内積の定義
2つのベクトル \(\vec{a}\), \(\vec{b}\)(どちらも \(\vec{0}\) でない)を、始点をそろえて置いたときにできる角を \(\theta\)(\(0^\circ \le \theta \le 180^\circ\))とする。この \(\theta\) を使って、内積は次の式で定義される。
\(\vec{a}\cdot\vec{b} = |\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta\)
内積の結果はベクトルではなく、ただの数(スカラー)になる点に注意しよう。矢印は付かない。\(|\vec{a}|\), \(|\vec{b}|\) はそれぞれの大きさ(長さ)、\(\cos\theta\) はなす角の余弦だから、内積の値は \(\theta\) の大きさによって符号が変わる。
\(0^\circ \le \theta < 90^\circ\)(鋭角)→ \(\vec{a}\cdot\vec{b} > 0\)
\(\theta = 90^\circ\)(垂直)→ \(\vec{a}\cdot\vec{b} = 0\)
\(90^\circ < \theta \le 180^\circ\)(鈍角)→ \(\vec{a}\cdot\vec{b} < 0\)
例題1 \(|\vec{a}|=4\)、\(|\vec{b}|=5\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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成分による内積の計算
実は、なす角 \(\theta\) がわからなくても、成分さえわかれば内積は計算できる。\(\vec{a}=(x_1,\ y_1)\)、\(\vec{b}=(x_2,\ y_2)\) のとき、内積は次のようにシンプルな式になる。
\(\vec{a}=(x_1,\ y_1)\)、\(\vec{b}=(x_2,\ y_2)\) のとき
\(\vec{a}\cdot\vec{b} = x_1x_2 + y_1y_2\)
「\(x\) 成分同士の積」と「\(y\) 成分同士の積」を足すだけ。角度を求めてから \(\cos\) を計算する手間がいらないので、成分がわかっている問題ではこちらが圧倒的に速い。定義の式(STEP 1)と成分の式(STEP 2)は同じ内積を2通りの方法で表しているだけなので、どちらから計算しても同じ値になる。
もう1つ覚えておくと便利な事実がある。\(\vec{a}\) 自身との内積を成分で計算すると \(\vec{a}\cdot\vec{a} = x_1^2+y_1^2\) となるが、これはちょうど \(|\vec{a}|^2\)(大きさの2乗)と同じ式だ。つまり
この関係は、STEP 4で「\(|\vec{a}+\vec{b}|^2\) の展開」を考えるときの土台になる。
例題2 \(\vec{a}=(3,\ 2)\)、\(\vec{b}=(-1,\ 4)\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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なす角の求め方・垂直条件
STEP 1の定義の式を \(\cos\theta\) について解くと、成分から逆になす角を求める式が手に入る。
\(\cos\theta = \dfrac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}\)
手順は「1. 内積 \(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を成分から計算 2. \(|\vec{a}|\), \(|\vec{b}|\) を成分から計算 3. 上の式に代入して \(\cos\theta\) の値を求め、そこから \(\theta\) を求める」の3ステップ。\(\cos\theta\) の値が \(0,\ \pm\dfrac{1}{2},\ \pm\dfrac{\sqrt2}{2},\ \pm\dfrac{\sqrt3}{2},\ \pm1\) のどれかになるように問題が作られていることが多いので、有名角(\(30^\circ,45^\circ,60^\circ,90^\circ,120^\circ,135^\circ,150^\circ\) など)を思い出せるようにしておこう。
特に \(\cos\theta=0\)、つまり \(\vec{a}\cdot\vec{b}=0\) になる場合は \(\theta=90^\circ\)、垂直である。これは頻出する重要な条件なので単独で覚えておく。
\(\vec{a}\perp\vec{b} \iff \vec{a}\cdot\vec{b}=0\)
例題3 \(\vec{a}=(1,\ 0)\)、\(\vec{b}=(1,\ 1)\) のなす角 \(\theta\) を求めよ。
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例題4 \(\vec{a}=(2,\ 3)\)、\(\vec{b}=(t,\ 4)\) が垂直であるとき、\(t\) の値を求めよ。
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内積の演算法則と \(|\vec{a}+\vec{b}|^2\) の展開
内積は、文字式のかけ算とほとんど同じ感覚で展開・整理してよい。ただし「ベクトル同士の内積」と「ベクトルの大きさの2乗」を対応づける関係(STEP 2の \(\vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^2\))だけは特別なルールとして意識しておく必要がある。
\(\vec{a}\cdot\vec{b} = \vec{b}\cdot\vec{a}\)(交換法則)
\(\vec{a}\cdot(\vec{b}+\vec{c}) = \vec{a}\cdot\vec{b}+\vec{a}\cdot\vec{c}\)(分配法則)
\((k\vec{a})\cdot\vec{b} = k(\vec{a}\cdot\vec{b})\)(\(k\) は実数)
この法則を使うと、\(|\vec{a}+\vec{b}|^2\) を文字式の \((x+y)^2\) の展開と同じ要領で展開できる。\(|\vec{a}+\vec{b}|^2\) は「ベクトル \(\vec{a}+\vec{b}\) 自身との内積」だから、まず \((\vec{a}+\vec{b})\cdot(\vec{a}+\vec{b})\) と書き直してから分配法則を使うのがコツだ。
\(|\vec{a}+\vec{b}|^2 = (\vec{a}+\vec{b})\cdot(\vec{a}+\vec{b}) = |\vec{a}|^2+2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2\)
\(|\vec{a}-\vec{b}|^2 = |\vec{a}|^2-2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2\)
例題5 \(|\vec{a}|=3\)、\(|\vec{b}|=2\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}=1\) のとき、\(|\vec{a}+\vec{b}|\) を求めよ。
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答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。根号は「√15」でも「sqrt15」でもOK。分数は「-4/5」のように入力。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
\(\vec{a}=(2,\ 3)\)、\(\vec{b}=(4,\ -1)\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(-1,\ 5)\)、\(\vec{b}=(3,\ 2)\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=3\)、\(|\vec{b}|=4\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=5\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(120^\circ\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=4\)、\(|\vec{b}|=4\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) が垂直であるとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(1,\ -2)\)、\(\vec{b}=(-3,\ 4)\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=5\)、\(|\vec{b}|=2\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(180^\circ\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(1,\ 1)\)、\(\vec{b}=(1,\ -1)\) のなす角 \(\theta\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(1,\ \sqrt3)\)、\(\vec{b}=(\sqrt3,\ 1)\) のなす角 \(\theta\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(3,\ 3)\)、\(\vec{b}=(0,\ -4)\) のなす角 \(\theta\) を求めよ。
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\(\vec{a}=(3,\ -2)\)、\(\vec{b}=(4,\ t)\) が垂直であるとき、\(t\) の値を求めよ。
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\(\vec{a}=(1,\ 2)\)、\(\vec{b}=(3,\ -1)\)、\(\vec{c}=(2,\ 1)\) について、\(\vec{a}+t\vec{b}\) が \(\vec{c}\) と垂直になるように \(t\) の値を求めよ。
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\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=3\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}=1\) のとき、\(|\vec{a}+\vec{b}|\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=3\)、\(|\vec{b}|=1\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) のとき、\(|\vec{a}-\vec{b}|\) を求めよ。
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\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=1\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}=-1\) のとき、\((2\vec{a}+\vec{b})\cdot(\vec{a}-3\vec{b})\) の値を求めよ。
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\(|\vec{a}|=|\vec{b}|=1\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) であるとき、\(\vec{a}+\vec{b}\) と \(\vec{a}-\vec{b}\) のなす角を求めよ。
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\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=3\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) であるとき、\(\vec{a}+t\vec{b}\) が \(\vec{a}\) と垂直になるように \(t\) の値を求めよ。
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\(|\vec{a}|=\sqrt5\)、\(|\vec{b}|=1\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) が垂直であるとき、\(|\vec{a}-2\vec{b}|\) を求めよ。
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ここから先はPDF限定の腕試し。内積の使いどころが一気に広がる場面に挑戦しよう。
\(|\vec{a}|=3\)、\(|\vec{b}|=2\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}=1\) のとき、実数 \(t\) を動かすとき \(|\vec{a}+t\vec{b}|\) の最小値と、そのときの \(t\) の値を求めよ。
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三角形OABにおいて、\(\overrightarrow{OA}=\vec{a}=(4,\ 0)\)、\(\overrightarrow{OB}=\vec{b}=(1,\ 3)\) であるとき、三角形OABの面積 \(S\) を求めよ。次の面積公式を利用してよい。
\(S = \dfrac{1}{2}\sqrt{|\vec{a}|^2|\vec{b}|^2-(\vec{a}\cdot\vec{b})^2}\)
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\(|\vec{a}|=5\)、\(|\vec{b}|=8\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) のとき、\(|\vec{a}-\vec{b}|\) を求めよ。
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(これは、2辺が5と8、その間の角が60°の三角形の3辺目の長さを求める余弦定理とまったく同じ計算になっている。内積の展開は図形の性質とつながっている。)
\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=3\) のとき、\(\vec{a}+t\vec{b}\) と \(\vec{a}-t\vec{b}\) が垂直になるように、実数 \(t\) の値をすべて求めよ。(コンマ区切りで入力)
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\(|\vec{a}|=2\)、\(|\vec{b}|=3\)、\(|\vec{a}+\vec{b}|=\sqrt7\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) の値と、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角 \(\theta\) を求めよ。