STEP 1

確率変数と確率分布表

さいころを投げたときの「出た目」や、くじを引いたときの「当たった金額」のように、試行の結果によって値が決まり、しかもその値の出方に確率がともなう変数を確率変数という。確率変数がとりうる値と、それぞれの値をとる確率をまとめた表を確率分布表という。

例として、硬貨を2枚投げて表の出た枚数を \(X\) とする場合を考えよう。2枚の硬貨の出方は「表表」「表裏」「裏表」「裏裏」の4通りで、これらはすべて同じ確率 \(\dfrac{1}{4}\) で起こる。それぞれの出方で \(X\) の値は次のようになる。

硬貨の出方 表表 表裏 裏表 裏裏
確率 \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{4}\)
表の枚数 \(X\) 2 1 1 0

\(X=1\) になるのは「表裏」「裏表」の2通りなので確率は \(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}=\dfrac{1}{2}\)。同じ値になる出方をまとめると、\(X\) の確率分布表がつくれる。

\(X\) 0 1 2 計
\(P\) \(\frac{1}{4}\) \(\frac{1}{2}\) \(\frac{1}{4}\) 1
確率分布表の条件は次の2つ。
・すべての確率は \(0\) 以上(\(p_i \ge 0\))
・確率の合計はちょうど1(\(p_1+p_2+\cdots+p_n=1\))
表を作ったら、必ず横の合計が1になっているか確認する習慣をつけよう。
STEP 2

期待値(平均)と分散・標準偏差

確率変数 \(X\) が \(x_1, x_2, \ldots, x_n\) の値を、それぞれ確率 \(p_1, p_2, \ldots, p_n\) でとるとき、\(X\) の期待値(平均) \(E(X)\) は「値 \(\times\) 確率」を全部たしたもの。散らばりの大きさを表す分散 \(V(X)\) は、平均からの偏差の2乗の期待値だ。

\[E(X) = x_1p_1 + x_2p_2 + \cdots + x_np_n = \sum x_ip_i\]

分散 \(V(X)\) は「\((X-m)^2\) の期待値」(\(m=E(X)\))として定義されるが、実際の計算では次の変形(計算のコツ)を使うと速い。

\[V(X) = \sum (x_i-m)^2p_i = E(X^2) - \{E(X)\}^2\]

標準偏差 \(\sigma(X)\) は分散の正の平方根。

\[\sigma(X) = \sqrt{V(X)}\]

例題 1個のさいころを1回投げるとき、出る目 \(X\) の期待値 \(E(X)\)、分散 \(V(X)\)、標準偏差 \(\sigma(X)\) を求めよ。

解答を見る
確率分布表は \(X=1,2,3,4,5,6\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{6}\)。 期待値 \(E(X) = 1\cdot\dfrac{1}{6}+2\cdot\dfrac{1}{6}+3\cdot\dfrac{1}{6}+4\cdot\dfrac{1}{6}+5\cdot\dfrac{1}{6}+6\cdot\dfrac{1}{6} = \dfrac{1+2+3+4+5+6}{6} = \dfrac{21}{6} = \dfrac{7}{2}\) 分散(定義どおり:偏差の2乗の平均) 平均 \(m=\dfrac{7}{2}\) からの偏差 \(x_i-m\) は \(-\dfrac{5}{2},-\dfrac{3}{2},-\dfrac{1}{2},\dfrac{1}{2},\dfrac{3}{2},\dfrac{5}{2}\)、その2乗は \(\dfrac{25}{4},\dfrac{9}{4},\dfrac{1}{4},\dfrac{1}{4},\dfrac{9}{4},\dfrac{25}{4}\)。 \(V(X) = \left(\dfrac{25}{4}+\dfrac{9}{4}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{9}{4}+\dfrac{25}{4}\right)\times\dfrac{1}{6} = \dfrac{70}{4}\times\dfrac{1}{6} = \dfrac{35}{12}\) 分散(計算のコツ:\(E(X^2)-\{E(X)\}^2\)) \(E(X^2) = \dfrac{1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2}{6} = \dfrac{91}{6}\) \(V(X) = \dfrac{91}{6} - \left(\dfrac{7}{2}\right)^2 = \dfrac{91}{6}-\dfrac{49}{4} = \dfrac{182}{12}-\dfrac{147}{12} = \dfrac{35}{12}\) どちらの方法でも同じ値になることが確認できる(普段は計算が速い後者を使う)。 標準偏差 \(\sigma(X) = \sqrt{\dfrac{35}{12}} = \dfrac{\sqrt{105}}{6} \approx 1.71\) \(E(X)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=\dfrac{35}{12}\)、\(\sigma(X)=\dfrac{\sqrt{105}}{6}\approx1.71\)
注意 分散は必ず0以上になる(2乗の平均だから)。計算した \(V(X)\) が負になったら、途中の計算にミスがある。
STEP 3

aX+b の平均・分散

確率変数 \(X\) を定数倍したり定数を足したりしてできる新しい確率変数 \(aX+b\) の平均・分散は、\(X\) の平均・分散から公式で計算できる。いちいち新しい分布表を作り直さなくてよいのが便利なところ。

\(a,\ b\) を定数とするとき \[E(aX+b) = aE(X)+b\] \[V(aX+b) = a^2V(X)\] \[\sigma(aX+b) = |a|\,\sigma(X)\] 分散には \(a\) の2乗がつく(符号は消える)。\(b\)(平行移動の分)は散らばりに影響しないので分散には現れない。

例題 1個のさいころを投げて出た目を \(X\) とする。\(Y=2X+1\) とするとき、\(E(Y)\) と \(V(Y)\) を求めよ。

解答を見る
STEP2より \(E(X)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=\dfrac{35}{12}\)。 公式にあてはめる。 \(E(Y) = E(2X+1) = 2E(X)+1 = 2\times\dfrac{7}{2}+1 = 7+1 = 8\) \(V(Y) = V(2X+1) = 2^2V(X) = 4\times\dfrac{35}{12} = \dfrac{35}{3}\) (検算)\(Y\) は \(X=1,\ldots,6\) に対応して \(3,5,7,9,11,13\) の値をそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{6}\) でとる。 \(E(Y) = \dfrac{3+5+7+9+11+13}{6} = \dfrac{48}{6} = 8\)(一致) \(E(Y^2) = \dfrac{9+25+49+81+121+169}{6} = \dfrac{454}{6} = \dfrac{227}{3}\)、\(V(Y)=\dfrac{227}{3}-64=\dfrac{227-192}{3}=\dfrac{35}{3}\)(一致) \(E(Y)=8\)、\(V(Y)=\dfrac{35}{3}\)
STEP 4

独立な確率変数の和

2個のさいころを同時に投げるときのように、2つの確率変数 \(X,\ Y\) を組み合わせて考えることも多い。和の期待値にはとても便利な性質がある。

\[E(X+Y) = E(X)+E(Y)\] この式は \(X\) と \(Y\) が独立かどうかに関係なく、いつでも成り立つ。

さらに、\(X\) と \(Y\) が独立(一方の結果がもう一方に影響しない)ならば \[V(X+Y) = V(X)+V(Y)\] 分散の加法性は独立なときだけ成り立つ、という違いに注意。

例題 2個のさいころを同時に投げる。それぞれの出た目を \(X,\ Y\) とし(\(X,\ Y\) は独立)、和を \(S=X+Y\) とする。\(E(S)\) と \(V(S)\) を求めよ。

解答を見る
1個のさいころについて \(E(X)=E(Y)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=V(Y)=\dfrac{35}{12}\)(STEP2より)。 \(E(S) = E(X+Y) = E(X)+E(Y) = \dfrac{7}{2}+\dfrac{7}{2} = 7\) \(X,\ Y\) は独立(片方のさいころの目がもう片方に影響しない)なので \(V(S) = V(X+Y) = V(X)+V(Y) = \dfrac{35}{12}+\dfrac{35}{12} = \dfrac{70}{12} = \dfrac{35}{6}\) \(E(S)=7\)、\(V(S)=\dfrac{35}{6}\)
参考(積の期待値) \(X\) と \(Y\) が独立ならば、和だけでなく積についても次が成り立つ。 \[E(XY) = E(X)E(Y)\] 例えば2個のさいころなら \(E(XY)=E(X)E(Y)=\dfrac{7}{2}\times\dfrac{7}{2}=\dfrac{49}{4}\)。(この性質は「独立」なときだけ成り立つので、独立でない2つの変数には使えない)
練習問題(全17問)

答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。分数は「7/2」のように、割り切れないときはそのまま分数で入力しよう。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜7)
1
期待値の基本

1枚の硬貨を1回投げ、表が出たら1点、裏が出たら0点を得るとする。得点を \(X\) とするとき、期待値 \(E(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)
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確率分布表は \(X=1,0\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{2}\)。 \(E(X) = 1\times\dfrac{1}{2}+0\times\dfrac{1}{2} = \dfrac{1}{2}\) \(E(X)=\dfrac{1}{2}\)
2
期待値の基本・さいころ

1個のさいころを1回投げるとき、出る目 \(X\) の期待値 \(E(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)
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\(X=1,2,3,4,5,6\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{6}\)。 \(E(X) = \dfrac{1+2+3+4+5+6}{6} = \dfrac{21}{6} = \dfrac{7}{2}\) \(E(X)=\dfrac{7}{2}\)
3
分散の基本(問2の続き)

問2の \(X\)(さいころの出る目)について、分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(V(X)=\)
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\(E(X)=\dfrac{7}{2}\)(問2より)。 \(E(X^2) = \dfrac{1^2+2^2+3^2+4^2+5^2+6^2}{6} = \dfrac{91}{6}\) \(V(X) = E(X^2)-\{E(X)\}^2 = \dfrac{91}{6}-\dfrac{49}{4} = \dfrac{182}{12}-\dfrac{147}{12} = \dfrac{35}{12}\) \(V(X)=\dfrac{35}{12}\)
4
確率分布表を作ってから計算

1個のさいころを1回投げ、偶数の目が出たら10点、奇数の目が出たら0点を得るとする。得点を \(X\) とするとき、期待値 \(E(X)\) と分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)  \(V(X)=\)
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偶数(2,4,6)が出る確率は \(\dfrac{3}{6}=\dfrac{1}{2}\)、奇数(1,3,5)が出る確率も \(\dfrac{1}{2}\)。よって \(X=10,0\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{2}\)。 \(E(X) = 10\times\dfrac{1}{2}+0\times\dfrac{1}{2} = 5\) \(E(X^2) = 100\times\dfrac{1}{2}+0\times\dfrac{1}{2} = 50\) \(V(X) = 50-5^2 = 50-25 = 25\) \(E(X)=5\)、\(V(X)=25\)
5
くじの期待値

10本中2本が当たり(賞金100円)、8本がはずれ(賞金0円)のくじがある。1本引いて当たった金額を \(X\) とするとき、期待値 \(E(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)
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\(X=100,0\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{2}{10},\dfrac{8}{10}\)。 \(E(X) = 100\times\dfrac{2}{10}+0\times\dfrac{8}{10} = 20\) \(E(X)=20\)(円)
6
くじの分散(問5の続き)

問5の \(X\)(くじの当たり金額)について、分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(V(X)=\)
解説を見る
\(E(X)=20\)(問5より)。 \(E(X^2) = 100^2\times\dfrac{2}{10}+0^2\times\dfrac{8}{10} = 10000\times0.2 = 2000\) \(V(X) = 2000-20^2 = 2000-400 = 1600\) \(V(X)=1600\)
7
確率の総和=1から未知定数を求める

確率変数 \(X\) の確率分布が下の表のように、定数 \(a\) を用いて表されている。\(a\) の値を求め、期待値 \(E(X)\) を求めよ。

\(X\) 0 1 2 計
\(P\) \(a\) \(2a\) \(3a\) 1
\(a=\) \(E(X)=\)
解説を見る
確率変数のとりうる値すべてに対応する確率の和は、必ず1になる。これは確率分布の基本的な性質である。 したがって \(a+2a+3a=1\) が成り立つ。 左辺を整理すると \(6a=1\) となるから、\(a=\dfrac{1}{6}\)。 このとき \(P(X=0)=\dfrac{1}{6}\)、\(P(X=1)=2a=\dfrac{1}{3}\)、\(P(X=2)=3a=\dfrac{1}{2}\) となり、いずれも \(0\) 以上\(1\) 以下で確率として矛盾しない。 期待値の定義 \(E(X)=\sum (\text{値}\times\text{確率})\) にあてはめると、 \(E(X) = 0\times\dfrac{1}{6}+1\times\dfrac{1}{3}+2\times\dfrac{1}{2} = 0+\dfrac{1}{3}+1 = \dfrac{4}{3}\) \(a=\dfrac{1}{6}\)、\(E(X)=\dfrac{4}{3}\)
標準(8〜13)
8
aX+b の期待値

1個のさいころを1回投げて出た目を \(X\) とする。\(Y=3X-2\) とするとき、期待値 \(E(Y)\) を求めよ。

\(E(Y)=\)
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\(E(X)=\dfrac{7}{2}\)。 \(E(Y) = E(3X-2) = 3E(X)-2 = 3\times\dfrac{7}{2}-2 = \dfrac{21}{2}-2 = \dfrac{17}{2}\) \(E(Y)=\dfrac{17}{2}\)
9
aX+b の分散(問8の続き)

問8の \(Y=3X-2\) について、分散 \(V(Y)\) を求めよ。

\(V(Y)=\)
解説を見る
\(V(X)=\dfrac{35}{12}\)。 \(V(Y) = V(3X-2) = 3^2V(X) = 9\times\dfrac{35}{12} = \dfrac{315}{12} = \dfrac{105}{4}\) \(V(Y)=\dfrac{105}{4}\)
10
独立な和の期待値

2個のさいころを同時に投げるとき、出た目の和 \(X+Y\) の期待値 \(E(X+Y)\) を求めよ。

\(E(X+Y)=\)
解説を見る
1個のさいころの期待値は \(E(X)=E(Y)=\dfrac{7}{2}\)。 \(E(X+Y) = E(X)+E(Y) = \dfrac{7}{2}+\dfrac{7}{2} = 7\) \(E(X+Y)=7\)
11
独立な和の分散(問10の続き)

問10の \(X,\ Y\)(2個のさいころの目、独立)について、分散 \(V(X+Y)\) を求めよ。

\(V(X+Y)=\)
解説を見る
\(V(X)=V(Y)=\dfrac{35}{12}\)。\(X,\ Y\) は独立なので \(V(X+Y) = V(X)+V(Y) = \dfrac{35}{12}+\dfrac{35}{12} = \dfrac{70}{12} = \dfrac{35}{6}\) \(V(X+Y)=\dfrac{35}{6}\)
12
与えられた分布表から計算

硬貨を3枚投げて表の出た枚数を \(X\) とする。\(X\) の確率分布は下の表の通りである。期待値 \(E(X)\) を求めよ。

\(X\) 0 1 2 3 計
\(P\) \(\frac{1}{8}\) \(\frac{3}{8}\) \(\frac{3}{8}\) \(\frac{1}{8}\) 1
\(E(X)=\)
解説を見る
\(E(X) = 0\times\dfrac{1}{8}+1\times\dfrac{3}{8}+2\times\dfrac{3}{8}+3\times\dfrac{1}{8} = \dfrac{0+3+6+3}{8} = \dfrac{12}{8} = \dfrac{3}{2}\) \(E(X)=\dfrac{3}{2}\)
13
与えられた分布表から計算(問12の続き)

問12の \(X\)(3枚の硬貨の表の枚数)について、分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(V(X)=\)
解説を見る
\(E(X)=\dfrac{3}{2}\)(問12より)。 \(E(X^2) = 0\times\dfrac{1}{8}+1\times\dfrac{3}{8}+4\times\dfrac{3}{8}+9\times\dfrac{1}{8} = \dfrac{0+3+12+9}{8} = \dfrac{24}{8} = 3\) \(V(X) = 3-\left(\dfrac{3}{2}\right)^2 = 3-\dfrac{9}{4} = \dfrac{3}{4}\) \(V(X)=\dfrac{3}{4}\)
挑戦(14〜19)
14
3通りの賞金があるくじ

1等(500円)が1本、2等(100円)が2本、はずれ(0円)が7本、計10本のくじがある。1本引いて当たった金額を \(X\) とするとき、期待値 \(E(X)\) と分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)  \(V(X)=\)
解説を見る
\(X=500,100,0\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{10},\dfrac{2}{10},\dfrac{7}{10}\)。 \(E(X) = 500\times\dfrac{1}{10}+100\times\dfrac{2}{10}+0\times\dfrac{7}{10} = 50+20 = 70\) \(E(X^2) = 500^2\times\dfrac{1}{10}+100^2\times\dfrac{2}{10} = 25000+2000 = 27000\) \(V(X) = 27000-70^2 = 27000-4900 = 22100\) \(E(X)=70\)(円)、\(V(X)=22100\)
15
係数が負のaX+b

1個のさいころを1回投げて出た目を \(X\) とする。\(Y=-2X+5\) とするとき、期待値 \(E(Y)\) と分散 \(V(Y)\) を求めよ。

\(E(Y)=\)  \(V(Y)=\)
解説を見る
\(E(X)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=\dfrac{35}{12}\)。 \(E(Y) = -2E(X)+5 = -2\times\dfrac{7}{2}+5 = -7+5 = -2\) \(V(Y) = (-2)^2V(X) = 4\times\dfrac{35}{12} = \dfrac{35}{3}\) (分散は係数を2乗するので符号は消える。負の係数でも \(V(Y)\) は正のまま) \(E(Y)=-2\)、\(V(Y)=\dfrac{35}{3}\)
16
独立な和とaS+bを組み合わせる

2個のさいころを同時に投げ、出た目の和を \(S=X+Y\)(\(X,\ Y\) は独立)とする。\(Z=2S-1\) とするとき、期待値 \(E(Z)\) と分散 \(V(Z)\) を求めよ。

\(E(Z)=\)  \(V(Z)=\)
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まず \(S\) の期待値・分散を求める(問10・問11と同じ)。 \(E(S) = E(X)+E(Y) = \dfrac{7}{2}+\dfrac{7}{2} = 7\) \(V(S) = V(X)+V(Y) = \dfrac{35}{12}+\dfrac{35}{12} = \dfrac{35}{6}\)(\(X,Y\)独立) 次に \(Z=2S-1\) に公式をあてはめる。 \(E(Z) = 2E(S)-1 = 2\times7-1 = 13\) \(V(Z) = 2^2V(S) = 4\times\dfrac{35}{6} = \dfrac{140}{6} = \dfrac{70}{3}\) \(E(Z)=13\)、\(V(Z)=\dfrac{70}{3}\)
17
同じ試行を2回繰り返す(独立な和)

硬貨を1枚投げて、表が出たら3点、裏が出たら\(-1\)点を得るとする。この試行を独立に2回行い、得点の合計を \(T\) とする。期待値 \(E(T)\) と分散 \(V(T)\) を求めよ。(まず1回分の得点 \(X\) について \(E(X),\ V(X)\) を求めてから考えよう)

\(E(T)=\)  \(V(T)=\)
解説を見る
1回分の得点を \(X\) とすると、\(X=3,-1\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{2}\)。 \(E(X) = 3\times\dfrac{1}{2}+(-1)\times\dfrac{1}{2} = 1\) \(E(X^2) = 9\times\dfrac{1}{2}+1\times\dfrac{1}{2} = 5\) \(V(X) = 5-1^2 = 4\) 2回の試行(それぞれの得点を \(X_1,\ X_2\) とする)は独立で、どちらも \(X\) と同じ分布に従う。 合計 \(T = X_1+X_2\)。 \(E(T) = E(X_1)+E(X_2) = 1+1 = 2\) \(V(T) = V(X_1)+V(X_2) = 4+4 = 8\)(独立なので分散はたし算できる) \(E(T)=2\)、\(V(T)=8\)
18
V(X−Y)の落とし穴(引き算にならない)

2個のさいころを同時に投げる。それぞれの出た目を \(X,\ Y\)(独立)とし、差を \(D=X-Y\) とする。期待値 \(E(D)\) と分散 \(V(D)\) を求めよ。

\(E(D)=\)  \(V(D)=\)
解説を見る
1個のさいころについて \(E(X)=E(Y)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=V(Y)=\dfrac{35}{12}\)(STEP2より)。 期待値 \(E(D) = E(X-Y) = E(X)-E(Y) = \dfrac{7}{2}-\dfrac{7}{2} = 0\) 分散(注意:ここが落とし穴) 「引き算だから分散も引く」と考えて \(V(D)=V(X)-V(Y)=0\) としてしまうミスが多いが、これは誤り。分散はつねに「散らばりの大きさ」を表す量で、負の値にはならない。\(X-Y\) を \(X+(-Y)\) と見て、\(aX+b\) の公式 \(V(aX+b)=a^2V(X)\) を \(-Y\) の部分にあてはめると \(V(-Y) = (-1)^2V(Y) = V(Y)\) つまり符号を反転しても分散は変わらない。よって \(X,\ Y\) が独立ならば \(V(D) = V(X-Y) = V(X)+V(-Y) = V(X)+V(Y) = \dfrac{35}{12}+\dfrac{35}{12} = \dfrac{70}{12} = \dfrac{35}{6}\) (検算)\(D=X-Y\) は \(-5\) から \(5\) までの値をとる。2個のさいころ36通りの出方を数えて分布表を作ると、\(D\) の分布は \(S=X+Y\)(問10・問11)とちょうど左右対称な形になり、実際に分散は \(S\) と同じ \(\dfrac{35}{6}\) になることが確かめられる。 \(E(D)=0\)、\(V(D)=\dfrac{35}{6}\)(差でも分散はたし算になる)
19
期待値と分散を使った有利不利の判断

くじAでは、当たり金額を表す確率変数 \(X\) が下の表のように分布し、くじBでは当たり金額を表す確率変数 \(Y\) が下の表のように分布する。\(E(X)\)、\(V(X)\)、\(E(Y)\)、\(V(Y)\) をそれぞれ求め、どちらのくじの方が賞金が安定しているといえるか答えよ。

くじA \(X\) 100 300 計
\(P\) \(\dfrac{1}{2}\) \(\dfrac{1}{2}\) 1
くじB \(Y\) 0 200 400 計
\(P\) \(\dfrac{1}{4}\) \(\dfrac{1}{2}\) \(\dfrac{1}{4}\) 1
\(E(X)=\) \(V(X)=\) \(E(Y)=\) \(V(Y)=\) 安定しているのは
解説を見る
まず、それぞれの期待値を求める。 くじAについて、\(E(X) = 100\times\dfrac{1}{2}+300\times\dfrac{1}{2} = 50+150 = 200\)。 くじBについて、\(E(Y) = 0\times\dfrac{1}{4}+200\times\dfrac{1}{2}+400\times\dfrac{1}{4} = 0+100+100 = 200\)。 \(E(X)=E(Y)=200\) となり、期待値だけを比べても差がつかない。そこで、賞金のばらつきの大きさを表す分散を求めて比較する。 分散は \(V(X)=E(X^2)-\{E(X)\}^2\) で計算できる。 くじAについて、\(E(X^2) = 100^2\times\dfrac{1}{2}+300^2\times\dfrac{1}{2} = 5000+45000 = 50000\) だから、 \(V(X) = 50000-200^2 = 50000-40000 = 10000\)。 くじBについて、\(E(Y^2) = 0^2\times\dfrac{1}{4}+200^2\times\dfrac{1}{2}+400^2\times\dfrac{1}{4} = 0+20000+40000 = 60000\) だから、 \(V(Y) = 60000-200^2 = 60000-40000 = 20000\)。 \(V(X)=10000 < V(Y)=20000\) より、くじAの方が当たり金額の散らばりが小さく、期待値付近の金額になりやすい。一方くじBは0円から400円まで広く散らばっており、大きく外れる可能性もある。期待値が等しい場合は、分散が小さい方が結果が安定していると判断できるから、賞金の安定を重視するならくじAを選ぶべきである。 \(E(X)=200\)、\(V(X)=10000\)、\(E(Y)=200\)、\(V(Y)=20000\)。分散が小さいくじAの方が賞金が安定している。
応用問題(プリント限定)

ここから先はPDF限定の腕試し。分布表を自分で作る問題や、公式を組み合わせて使う問題に挑戦しよう。

応1
分布表を自分で作る

硬貨を2枚投げて、表の出た枚数を \(X\) とする。確率分布表を自分で作り、期待値 \(E(X)\) と分散 \(V(X)\) を求めよ。

\(E(X)=\)  \(V(X)=\)
解説を見る
2枚の硬貨の出方は「表表」「表裏」「裏表」「裏裏」の4通りで、それぞれ確率 \(\dfrac{1}{4}\)。表の枚数 \(X\) はそれぞれ \(2,1,1,0\)。 同じ値をまとめると分布表は次の通り。 \(X=0\):裏裏の1通り → 確率 \(\dfrac{1}{4}\) \(X=1\):表裏・裏表の2通り → 確率 \(\dfrac{2}{4}=\dfrac{1}{2}\) \(X=2\):表表の1通り → 確率 \(\dfrac{1}{4}\) (確認:\(\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}=1\) OK) \(E(X) = 0\times\dfrac{1}{4}+1\times\dfrac{1}{2}+2\times\dfrac{1}{4} = 0+\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{2} = 1\) \(E(X^2) = 0\times\dfrac{1}{4}+1\times\dfrac{1}{2}+4\times\dfrac{1}{4} = \dfrac{1}{2}+1 = \dfrac{3}{2}\) \(V(X) = \dfrac{3}{2}-1^2 = \dfrac{1}{2}\) \(E(X)=1\)、\(V(X)=\dfrac{1}{2}\)
応2
独立な確率変数の和と積

2個のさいころを同時に投げる。それぞれの出た目を \(X,\ Y\)(独立)とするとき、和の期待値 \(E(X+Y)\) と、積の期待値 \(E(XY)\) をそれぞれ求めよ。

\(E(X+Y)=\)  \(E(XY)=\)
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\(E(X)=E(Y)=\dfrac{7}{2}\)。 和については、独立かどうかに関わらず常に成り立つ公式を使う。 \(E(X+Y) = E(X)+E(Y) = \dfrac{7}{2}+\dfrac{7}{2} = 7\) 積については、\(X,\ Y\) が独立なときだけ成り立つ公式 \(E(XY)=E(X)E(Y)\) を使う。 \(E(XY) = E(X)E(Y) = \dfrac{7}{2}\times\dfrac{7}{2} = \dfrac{49}{4}\) \(E(X+Y)=7\)、\(E(XY)=\dfrac{49}{4}\)(\(=12.25\))
応3
aX+bYの形(分散の性質の活用)

2個のさいころを同時に投げ、出た目をそれぞれ \(X,\ Y\)(独立)とする。\(Z=3X-2Y+4\) とするとき、期待値 \(E(Z)\) と分散 \(V(Z)\) を求めよ。

\(E(Z)=\)  \(V(Z)=\)
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\(E(X)=E(Y)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=V(Y)=\dfrac{35}{12}\)。 期待値は独立でなくても常に「係数をかけて足す」だけでよい。 \(E(Z) = 3E(X)-2E(Y)+4 = 3\times\dfrac{7}{2}-2\times\dfrac{7}{2}+4 = \dfrac{21}{2}-7+4 = \dfrac{21}{2}-3 = \dfrac{15}{2}\) 分散は「係数を2乗してからたす」。定数 \(+4\) は分散に影響しない。\(X,\ Y\) が独立なので、掛け算部分(クロス項)は現れず単純にたし算できる。 \(V(Z) = 3^2V(X)+(-2)^2V(Y) = 9\times\dfrac{35}{12}+4\times\dfrac{35}{12} = (9+4)\times\dfrac{35}{12} = 13\times\dfrac{35}{12} = \dfrac{455}{12}\) \(E(Z)=\dfrac{15}{2}\)、\(V(Z)=\dfrac{455}{12}\)
応4
くじを独立に2回引く(分散の性質の活用)

1等(200円)が1本、2等(50円)が3本、はずれ(0円)が6本、計10本のくじがある。1本引いて当たった金額を \(X\) とする。まず1回分の期待値 \(E(X)\) と分散 \(V(X)\) を求めよ。さらに、この抽選を独立に2回行うときの合計金額を \(T\) とし、\(E(T)\)、\(V(T)\) を求めよ。

\(E(X)=\)  \(V(X)=\)
\(E(T)=\)  \(V(T)=\)
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\(X=200,50,0\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{10},\dfrac{3}{10},\dfrac{6}{10}\)。 \(E(X) = 200\times\dfrac{1}{10}+50\times\dfrac{3}{10}+0\times\dfrac{6}{10} = 20+15 = 35\) \(E(X^2) = 200^2\times\dfrac{1}{10}+50^2\times\dfrac{3}{10} = 4000+750 = 4750\) \(V(X) = 4750-35^2 = 4750-1225 = 3525\) 2回の抽選(それぞれの当たり金額を \(X_1,\ X_2\) とする)は独立で、どちらも \(X\) と同じ分布に従う。合計は \(T=X_1+X_2\)。 \(E(T) = E(X_1)+E(X_2) = 35+35 = 70\) \(V(T) = V(X_1)+V(X_2) = 3525+3525 = 7050\)(独立なので分散はたし算できる) 1回分:\(E(X)=35\)、\(V(X)=3525\) / 2回の合計:\(E(T)=70\)、\(V(T)=7050\)
応5
逆算:条件からa,bを決める(分散の性質の活用)

1個のさいころを1回投げて出た目を \(X\) とする。\(Y=aX+b\)(\(a>0\))とするとき、\(E(Y)=10\)、\(V(Y)=\dfrac{35}{3}\) となるように \(a,\ b\) の値を定めよ。

\(a=\)  \(b=\)
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\(E(X)=\dfrac{7}{2}\)、\(V(X)=\dfrac{35}{12}\)(STEP2より)。 分散の式から先に \(a\) を決める。 \(V(Y) = a^2V(X)\) より \(\dfrac{35}{3} = a^2\times\dfrac{35}{12}\) \(a^2 = \dfrac{35}{3}\div\dfrac{35}{12} = \dfrac{35}{3}\times\dfrac{12}{35} = 4\) \(a>0\) より \(a=2\)。 次に期待値の式から \(b\) を決める。 \(E(Y) = aE(X)+b\) より \(10 = 2\times\dfrac{7}{2}+b = 7+b\) \(b = 3\) \(a=2\)、\(b=3\)
記述チャレンジ

答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。

記1

確率変数 \(X,\ Y\) について、期待値の公式 \(E(X+Y)=E(X)+E(Y)\) は \(X,\ Y\) が独立でなくても常に成り立つのに対し、分散の公式 \(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) は \(X,\ Y\) が独立でないと成り立たない。この違いが生じる理由を説明せよ。

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期待値の公式は「値の合計の平均は、それぞれの平均の合計にひとしい」という性質であり、これは単に「たし算してから平均をとる」のと「先に平均をとってからたし算する」のが同じ結果になるという、平均そのものの線形性から来ている。この性質は \(X\) と \(Y\) が互いにどう影響し合っているかにはまったく関係なく、いつでも成り立つ。 一方、分散は「\(X+Y\) というひとつの確率変数がどれだけ散らばっているか」を表す量である。\(X\) と \(Y\) が独立でない(互いに関係し合っている)場合、\(X\) が大きい値をとったときに \(Y\) も一緒に大きくなりやすい、といった「かたよった動き方」が起こりうる。この「一緒に動く度合い」の分だけ、\(X+Y\) 全体の散らばりは \(V(X)\) と \(V(Y)\) を単純にたし合わせた値からずれてしまう。 これに対して \(X,\ Y\) が独立であれば、一方の値がどうであっても他方の出方には影響を与えないので、そのような「かたよった動き方」自体が存在しない。だからこそ独立なときに限り、余分なずれが生じることなく \(V(X+Y)=V(X)+V(Y)\) という単純な足し算がそのまま成り立つ。 期待値の公式は平均の線形性のみによるので独立性を必要としないが、分散は「XとYが一緒に動く度合い」の影響を受けるため、その影響が存在しない独立なときに限って単純な足し算が成り立つ。
記2

1本引くと当たりの確率が \(\dfrac{1}{5}\) で300円もらえ、はずれると50円を支払う(\(-50\)円を得る)くじがある。この抽選を独立に3回行うときの合計金額を \(T\) とする。期待値 \(E(T)\) と分散 \(V(T)\) を、1回分の得点についての計算から順を追って求めよ。

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まず1回分の得点を \(X\) とすると、\(X=300,-50\) がそれぞれ確率 \(\dfrac{1}{5},\dfrac{4}{5}\) である。 1回分の期待値 \(E(X) = 300\times\dfrac{1}{5}+(-50)\times\dfrac{4}{5} = 60-40 = 20\) 1回分の分散(計算のコツ \(E(X^2)-\{E(X)\}^2\) を使う) \(E(X^2) = 300^2\times\dfrac{1}{5}+(-50)^2\times\dfrac{4}{5} = 90000\times\dfrac{1}{5}+2500\times\dfrac{4}{5} = 18000+2000 = 20000\) \(V(X) = E(X^2)-\{E(X)\}^2 = 20000-20^2 = 20000-400 = 19600\) ここで、3回の抽選をそれぞれ \(X_1,\ X_2,\ X_3\) とすると、これらは独立で、どれも \(X\) と同じ分布に従う。合計は \(T=X_1+X_2+X_3\)。 期待値は独立かどうかに関わらず常に成り立つ公式を使う。 \(E(T) = E(X_1)+E(X_2)+E(X_3) = 20+20+20 = 60\) 分散は、\(X_1,\ X_2,\ X_3\) が独立なので単純にたし算できる。 \(V(T) = V(X_1)+V(X_2)+V(X_3) = 19600+19600+19600 = 58800\) \(E(T)=60\)(円)、\(V(T)=58800\)