偏差と分散:散らばりを数値にする
平均値だけでは「データがどれくらいバラついているか」はわからない。そこで使うのが偏差と分散。偏差は「各データが平均からどれだけ離れているか」、分散は「偏差の2乗の平均」で、散らばりの大きさをひとつの数値にまとめたものだ。
データ \(4,\ 6,\ 7,\ 8,\ 10\) の5個で考えよう。まず平均を求める。
\[\bar{x} = \dfrac{4+6+7+8+10}{5} = \dfrac{35}{5} = 7\]偏差とは「データ \(-\) 平均」のこと。この5個について、偏差とその2乗を表にすると次のようになる。
| データ \(x\) | 4 | 6 | 7 | 8 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|
| 偏差 \(x-\bar{x}\) | \(-3\) | \(-1\) | \(0\) | \(1\) | \(3\) |
| 偏差の2乗 | \(9\) | \(1\) | \(0\) | \(1\) | \(9\) |
偏差の2乗の和は \(9+1+0+1+9=20\)。これをデータの個数5で割ったものが分散。
\[V = \dfrac{20}{5} = 4\]データ \(x_1, x_2, \dots, x_n\)、平均 \(\bar{x}\) のとき、 \[V = \dfrac{1}{n}\left\{(x_1-\bar{x})^2+(x_2-\bar{x})^2+\cdots+(x_n-\bar{x})^2\right\}\] 分散=「偏差の2乗」の平均(2乗するので、偏差がプラスでもマイナスでも打ち消し合わずに散らばりの大きさを表せる)
分散のもう1つの公式
分散は「偏差の2乗の平均」で計算できるが、実はもう1つ、平均だけを使う近道の公式がある。「\(x^2\) の平均」から「平均の2乗」を引くという形だ。データが大きい数のときはこちらの方が計算が楽になることが多い。
導出してみよう。分散の定義の式を展開する。
\[V = \dfrac{1}{n}\sum (x-\bar{x})^2 = \dfrac{1}{n}\sum \left(x^2 - 2\bar{x}\,x + \bar{x}^2\right)\]これを項ごとに分けると、
\[V = \dfrac{1}{n}\sum x^2 \ -\ 2\bar{x}\cdot\dfrac{1}{n}\sum x \ +\ \bar{x}^2\]ここで \(\dfrac{1}{n}\sum x\) はまさに平均 \(\bar{x}\) そのものなので、真ん中の項は \(-2\bar{x}\cdot\bar{x} = -2\bar{x}^2\) になる。整理すると、
\[V = \dfrac{1}{n}\sum x^2 - 2\bar{x}^2 + \bar{x}^2 = \dfrac{1}{n}\sum x^2 - \bar{x}^2\]例題 データ \(24,\ 28,\ 30,\ 32,\ 36\) の分散を、公式2つ目で求めよ。
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標準偏差:単位をデータと合わせる
分散は「2乗」してから平均しているので、単位が本来のデータと変わってしまう(点数のデータなら分散の単位は「点\({}^2\)」)。これを元の単位に戻すために、分散の正の平方根をとったものが標準偏差。
\[s = \sqrt{V}\]STEP 1のデータ \(4,6,7,8,10\) は分散 \(V=4\) だったので、標準偏差は \(s=\sqrt{4}=2\)。「データはだいたい平均から2くらい離れている」という散らばりの目安になる。
標準偏差が小さい → データが平均の近くに集まっている(散らばりが小さい)
例題 データ \(17,\ 19,\ 21,\ 23\) の分散と標準偏差を求めよ。
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データを一斉に変換すると、平均・分散はどうなる?
「全員のテストの点数に一律5点加える」「単位をcmからmに直すため全部を100で割る」のように、データ全体を同じルールで変換することがある。このとき平均と分散がどう変わるかには、はっきりした規則がある。
ケース1:全員に同じ数 \(a\) を足す(\(y = x + a\))
データ \(4,6,7,8,10\)(平均7、分散4)の全員に \(3\) を足すと \(7,9,10,11,13\) になる。平均は \(7+3=10\) と3増えるが、偏差(散らばりの形)はもとと全く同じ \(-3,-1,0,1,3\) のままなので、分散は変わらない。
ケース2:全員を \(b\) 倍する(\(y = bx\))
同じデータ \(4,6,7,8,10\) の全員を \(2\) 倍すると \(8,12,14,16,20\) になる。平均は \(7\times2=14\) と2倍になる。偏差も全部2倍(\(-6,-2,0,2,6\))になるので、偏差の2乗は \(2^2=4\) 倍。ゆえに分散は \(b^2\) 倍、標準偏差は(2乗ではなく)\(b\) 倍そのまま(負の数のときは絶対値 \(|b|\) 倍)になる。
平均:\(\bar{x}+a\)
分散:変わらない(そのまま)
標準偏差:変わらない
平均:\(b\bar{x}\)(\(b\) 倍)
分散:\(b^2\) 倍
標準偏差:\(|b|\) 倍
答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。根号の答えは「√5」または「sqrt5」で入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
データ \(8,\ 8,\ 12,\ 12\) について、平均・分散・標準偏差を求めよ。
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データ \(14,\ 18,\ 20,\ 22,\ 26\) について、平均・分散・標準偏差を求めよ。
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データ \(8,\ 8,\ 8,\ 12,\ 12,\ 12\)(6個)について、平均・分散・標準偏差を求めよ。
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データ \(7,\ 7,\ 7,\ 13,\ 13,\ 13\)(6個)の分散を、\(\overline{x^2}-(\bar{x})^2\) の公式で求め、標準偏差も答えよ。
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データ \(8,\ 8,\ 12,\ 12\)(平均\(10\)、分散\(4\))の全員に \(5\) を足すと、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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データ \(14,\ 18,\ 20,\ 22,\ 26\)(平均\(20\)、分散\(16\))の全員を \(1.5\) 倍すると、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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データ \(46,\ 48,\ 50,\ 52,\ 54\) の分散と標準偏差を求めよ。
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データ \(48,\ 49,\ 51,\ 52\) の分散を求めよ。
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データ \(27,\ 29,\ 31,\ 33\) の分散と標準偏差を求めよ。
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データ \(14,\ 18,\ 20,\ 22,\ 26\)(平均\(20\)、分散\(16\))の全員から \(8\) を引くと、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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データ \(2,\ 4,\ 5,\ 6,\ 8\)(平均\(5\)、分散\(4\))の全員を \(-3\) 倍すると、新しいデータの平均・分散・標準偏差はいくらになるか。
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あるデータの平均が \(8\)、分散が \(5\) である。このデータの全員を2倍してから3を足した新しいデータ(\(y=2x+3\))の平均・分散・標準偏差を求めよ。
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データ \(3,\ 5,\ 9,\ x\)(4個)の平均が \(6\) であるとき、\(x\) の値と、このデータの分散・標準偏差を求めよ。
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Aグループのデータ \(5,\ 6,\ 7,\ 8,\ 9\) と、Bグループのデータ \(3,\ 5,\ 7,\ 9,\ 11\) は、どちらも平均が \(7\) である。それぞれの分散を求め、Bの分散はAの何倍かを答えよ。
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あるデータ5個について、\(x^2\) の平均が \(125\)、平均が \(10\) であることがわかっている。このデータの分散と標準偏差を求めよ。
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あるデータを2倍してから3を引いたところ(\(y=2x-3\))、新しいデータの平均は \(17\)、分散は \(48\) になった。もとのデータの平均・分散・標準偏差を求めよ。
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ここから先はPDF限定の腕試し。グループの合併や仮平均など、入試の基礎レベルに挑戦しよう。
生徒20人のクラスAの小テストの平均点は\(65\)点、生徒30人のクラスBの平均点は\(75\)点であった。AとBを合わせた全体の生徒数と、全体の平均点を求めよ。
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生徒5人のグループAは平均\(4\)点・分散\(2\)、生徒5人のグループBは平均\(8\)点・分散\(2\)であった。AとBを合わせた10人全体の平均点と分散を求めよ。
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データ \(48,\ 50,\ 53,\ 55,\ 49\) について、平均を求めやすくするため仮平均 \(50\) を基準にとる。各データから \(50\) を引いた「仮の偏差」を使って、真の平均と分散を求めよ。
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データ \(4,\ 7,\ x,\ y\)(4個、\(x解説を見る
10人のクラスの小テストの平均点は \(60\)点、分散は \(25\) であった。全員に一律\(5\)点のボーナスを加点した後、さらに全員の点数を \(1.2\) 倍する特別措置を行った(先にボーナス、その後に倍率)。最終的な平均点・分散・標準偏差を求めよ。