この範囲の全体像
数Cは「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」という、見た目はまったく違う2つの章からなる科目である。しかしこの2章は独立した知識の寄せ集めではなく、「平面上の1点をどう表すか」という同じ問いに、違う道具で答えているという点でつながっている。
第1章「ベクトル」で身につける位置ベクトルの技術——内分点・外分点・重心を「係数の和が1になる形」で表す考え方——は、第2章「平面上の曲線と複素数平面」の複素数平面でそのままの形で登場する。複素数を座標平面上の点として扱う複素数平面では、内分点の公式\(z=\dfrac{n z_1+m z_2}{m+n}\)がベクトルの内分点公式\(\vec{p}=\dfrac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}\)と寸分違わぬ形をしている。これは偶然ではなく、複素数\(a+bi\)を成分\((a,\ b)\)のベクトルとみなせば、足し算・実数倍という計算のルールがベクトルとまったく同じだからである。
また、ベクトルの大きさの公式\(|\vec{a}|=\sqrt{a_1^2+a_2^2}\)は、複素数の絶対値\(|z|=\sqrt{a^2+b^2}\)とそのまま同じ計算であり、これは「2点間の距離」を測る唯一の道具として、第2章の2次曲線(放物線・楕円・双曲線)の定義そのものを支えている。放物線は「焦点までの距離=準線までの距離」、楕円は「2焦点までの距離の和が一定」、双曲線は「2焦点までの距離の差が一定」——これらはすべて「距離」という同じ量についての条件であり、その距離を実際の数として計算する場面で、ベクトルの大きさの公式(あるいはその複素数版である絶対値の公式)が繰り返し働いている。
一方で、ベクトルだけではうまく扱えない場面もある。図形を「回転」させる計算は、ベクトルでは(数Cの範囲では)複雑な操作になるが、複素数の掛け算なら\(z_1z_2=r_1r_2\{\cos(\theta_1+\theta_2)+i\sin(\theta_1+\theta_2)\}\)という1回の掛け算で「回転して拡大・縮小する」ことができる。ド・モアブルの定理とn乗根は、この「掛け算で回転する」という性質を極限まで活用したもので、正n角形の頂点が複素数の世界では自然に姿を現す。数学IIの複素数と方程式で学んだ「解の公式に出てくる虚数」が、この章で初めて図形として目に見える形になる。
まとめると、数Cの2章に共通するのは「点の位置をどう表し、どう計算するか」という問いであり、直交座標・位置ベクトル・媒介変数・複素数という4つの言葉を、場面に応じて自在に行き来できるようになることが、この範囲の総仕上げになる。この総復習では、章をまたいだ融合問題(まとめテストの31〜40番)を通して、そのつながりを実際に確認していこう。
章まとめへのリンク一覧
まず各章の要点整理・まとめテストで、章ごとの土台を仕上げておこう。下のリンクから各章のまとめページに移動できる。
- ベクトル まとめ ― 成分の演算・内積・位置ベクトルと図形(内分点・外分点・重心・共線条件)・空間ベクトルの全4ページを総復習する。
- 平面上の曲線と複素数平面 まとめ ― 2次曲線(放物線・楕円・双曲線)・媒介変数表示と極座標・複素数平面・ド・モアブルの定理の全4ページを総復習する。
要点整理 位置ベクトルと複素数――同じ計算を2つの言葉で
複素数\(a+bi\)を、成分\((a,\ b)\)のベクトルだと思って公式を見比べてみよう。形がそっくりなことに気づくはずだ。
要点整理 「距離が一定」という条件が曲線を作る
円・楕円・双曲線・放物線は、見た目も方程式もバラバラに見えるが、どれも「距離についてのある条件」を満たす点の集合として定義されている。その距離を実際の数値として計算する道具が、ベクトルの大きさ(=複素数の絶対値)の公式である。
要点整理 点の位置を表す4つの言葉と使い分け
この範囲では、平面上の同じ1点を表す方法が4通り登場する。どれも同じ点を指しているのに、得意なことがそれぞれ違う。
すべての出発点。方程式の基本形はここで書く。
内分点・重心・平行・垂直など、足し算と実数倍だけで表せる関係を扱うのが得意。
曲線の上を実際に動く点として扱いたいとき便利。楕円・双曲線の点をひとつの変数で表せる。
この範囲全体を横断する総合演習、全40問。目標時間は60分。答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「3/4」、根号は「√5」または「sqrt5」、円周率は「π」または「pi」で入力できる。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。
\(\vec{a}=(5,\ -2)\)、\(\vec{b}=(-3,\ 4)\) のとき、\(2\vec{a}-\vec{b}\) を成分で求めよ。
解説を見る
\(\vec{a}=(7,\ -24)\) の大きさ \(|\vec{a}|\) を求めよ。
解説を見る
\(\vec{a}=(3,\ 5)\)、\(\vec{b}=(-2,\ 4)\) のとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\) を求めよ。
解説を見る
\(\vec{a}=(6,\ -2)\)、\(\vec{b}=(t,\ 9)\) が垂直であるとき、\(t\) の値を求めよ。
解説を見る
\(A(-2,\ 3)\)、\(B(6,\ -5)\) について、線分ABを \(3:1\) に内分する点Pの座標を求めよ。
解説を見る
\(A(1,\ 4)\)、\(B(-3,\ 2)\)、\(C(8,\ -6)\) を頂点とする三角形の重心Gの座標を求めよ。
解説を見る
2点 \(A(2,\ -1,\ 3)\)、\(B(5,\ 3,\ 15)\) について、\(\overrightarrow{AB}\) の成分と大きさを求めよ。
解説を見る
方程式 \(x^2+y^2+z^2+2x-4y+6z-2=0\) が表す球面の中心と半径を求めよ。
解説を見る
\(y^2=8x\) の焦点の座標と準線の方程式を求めよ。
解説を見る
\(\dfrac{x^2}{25}+\dfrac{y^2}{9}=1\) の焦点の座標を求めよ。
解説を見る
\(\dfrac{x^2}{16}-\dfrac{y^2}{9}=1\) の頂点の座標(正の方)と、漸近線の傾き(正の方)を求めよ。
解説を見る
\(x=t^2,\ y=2t\) で表される曲線の方程式を、\(x,\ y\) だけの式で表せ。
解説を見る
極座標が \((r,\ \theta)=\left(6,\ \dfrac{\pi}{3}\right)\) である点を、直交座標\((x,\ y)\)で表せ。
解説を見る
\(z=8-15i\) の絶対値 \(|z|\) を求めよ。
解説を見る
\(z=\sqrt3+i\) を極形式 \(r(\cos\theta+i\sin\theta)\)(\(0\le\theta<2\pi\))で表すときの \(r,\ \theta\) を求めよ。
解説を見る
\(z=4-3i\) のとき、\(z\bar{z}\) の値を求めよ。
解説を見る
\(z_1=2\left(\cos\dfrac{\pi}{6}+i\sin\dfrac{\pi}{6}\right)\)、\(z_2=3\left(\cos\dfrac{\pi}{3}+i\sin\dfrac{\pi}{3}\right)\) のとき、\(|z_1z_2|\) と \(\arg(z_1z_2)\) を求めよ。
解説を見る
\(z=1+i\) のとき、ド・モアブルの定理を用いて \(z^8\) の値を求めよ。
解説を見る
1の5乗根はいくつあるか。また、それらを複素数平面上に図示したときの、隣り合う点どうしの偏角の間隔を求めよ。
解説を見る
\(z_1=1+2i\)、\(z_2=9-6i\) のとき、\(z_1\)から\(z_2\)に向かって \(3:1\) に内分する点 \(z\) を求めよ。
解説を見る
3点 \(A(2,\ -1)\)、\(B(5,\ 3)\)、\(C(m,\ 15)\) が一直線上にあるとき、\(m\) の値を求めよ。
解説を見る
\(A(1,\ -2)\)、\(B(7,\ 4)\) について、線分ABを \(3:2\) に外分する点Qの座標を求めよ。
解説を見る
4点 \(\mathrm{O}(0,\ 0,\ 0)\)、\(\mathrm{A}(2,\ 1,\ 3)\)、\(\mathrm{B}(1,\ 3,\ -1)\)、\(\mathrm{C}(x,\ 5,\ 5)\) が同一平面上にあるとき、\(x\) の値を求めよ。
解説を見る
\(\vec{a}=(1,\ 1,\ 0)\)、\(\vec{b}=(1,\ 0,\ 1)\) のなす角\(\theta\)について、\(\cos\theta\)の値と\(\theta\)を求めよ。
解説を見る
楕円 \(\dfrac{x^2}{36}+\dfrac{y^2}{11}=1\) 上の点Pから一方の焦点Fまでの距離が\(7\)であるとき、もう一方の焦点F'までの距離を求めよ。
解説を見る
双曲線 \(\dfrac{x^2}{20}-\dfrac{y^2}{4}=1\) と直線 \(y=x+k\) が接する(共有点がちょうど1個)ときの \(k\) の値をすべて求めよ(コンマ区切り)。
解説を見る
極方程式 \(r=6\cos\theta\) が表す図形の中心の座標と半径を求めよ。
解説を見る
\(z=a+3i\)(\(a\)は実数)、\(w=2-i\) とする。\(\dfrac{z}{w}\) が実数になるように、\(a\) の値を求めよ。
解説を見る
方程式 \(z^3=8i\) の解はすべて絶対値が等しく、偏角が等間隔に並ぶ。解の絶対値と、偏角の間隔を求めよ。
解説を見る
1の6乗根のうち、偏角が \(\dfrac{\pi}{3}\) であるものを \(a+bi\) の形で求めよ。
解説を見る
\(z_1=3+2i\)、\(z_2=-1+10i\) について、\(z_1\)から\(z_2\)に向かって \(3:1\) に内分する点 \(z\) を求めよ。ベクトルの内分点公式\(\vec{p}=\dfrac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}\)の\(\vec{a},\vec{b}\)を\(z_1,z_2\)に置き換えるだけで同じように計算できることを確認せよ。
解説を見る
複素数\(z\)が \(|z-(6+8i)|=1\) を満たしながら動くとき、\(|z|\)の最大値・最小値を求めよ。
解説を見る
複素数\(z_1=3+4i\)、\(z_2=x+6i\)(\(x\)は実数)について、原点Oと点\(z_1\)、点\(z_2\)を結んでできる角\(\angle z_1Oz_2\)が直角になるように \(x\) の値を求めよ。
解説を見る
楕円上の点Pを \(x=7\cos\theta,\ y=4\sin\theta\)(\(0\le\theta<2\pi\))と媒介変数表示する。\(\overrightarrow{OP}\)の大きさ\(|\overrightarrow{OP}|\)の最大値・最小値を求めよ。
解説を見る
双曲線 \(\dfrac{x^2}{16}-\dfrac{y^2}{9}=1\) 上の点Pのうち、原点Oから最も近い点までの距離\(|\overrightarrow{OP}|\)の最小値を求めよ(\(P\)は右側の枝、\(x>0\)とする)。
解説を見る
複素数平面上に3点 \(A(z_1=1+i)\)、\(B(z_2=5+3i)\)、\(C(z_3=k+7i)\)(\(k\)は実数)がある。\(\angle B\)が直角になるように \(k\) の値を求めよ。
解説を見る
1の4乗根は複素数平面上で正方形の頂点をなす。隣り合う頂点どうしの距離(正方形の1辺の長さ)と、向かい合う頂点どうしの距離(対角線の長さ)を求めよ。
解説を見る
楕円 \(\dfrac{x^2}{625}+\dfrac{y^2}{576}=1\) の2つの焦点をF, F'とする。楕円の短軸の頂点(\(y\)座標が正の方)をPとするとき、三角形PFF'の重心Gの座標を求めよ。
解説を見る
放物線 \(y^2=24x\) の焦点をFとする。放物線上の点で \(y=12\) となる点をPとするとき、\(\overrightarrow{FP}\)の大きさ\(|\overrightarrow{FP}|\)を、ベクトルの大きさの公式を使って求めよ。また、それが放物線の定義(焦点までの距離=準線までの距離)と一致することを確かめよ。
解説を見る
1の5乗根を\(z_0=1,\ z_1,\ z_2,\ z_3,\ z_4\)とする。これらを原点からの位置ベクトルとみなしたとき、その和\(z_0+z_1+z_2+z_3+z_4\)の値(実部・虚部)を求めよ。
解説を見る
答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。
ベクトルの内分点公式\(\vec{p}=\dfrac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}\)と、複素数平面の内分点公式\(z=\dfrac{nz_1+mz_2}{m+n}\)は、まったく同じ形をしている。なぜ同じ形になるのかを、具体的な数値例を1つ挙げながら説明せよ。
模範解答を見る
円・楕円・双曲線・放物線は、どれも「距離に関する条件」として定義される。この4つの定義に共通する考え方を、具体的な数値例を1つ挙げながら説明せよ。
模範解答を見る
先生「まず、商品を受け渡す場所として、線分ABを\(1:2\)に内分する点Pを決めよう。」
太郎「位置ベクトルの公式を使えば、Oから見たPの位置がすぐわかりますね。」
線分ABを\(1:2\)に内分する点をPとする。\(\overrightarrow{OP}\)を求めると、\(\overrightarrow{OP}=(\boxed{\text{ア}},\ \boxed{\text{イ}})\)である。
解説を見る
花子「次に、(1)で求めた点Pを基準にして、支柱を垂直に立てる場所を決めましょう。点Pから辺OBに下ろした垂線の足をQとします。」
\(\overrightarrow{OQ}=t\vec{b}\)(\(t\)は実数)とおくと、\(\overrightarrow{PQ}\perp\overrightarrow{OB}\)より \(t=\dfrac{\boxed{\text{ウエ}}}{\boxed{\text{オカ}}}\) である。
解説を見る
太郎「最後に、受け渡しコーナーの飾りつけに使う布がどれくらい必要か、(1)で求めたPと(2)で求めたQを結んでできる三角形APQの面積を計算して見積もりましょう。」
花子「\(\overrightarrow{AP}\)と\(\overrightarrow{AQ}\)の2つのベクトルが分かれば、面積の公式で求められますね。」
(1)で求めたPと(2)で求めたQを用いて、三角形APQの面積\(S\)を求めると、\(S=\dfrac{\boxed{\text{キク}}}{\boxed{\text{ケ}}}\)である。
解説を見る
先生「まず、アンテナの鏡の断面を放物線\(y^2=20x\)と考えよう。放物線に平行に入ってきた電波は、反射してすべて焦点に集まる。」
花子「焦点の位置が受信部を置くべき場所ですね。」
放物線\(y^2=20x\)の焦点の座標は\((\boxed{\text{ア}},\ 0)\)、準線の方程式は\(x=\boxed{\text{イ}}\)である(\(\boxed{\text{イ}}\)は符号も含めて入力せよ)。
解説を見る
太郎「鏡の縁の、\(y=10\)の高さにある点から、受信部(焦点)までの距離を知りたいです。」
\(y^2=20x\)上で\(y=10\)のときの\(x\)座標は\(\boxed{\text{ウ}}\)であり、この点から焦点までの距離は\(\boxed{\text{エオ}}\)である。
解説を見る
先生「今度は展示替えして、楕円形の壁\(\dfrac{x^2}{169}+\dfrac{y^2}{144}=1\)を使ったウィスパーギャラリーを作ろう。楕円には、一方の焦点で発した音が、反射してもう一方の焦点に集まるという性質がある。」
花子「この楕円の焦点の1つは、(1)で求めたアンテナの焦点とちょうど同じ\((5,\ 0)\)の位置になるように設計されているんですね。」
この楕円上の点Pから焦点\((5,\ 0)\)までの距離が\(9\)であるとき、もう一方の焦点までの距離は\(\boxed{\text{カキ}}\)である。
解説を見る
先生「\(120°\)回転させるには\(\cos120°+i\sin120°=-\dfrac12+\dfrac{\sqrt3}{2}i\)をかければいい。3枚の羽根は、\(z_0\)を\(0°,\ 120°,\ 240°\)回転させた位置にある。」
2枚目の羽根の先端の位置 \(z_1=z_0(\cos120°+i\sin120°)\) を\(a+bi\)の形で求めると、実部\(a=\boxed{\text{ア}}\sqrt{\boxed{\text{イ}}}\)、虚部\(b=\boxed{\text{ウ}}\)である(ア・ウは符号も含めて入力せよ)。
解説を見る
先生「\(240°=120°+120°\)だから、3枚目の羽根の位置は、(1)で求めた\(z_1\)をさらに\(120°\)回転させても求められるよ。」
(1)で求めた\(z_1\)を用いて \(z_2=z_1(\cos120°+i\sin120°)\) を計算し、\(a+bi\)の形で求めると、実部\(a=\boxed{\text{エ}}\sqrt{\boxed{\text{オ}}}\)、虚部\(b=\boxed{\text{カ}}\)である(カは符号も含めて入力せよ)。
解説を見る
花子「3枚の羽根がちょうど正三角形の頂点になっているか、確かめてみましょう。」
\(z_0+z_1+z_2\)の値を求めると、実部\(=\boxed{\text{キ}}\)、虚部\(=\boxed{\text{ク}}\)である。また、隣り合う羽根の先端どうしの距離\(|z_1-z_0|\)を求めると\(\boxed{\text{ケ}}\sqrt{\boxed{\text{コ}}}\)である。