散布図と相関
2つの数量(例えば「勉強時間」と「テストの点数」)の関係を調べたいとき、それぞれのデータを \((x, y)\) の組にして点で表した図を散布図という。点の並び方には、大きく分けて3つのパターンがある。
正の相関:一方が増えると、他方も増える
負の相関:一方が増えると、他方は減る
相関がない:これといった傾向が見えない
負の相関:\(x\) が増えると \(y\) は減る傾向(点が右下がり)
相関がない(無相関):右上がり・右下がりのどちらの傾向も見えない
共分散と相関係数
「正の相関」「負の相関」は見た目の印象にすぎない。その強さを数値で表すのが相関係数 \(r\) だ。まずは土台になる共分散 \(S_{xy}\) から順番に計算してみよう。
相関係数 \(r = \dfrac{S_{xy}}{S_x \times S_y}\) (\(S_x,\ S_y\) は \(x,\ y\) それぞれの標準偏差)
例題 5人の生徒が受けた2回の小テスト(各5点満点)の得点は下の表の通りである。1回目の得点 \(x\)、2回目の得点 \(y\) について、共分散 \(S_{xy}\) と相関係数 \(r\) を求めよ。
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| 生徒 | A | B | C | D | E |
| \(x\)(1回目) | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
| \(y\)(2回目) | 1 | 3 | 2 | 5 | 4 |
| \(x-\bar{x}\) | −2 | −1 | 0 | 1 | 2 |
| \(y-\bar{y}\) | −2 | 0 | −1 | 2 | 1 |
| 積 | 4 | 0 | 0 | 2 | 2 |
| \((x-\bar{x})^2\) | 4 | 1 | 0 | 1 | 4 |
| \((y-\bar{y})^2\) | 4 | 0 | 1 | 4 | 1 |
相関係数の性質
相関係数 \(r\) には、覚えておくべき性質が4つある。数値だけを見て早合点しないために、必ず押さえておこう。
\(r=1\) は完全な正の相関(点が右上がりの一直線)、\(r=-1\) は完全な負の相関(点が右下がりの一直線)、\(r=0\) は無相関。この範囲を超える値は計算ミスである。
\(x\) を「cm」から「mm」に変えたり、\(y\) を「円」から「千円」に変えたりしても、点の並び方の「形」そのものは変わらないので、相関係数の値は変わらない。
ほとんどの点が一直線に近く並んでいても、傾向から大きく外れた点が1つ混ざるだけで、相関係数は大きく変わってしまう。
「アイスクリームの売上」と「水の事故件数」を1年間追うと、正の相関が見られる。だが、アイスクリームが水の事故を引き起こすわけではない。実際には「気温」という共通の要因が両方を押し上げているだけである。相関関係=因果関係ではないことを、必ず頭に入れておこう。
仮説検定の考え方
友達が「このコインは公正だ(表が出る確率は0.5)」と言ったとする。ところが実際に20回投げてみると、16回も表が出た。これは「たまたま」なのか、それとも「公正ではない」と疑うべきなのか——それを判断する考え方が仮説検定だ。
手順1 仮説を立てる(例:「このコインは公正である」)
手順2 仮説が正しいとしたら、今回のような結果がどれくらい起こりやすいかを調べる(シミュレーションや確率計算)
手順3 その起こりやすさを、あらかじめ決めた基準(多くの場合5%)と比べる
手順4 基準より小さければ「めったに起こらないことが起きた」とみなして仮説を棄却する(疑わしいとして退ける)。基準より大きければ仮説は棄却できない
実際に「公正なコインを20回投げる」という実験をコンピュータで1000回シミュレーションし、表が出た回数を記録すると、次のような結果(の一部)になる。
| 表の枚数 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 1000回中の回数 | 176 | 160 | 120 | 74 | 37 | 15 | 5 | 1 | 0 | 0 | 0 |
この表を使って、「20回中16回以上表が出る」ことが、公正なコインでどれくらい起こりやすいかを求め、5%を基準に「このコインは公正である」という仮説を棄却できるか判断せよ。
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答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「-1/2」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
4人の生徒の勉強時間 \(x\)(分)と小テストの得点 \(y\)(点)は次の通りである。\(x=10,20,30,40\)、\(y=60,65,75,80\)。共分散 \(S_{xy}\) を求めよ。
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あるデータについて、\(x\) の標準偏差 \(S_x=2\)、\(y\) の標準偏差 \(S_y=3\)、共分散 \(S_{xy}=4.8\) であった。相関係数 \(r\) を求めよ。
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次の散布図は、5人の1日の読書時間(分)と読解テストの点数の関係を表したものである。相関の種類を「正」「負」「なし」のいずれかで答えよ。
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次の散布図は、1日のテレビ視聴時間(時間)と期末テストの点数の関係を表したものである。相関の種類を「正」「負」「なし」のいずれかで答えよ。
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次の散布図は、生徒の上履きのサイズ(cm)と国語のテストの点数の関係を表したものである。相関の種類を「正」「負」「なし」のいずれかで答えよ。
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次の値 \(-1.5,\ 0.3,\ 2,\ -0.9\) のうち、相関係数の値としてありえないものを、小さい順にコンマ区切りで全て答えよ。
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5人の生徒が受けた2回の小テスト(各5点満点)の得点は、1回目 \(x=1,2,3,4,5\)、2回目 \(y=3,1,2,5,4\) であった(生徒の順は対応している)。共分散 \(S_{xy}\) と相関係数 \(r\) を求めよ。
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5人について、通学時間の順位 \(x=1,2,3,4,5\)(早く着く順)と朝食にかける時間の順位 \(y=4,5,2,3,1\)(長い順)を調べたところ次の対応になった(生徒の順は対応している)。共分散 \(S_{xy}\) と相関係数 \(r\) を求めよ。
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あるデータで \(x\) の単位を「cm」から「mm」に変える(すべての値を10倍する)と、相関係数 \(r\) の値はどうなるか。「10倍になる」「10分の1になる」「変わらない」のいずれかで答えよ。
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ほとんどの点が右上がりの一直線に近い形で分布しているデータに、傾向から大きく外れた点を1つ追加すると、相関係数の絶対値は一般にどうなるか。「大きくなる」「小さくなる」「変わらない」のいずれかで答えよ。
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ある年の統計で「アイスクリームの売上」と「水の事故件数」には正の相関があった。しかし、アイスクリームが直接水の事故を引き起こしているとは考えにくい。この2つの背後で、両方に共通して影響していると考えられる要因を答えよ。
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友達が「このコインは公正だ」と言うので20回投げてみたところ、表が14回出た。STEP4の表を参考に、「20回中14回以上表が出る」割合(%)を求め、5%を基準に「このコインは公正である」という仮説を棄却できるか判断せよ。
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5人の生徒の学習時間 \(x\)(分)とテストの得点 \(y\)(点)は \(x=10,20,30,40,50\)、\(y=60,70,90,80,100\) であった(生徒の順は対応している)。相関係数 \(r\) を求めよ。
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5人について、1週間の漢字テスト復習回数 \(x\)(回)と、テストの誤答率 \(y\)(%)は \(x=2,4,6,8,10\)、\(y=25,15,20,10,5\) であった(生徒の順は対応している)。共分散 \(S_{xy}\) と相関係数 \(r\) を求めよ。
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あるデータについて、\(x\) の標準偏差 \(S_x=1.5\)、\(y\) の標準偏差 \(S_y=2\)、相関係数 \(r=-0.5\) であることが分かっている。共分散 \(S_{xy}\) を求めよ。
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ここから先はPDF限定の腕試し。相関係数の性質と仮説検定の考え方を、別の場面で使ってみよう。
STEP2の例題のデータ(1回目の得点 \(x=1,2,3,4,5\)、2回目の得点 \(y=1,3,2,5,4\)、相関係数 \(r=0.8\))について、\(x\) を「点」から「10点満点中の点数の10倍(つまりmm的な単位変換にあたる \(x'=10x\))」に、\(y\) を \(y'=20y\) に変換したとする。このとき相関係数 \(r'\) はいくつになるか。
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5人の生徒について、勉強時間の順位 \(x=1,2,3,4,5\) と、あるテストの得点の順位 \(y=2,3,4,5,1\) を調べた(生徒の順は対応している)。まず5人全員のデータで相関係数 \(r_1\) を求めよ。次に、明らかに他の4人の傾向から外れている5人目(\(x=5,\ y=1\))を除いた4人だけで相関係数 \(r_2\) を求め、外れ値を除くと相関係数はどう変化したか、「大きくなった」「小さくなった」「変わらなかった」のいずれかで答えよ。
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「このさいころは公正で、1の目が出る確率は \(\dfrac16\) である」という仮説のもとで、さいころを60回投げる実験を1000回シミュレーションしたところ、1の目が出た回数について次の結果(の一部)が得られた。
| 1の目の回数 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
| 1000回中の回数 | 75 | 50 | 31 | 17 | 9 | 4 | 2 | 1 |
実際に60回投げたところ1の目が18回出た。「18回以上1の目が出る」割合(%)を求め、5%を基準にこの仮説を棄却できるか判断せよ。
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ある工場で、機械の点検回数 \(x\)(回/月)と故障件数 \(y\)(件/月)を5か月分調べたところ \(x=2,4,6,8,10\)、\(y=25,15,20,10,5\) であった(月の順は対応している)。相関係数 \(r\) を求め、この結果からどのようなことが言えそうか、最も適切なものを次から選べ:1.点検回数を増やすと必ず故障がゼロになる/2.点検回数が多い月ほど故障件数が少ない傾向がある/3.点検回数と故障件数には関係がない
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ある会社で社員50人について、残業時間 \(x\) と仕事の満足度アンケートの点数 \(y\) を調べたところ、相関係数は \(r=-0.75\) だった。次の記述のうち、この結果から確実に言えることを全て選び、番号を小さい順にコンマ区切りで答えよ。
1.残業時間を減らせば満足度は必ず上がる(因果関係が証明された)
2.残業時間と満足度の間には、線形的に見て負の傾向がある
3.残業時間が多い社員は、全員例外なく満足度が低い
4.この \(r=-0.75\) という値は、相関係数として妥当な範囲におさまっている