を求めよ。また、この結果を使って曲線 \(y=f(x)\) の \(x=3\) における接線の傾きと\(y\)切片を求めよ。

\(f'(3)=\)  接線:傾き  \(y\)切片
解説を見る
\(f(3)=\sqrt4=2\)なので \(\dfrac{f(3+h)-f(3)}{h}=\dfrac{\sqrt{4+h}-2}{h}\) 分子・分母に\(\sqrt{4+h}+2\)を掛けて有理化する。 \(=\dfrac{(4+h)-4}{h(\sqrt{4+h}+2)}=\dfrac{h}{h(\sqrt{4+h}+2)}=\dfrac{1}{\sqrt{4+h}+2}\) \(h\to0\)を代入すると\(\dfrac{1}{2+2}=\dfrac14\)。よって\(f'(3)=\dfrac14\)。 接線は傾き\(\dfrac14\)、接点\((3,\ 2)\)を通るので \(y=\dfrac14(x-3)+2=\dfrac{x}{4}-\dfrac34+2=\dfrac{x}{4}+\dfrac54\) \(f'(3)=\dfrac14\)。接線の傾き\(\dfrac14\)、\(y\)切片\(\dfrac54\)
39
総合:微分×積分(不等式の証明と定積分の評価)

\(x>0\) のとき \(\ln(1+x)<x\) が成り立つことを証明せよ。また、この不等式を利用すると \(\displaystyle\int_0^1\ln(1+x)\,dx\) は \(\displaystyle\int_0^1x\,dx=\dfrac12\) より小さいと分かる。実際に \(\displaystyle\int_0^1\ln(1+x)\,dx\) の値を部分積分によって求めよ。

\(\displaystyle\int_0^1\ln(1+x)\,dx=\)
解説を見る
まず不等式を証明する。\(g(x)=x-\ln(1+x)\)(\(x>-1\))とおく。 \[ g'(x)=1-\dfrac{1}{1+x}=\dfrac{x}{1+x} \] \(x>0\)のとき分子・分母がともに正なので\(g'(x)>0\)、\(g(x)\)は\(x>0\)で単調に増加する。\(g(0)=0-\ln1=0\)なので、\(x>0\)のとき\(g(x)>g(0)=0\)、すなわち\(x>\ln(1+x)\)。 次に\(\displaystyle\int_0^1\ln(1+x)\,dx\)を求める。\(f(x)=\ln(1+x),\ g'(x)=1\)と選んで部分積分する(\(f'(x)=\dfrac{1}{1+x}\)、\(g(x)=x\))。 \(\displaystyle \int\ln(1+x)\,dx = x\ln(1+x)-\int\dfrac{x}{1+x}\,dx\) \(\dfrac{x}{1+x}=1-\dfrac{1}{1+x}\)と変形できるので\(\displaystyle\int\dfrac{x}{1+x}\,dx=x-\ln(1+x)+C\)。 \(\displaystyle \int\ln(1+x)\,dx = x\ln(1+x)-\bigl\{x-\ln(1+x)\bigr\}+C=(x+1)\ln(1+x)-x+C\) 端点を代入する。 \(x=1\):\(2\ln2-1\) \(x=0\):\(1\times\ln1-0=0\) 不等式は証明のとおり成り立ち、\(\displaystyle\int_0^1\ln(1+x)\,dx=2\ln2-1\)(\(\approx0.386\)で、たしかに\(\dfrac12\)より小さい)
40
総合:極限×微分×積分(章の総仕上げ)

\(a=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{3x^2+5x}{x^2+2}\) とする。\(f(x)=x^3-3ax^2\) の極値を求めよ。さらに、この曲線とx軸で囲まれた部分のうち \(0\le x\le6\) の部分の面積 \(S\) を求めよ。

\(a=\)  極大値 (\(x=\) ) 極小値 (\(x=\) ) \(S=\)
解説を見る
まず\(a\)を求める。分子・分母を\(x^2\)で割ると \(a=\displaystyle\lim_{x\to\infty}\dfrac{3+\frac5x}{1+\frac2{x^2}}=\dfrac31=3\) \(a=3\)なので\(f(x)=x^3-9x^2\)。 \(f'(x)=3x^2-18x=3x(x-6)\)。\(f'(x)=0\)より\(x=0,\ 6\)。 \(x<0\)で増加、\(0<x<6\)で減少、\(x>6\)で増加。 \(f(0)=0\)(極大)、\(f(6)=216-9\times36=216-324=-108\)(極小)。 面積を求める。\(f(x)=x^2(x-9)\)と因数分解できるので、\(0\le x\le9\)では\(x^2\ge0,\ x-9\le0\)より\(f(x)\le0\)。\(0\le x\le6\)はこの範囲に含まれるので、この区間でも\(f(x)\le0\)(等号は\(x=0\)のみ)。 \(\displaystyle S=-\int_0^6(x^3-9x^2)\,dx=-\Bigl[\dfrac{x^4}{4}-3x^3\Bigr]_0^6=-\left(\dfrac{1296}{4}-648\right)=-(324-648)=324\) \(a=3\)。\(x=0\)で極大値\(0\)、\(x=6\)で極小値\(-108\)。面積\(S=324\)
記述チャレンジ

答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。

記1

微分係数の定義 \(\displaystyle f'(a)=\lim_{h\to0}\dfrac{f(a+h)-f(a)}{h}\) と、区分求積法の定義 \(\displaystyle\int_0^1f(x)\,dx=\lim_{n\to\infty}\dfrac1n\sum_{k=1}^nf\!\left(\dfrac kn\right)\) は、どちらも「極限」という同じ考え方から生まれている。\(f(x)=x^2\)を例にとり、実際に \(f'(1)\) と \(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx\) の両方をこの定義どおりに計算することで、極限が微分と積分の両方の土台になっていることを説明せよ。

模範解答を見る
まず\(f'(1)\)を定義どおりに計算する。\(f(x)=x^2\)なので \(f(1+h)-f(1)=(1+h)^2-1^2=1+2h+h^2-1=2h+h^2\) \(\dfrac{f(1+h)-f(1)}{h}=\dfrac{2h+h^2}{h}=2+h\)(\(h\neq0\)なら約分できる) \(h\to0\)とすると\(2+h\to2\)なので\(f'(1)=2\)。これは公式\((x^2)'=2x\)から求めた\(f'(1)=2\times1=2\)と一致する。 次に\(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx\)を、公式を使わずに区分求積法の定義どおりに計算する。 \(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx=\lim_{n\to\infty}\dfrac1n\sum_{k=1}^n\left(\dfrac kn\right)^2=\lim_{n\to\infty}\dfrac{1}{n^3}\sum_{k=1}^nk^2\) 数列の和の公式\(\displaystyle\sum_{k=1}^nk^2=\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}\)を代入すると \(\dfrac{1}{n^3}\times\dfrac{n(n+1)(2n+1)}{6}=\dfrac{(n+1)(2n+1)}{6n^2}=\dfrac{2n^2+3n+1}{6n^2}=\dfrac{2+\frac3n+\frac1{n^2}}{6}\) \(n\to\infty\)とすると\(\dfrac3n\to0\)、\(\dfrac1{n^2}\to0\)なので、この式は\(\dfrac26=\dfrac13\)に近づく。これは公式\(\displaystyle\int x^2\,dx=\dfrac{x^3}{3}+C\)から求めた\(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx=\dfrac13\)と一致する。 このように、\(f'(1)\)の計算は「\(h\to0\)」という極限、\(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx\)の計算は「\(n\to\infty\)」という極限を実際に取ることで初めて値が確定する。ふだん使っている微分公式・積分公式は、この極限計算をあらかじめ済ませて一般化したものにすぎない。 \(f'(1)=2\)、\(\displaystyle\int_0^1x^2\,dx=\dfrac13\)。どちらも、定義に戻ればそれぞれ\(h\to0\)、\(n\to\infty\)という極限計算そのものであり、微分と積分は極限という共通の土台の上に成り立っている。
記2

関数 \(f(x)=xe^{-x}\)(\(x\ge0\))について、(1) \(f'(x)\)を求め、\(f(x)\)の最大値を求めよ。(2) 曲線 \(y=f(x)\) と\(x\)軸、直線\(x=2\)で囲まれた部分の面積を、部分積分を用いて求めよ。(3) (1)の計算と(2)の計算は、それぞれどのような極限の考え方を土台にしているかを説明せよ。

模範解答を見る
(1) 積の微分公式を使う。\(f(x)=x\cdot e^{-x}\)なので \(f'(x)=1\cdot e^{-x}+x\cdot(-e^{-x})=e^{-x}(1-x)\) \(f'(x)=0\)となるのは\(1-x=0\)、すなわち\(x=1\)のとき(\(e^{-x}\)はつねに正なので\(0\)にならない)。 \(0\le x<1\)では\(1-x>0\)なので\(f'(x)>0\)(増加)、\(x>1\)では\(1-x<0\)なので\(f'(x)<0\)(減少)。よって\(x=1\)で最大値をとる。 \(f(1)=1\times e^{-1}=\dfrac1e\) (2) \(f(x)=xe^{-x}\ge0\)(\(x\ge0\))なので、そのまま積分すればよい。\(g(x)=x,\ h'(x)=e^{-x}\)と選んで部分積分する(\(h(x)=-e^{-x}\))。 \(\displaystyle\int xe^{-x}\,dx = -xe^{-x}-\int(-e^{-x})\,dx = -xe^{-x}+\int e^{-x}\,dx = -xe^{-x}-e^{-x}+C = -(x+1)e^{-x}+C\) 端点を代入する。 \(x=2\):\(-3e^{-2}=-\dfrac{3}{e^2}\) \(x=0\):\(-1\times1=-1\) \(\displaystyle S=\int_0^2xe^{-x}\,dx=\left(-\dfrac{3}{e^2}\right)-(-1)=1-\dfrac{3}{e^2}\) (3) (1)の\(f'(x)\)は微分係数の定義\(\displaystyle\lim_{h\to0}\dfrac{f(x+h)-f(x)}{h}\)にもとづいており、「\(h\)を限りなく\(0\)に近づける」という極限が土台になっている。実際に積の微分公式を使うところで、この極限操作をあらかじめ計算しておいた結果を利用していることになる。 (2)の面積は定積分\(\displaystyle\int_0^2f(x)\,dx\)であり、これは区分求積法\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac2n\sum_{k=1}^nf\!\left(\dfrac{2k}n\right)\)の考え方、すなわち「区間を限りなく細かい短冊に割り、それをたし合わせてから、分割数を限りなく大きくする」という極限が土台になっている。部分積分は、この積分計算を効率よく実行するための技術にすぎない。 (1) \(f'(x)=(1-x)e^{-x}\)、\(x=1\)で最大値\(\dfrac1e\)。(2) \(S=1-\dfrac{3}{e^2}\)。(3) (1)は\(h\to0\)の極限(微分係数の定義)、(2)は\(n\to\infty\)の極限(区分求積法)がそれぞれ土台になっている。
共通テスト形式チャレンジ

大問1 目標時間 12分/配点 20点

太郎さんと花子さんは、ボールを落としたときの跳ね返り方について、極限の考え方を使って調べている。高さ\(4\)mからボールを静かに落とすと、床に当たるたびに跳ね返る高さは直前の高さのちょうど\(\dfrac12\)倍になるという。\(n\)回目に跳ね返った後に達する最高点の高さを\(a_n\)(m)とする。

花子「1回目の跳ね返りの高さ\(a_1\)は、最初の高さ\(4\)mの半分になるね。」
太郎「その調子で、\(a_n\)を\(n\)の式で表してみよう。」
(1)

\(a_n=4\left(\dfrac12\right)^n\) と表せる。これを用いると \(a_1=\boxed{\text{ア}}\) (m)であり、\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\boxed{\text{イ}}\) である。ア、イを求めよ。

ア イ
解説を見る
\(a_1=4\times\dfrac12=2\) \(a_n=4\left(\dfrac12\right)^n\)について、公比\(r=\dfrac12\)は\(-1<r<1\)を満たすので\(\left(\dfrac12\right)^n\to0\)(\(n\to\infty\))。よって \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=4\times0=0\) \(a_1=2\)、\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=0\)
(2)

花子「ボールが上下に動いた距離の合計は、最初の落下\(4\)mと、跳ね返るたびの『上がって下がる』分をすべて足したものになるね。」

ボールが無限に跳ね返り続けるとして、動いた距離の総和を求めると \(\boxed{\text{ウエ}}\)(m)である。ウエを求めよ。

ウエ
解説を見る
跳ね返るたびに、高さ\(a_k\)だけ上がってから同じ\(a_k\)だけ下がるので、\(k\)回目の跳ね返りで動く距離は\(2a_k\)。最初の落下\(4\)mと合わせると、総距離は \(\displaystyle4+2\sum_{k=1}^{\infty}a_k\) \(\displaystyle\sum_{k=1}^{\infty}a_k\)は初項\(a_1=2\)、公比\(\dfrac12\)の無限等比級数なので \(\displaystyle\sum_{k=1}^{\infty}a_k=\dfrac{2}{1-\frac12}=4\) 総距離\(=4+2\times4=12\) 総距離は\(12\)m
(3)

太郎「跳ね返りの高さが\(0.1\)m未満になるのは何回目からか、実際に数値を代入して確かめてみよう。」\(a_n<0.1\)を満たす最小の\(n\)を求めると \(n=\boxed{\text{オ}}\) である。オを求めよ。

オ
解説を見る
\(a_n=4\left(\dfrac12\right)^n\)に順に代入して確かめる。 \(a_4=4\times\dfrac1{16}=0.25\)(\(0.1\)以上) \(a_5=4\times\dfrac1{32}=0.125\)(\(0.1\)以上) \(a_6=4\times\dfrac1{64}=0.0625\)(\(0.1\)未満) \(n=6\)(6回目の跳ね返りから\(0.1\)m未満になる)

大問2 目標時間 12分/配点 20点

科学部の花子さんは、打ち上げ花火が開いてからの明るさの変化を、時刻\(t\)(秒後、\(t\ge0\))の関数 \(y=te^{-t/2}\) で近似できると考え、先生と一緒に微分を使って調べている。

先生「まずは\(y\)を\(t\)で微分してみよう。積の微分公式が使えるね。」
(1)

\(y'\) を求めると \(y'=\left(1-\dfrac{\text{ア}}{\text{イ}}t\right)e^{-t/2}\) となる。ア、イを求めよ。

ア イ
解説を見る
\(y=t\cdot e^{-t/2}\)に積の微分公式を使う。\(u=-\dfrac{t}{2}\)とおくと\(\left(e^{-t/2}\right)'=e^{-t/2}\times\left(-\dfrac12\right)\)(合成関数の微分法)なので \(y'=1\cdot e^{-t/2}+t\cdot e^{-t/2}\times\left(-\dfrac12\right)=e^{-t/2}\left(1-\dfrac{t}{2}\right)\) \(y'=\left(1-\dfrac12t\right)e^{-t/2}\)(ア\(=1\)、イ\(=2\))
(2)

先生「\(y'\)の符号が変わる時刻を調べれば、明るさが最大になる瞬間が分かるね。」

明るさが最大になるのは \(t=\boxed{\text{ウ}}\)(秒)のときであり、そのときの明るさの値は \(y=\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{e}\) である。ウ、エを求めよ。

ウ エ
解説を見る
(1)の\(y'=\left(1-\dfrac{t}{2}\right)e^{-t/2}\)について、\(e^{-t/2}\)はつねに正なので、符号は\(1-\dfrac{t}{2}\)だけで決まる。 \(1-\dfrac{t}{2}=0\)より\(t=2\)。\(t<2\)で\(y'>0\)(増加)、\(t>2\)で\(y'<0\)(減少)なので、\(t=2\)で最大。 \(y(2)=2\times e^{-1}=\dfrac2e\) \(t=2\)のとき最大値\(y=\dfrac2e\)(ウ\(=2\)、エ\(=2\))
(3)

花子「最大になったあとは、明るさがどんどん小さくなっていくはずですね。」 \(t=4\)における明るさの値を求めると \(y=\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{e^{\boxed{\text{カ}}}}\) である。オ、カを求めよ。

オ カ
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\(y(4)=4\times e^{-4/2}=4e^{-2}=\dfrac{4}{e^2}\) \(t=2\)での最大値\(\dfrac2e\)と比べると、\(t=4\)ではさらに小さな値になっており、(2)で確認した「\(t>2\)で減少」という増減表の結論と一致する。 \(y(4)=\dfrac{4}{e^2}\)(オ\(=4\)、カ\(=2\))

大問3 目標時間 11分/配点 20点

陶芸教室に通う太郎さんは、鉢の内側の形を、曲線 \(y=\sqrt{x}\)(\(0\le x\le4\))を\(y\)軸のまわりに1回転させてできる形として設計している(底が細く、上に向かって広がる、鉢らしい形になる)。先生と一緒に、区分求積法の考え方から出発して、面積・体積を順番に計算している。

先生「区分求積法の式が定積分に直せることを、まずは面積\(S\)の計算で確認しておこう。」
(1)

面積 \(\displaystyle S=\int_0^4\sqrt{x}\,dx\) を区分求積法の定義から確かめる。\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac4n\sum_{k=1}^{n}\sqrt{\dfrac{4k}{n}}\) は \(\displaystyle\int_0^4\sqrt{x}\,dx\) の値に等しい。実際に積分を計算すると \(S=\dfrac{\boxed{\text{アイ}}}{\boxed{\text{ウ}}}\) である。アイ、ウを求めよ。

アイ ウ
解説を見る
\(\dfrac4n\sqrt{\dfrac{4k}{n}}\)は\(f(x)=\sqrt{x}\)として\(\dfrac4nf\!\left(\dfrac{4k}{n}\right)\)の形になっているので、区分求積法により \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac4n\sum_{k=1}^{n}\sqrt{\dfrac{4k}{n}}=\int_0^4\sqrt{x}\,dx\) 実際に積分を計算する。 \(\displaystyle S=\int_0^4\sqrt{x}\,dx=\Bigl[\dfrac23x^{3/2}\Bigr]_0^4=\dfrac23\times8-0=\dfrac{16}{3}\) \(S=\dfrac{16}{3}\)(アイ\(=16\)、ウ\(=3\))
(2)

太郎「曲線\(y=\sqrt{x}\)は、\(x=y^2\)と書き直せますね。」先生「そうだね。まず\(y=2\)(鉢の縁の高さ)のときの半径\(x\)を確認しよう。それから、(1)で求めた面積\(S\)を使えば、曲線と\(y\)軸ではさまれた部分の面積\(T\)も求められるよ。」

\(y=2\)のとき \(x=\boxed{\text{エ}}\) である。また、幅4・高さ2の長方形の面積から\(S\)を引くと \(T=\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{\boxed{\text{カ}}}\) である。エ、オ、カを求めよ。

エ オ カ
解説を見る
\(y=\sqrt{x}\)の両辺を2乗すると\(x=y^2\)。\(y=2\)を代入すると\(x=2^2=4\)。 長方形(幅4・高さ2)の面積は\(4\times2=8\)。この長方形は「曲線の下側(\(x\)軸との間)の面積\(S\)」と「曲線の左側(\(y\)軸との間)の面積\(T\)」に分けられるので \(T=8-S=8-\dfrac{16}{3}=\dfrac{24}{3}-\dfrac{16}{3}=\dfrac{8}{3}\) (検算:\(T\)は\(x=y^2\)を\(y=0\)から\(2\)まで積分した値にも一致する。\(\displaystyle\int_0^2y^2\,dy=\Bigl[\dfrac{y^3}{3}\Bigr]_0^2=\dfrac83\)) \(x=4\)(エ\(=4\))、\(T=\dfrac83\)(オ\(=8\)、カ\(=3\))
(3)

先生「鉢の内側の空洞は、\(x=y^2\)を\(y\)軸のまわりに\(0\le y\le2\)の範囲で回転させてできる立体だね。この体積を求めよう。」

体積は \(\displaystyle V=\pi\int_0^2x^2\,dy\) と表せる。(2)で確認した\(x=y^2\)を使ってこれを計算すると、\(V=\dfrac{\boxed{\text{キク}}}{\boxed{\text{ケ}}}\pi\) である。キク、ケを求めよ。

キク ケ
解説を見る
\(x=y^2\)なので\(x^2=y^4\)。これを\(V=\pi\displaystyle\int_0^2x^2\,dy\)に代入する。 \(\displaystyle V=\pi\int_0^2y^4\,dy=\pi\Bigl[\dfrac{y^5}{5}\Bigr]_0^2=\pi\times\dfrac{32}{5}=\dfrac{32}{5}\pi\) \(V=\dfrac{32}{5}\pi\)(キク\(=32\)、ケ\(=5\))