STEP 1

不等式の性質

方程式は「=」で両辺の値が等しいことを表すが、不等式は \(>,\ <,\ \ge,\ \le\) を使って「大小関係」を表す式だ。移項のルールは方程式とまったく同じだが、両辺に同じ数をかけたり割ったりするときだけ、注意が必要になる。

性質1(たし算・ひき算) \(a<b\) ならば、どんな数 \(c\) を足しても引いても大小関係は変わらない:\(a+c<b+c\)、\(a-c<b-c\)
性質2(正の数をかける・割る) \(a<b\)、\(c>0\) ならば \(ac<bc\)、\(\dfrac{a}{c}<\dfrac{b}{c}\)(向きはそのまま)
性質3(負の数をかける・割る) \(a<b\)、\(c<0\) ならば \(ac>bc\)、\(\dfrac{a}{c}>\dfrac{b}{c}\)(向きが逆になる
最重要ポイント 不等式の両辺に負の数をかけたり割ったりするときだけ、不等号の向きが逆転する(\(>\)は\(<\)に、\(\ge\)は\(\le\)になる)。たし算・ひき算や、正の数をかける・割るときは向きはそのまま。この1点を忘れると1次不等式の問題はほぼ確実に間違えるので、計算のたびに「今、負の数をかけていないか」を確認する習慣をつけよう。
STEP 2

1次不等式の解き方

\(2x+1>7\) のように、\(x\) の1次式で表された不等式を「1次不等式」という。解き方は1次方程式とほぼ同じ手順で進められる。

手順1 文字 \(x\) を含む項を左辺に、数だけの項を右辺に移項する
手順2 両辺を整理して \(ax>b\)(や \(<,\ \ge,\ \le\))の形にする
手順3 両辺を \(x\) の係数 \(a\) で割る。\(a\) が負の数のときは不等号の向きが逆になる

例題1 \(3x-5>1\) を解け。

解答を見る
\(-5\) を右辺に移項すると \(3x>1+5\)、つまり \(3x>6\)。 両辺を3(正の数)で割る。向きはそのまま。 \(x>2\)

例題2 \(5-2x>1\) を解け。(負の数で割るときに注意)

解答を見る
\(5\) を右辺に移項すると \(-2x>1-5\)、つまり \(-2x>-4\)。 両辺を \(-2\)(負の数)で割るので、不等号の向きが逆になる。 \(x<2\)
STEP 3

連立不等式(共通範囲を求める)

2つ以上の不等式を同時に満たす \(x\) の範囲を求める問題を「連立不等式」という。それぞれの不等式を別々に解いてから、両方を同時に満たす部分(共通範囲)を数直線で見つけるのがコツだ。

向かい合う型
\(x>\)◯ と \(x<\)△(◯\(<\)△)
→ 共通範囲は ◯\(<x<\)△ のような有限の範囲になる
同じ向き型
\(x>\)◯ と \(x>\)△
→ 数が大きい方(条件がきびしい方)だけが残る
離れる型
\(x>\)◯ と \(x<\)△(◯\(\ge\)△)
→ 重なる場所がない=解なし

例題3 次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}x+3>0 \ \cdots\text{(1)}\\ 2x-5\le3 \ \cdots\text{(2)}\end{cases}\)

解答を見る
(1)を解く:\(x+3>0\) より \(x>-3\) (2)を解く:\(2x-5\le3\) より \(2x\le8\)、\(x\le4\) 数直線上で、(1)の範囲と(2)の範囲が重なっている部分(共通範囲)を読み取る。\(x>-3\) と \(x\le4\) が同時に成り立つのは、\(-3\) より大きく \(4\) 以下の部分。 \(-3<x\le4\)

例題4 次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}2x+3>11 \ \cdots\text{(1)}\\ x+7<9 \ \cdots\text{(2)}\end{cases}\)

解答を見る
(1)を解く:\(2x+3>11\) より \(2x>8\)、\(x>4\) (2)を解く:\(x+7<9\) より \(x<2\) 数直線に2つの範囲をかいてみると、\(x>4\) の帯と \(x<2\) の帯はどこにも重ならない(4より大きくて2より小さい数は存在しない)。 解なし
STEP 4

文章題への応用

「合わせて〇個」「代金は〇円以内」のような条件を1次不等式に翻訳できれば、値段や個数の問題も同じ手順で解ける。文字でおいた量が整数(個数など)のときは、最後に整数の条件を確認するのを忘れないこと。

例題5 1個120円のりんごと1個80円のみかんを合わせて15個買い、代金の合計を1500円以内にしたい。りんごをできるだけ多く買うとき、りんごは最大何個まで買えるか。

解答を見る
りんごの個数を \(x\) 個とする(\(x\) は \(0\) 以上 \(15\) 以下の整数)。合わせて15個なので、みかんは \((15-x)\) 個。 代金の合計は \(120x+80(15-x)\) 円。これが1500円以内なので \(120x+80(15-x)\le1500\) \(120x+1200-80x\le1500\) \(40x\le300\) \(x\le7.5\) \(x\) は個数なので整数。\(x\le7.5\) を満たす整数のうち最大のものは \(x=7\)。(\(x=8\) では代金が \(120\times8+80\times7=1520\) 円となり1500円を超えてしまう。) りんごは最大7個まで買える
練習問題(全18問)

解が \(x>3\) の形になる問題は「x>3」のように入力しよう(\(\le\) は「x<=3」、\(\ge\) は「x>=3」のように <= や >= を使ってよい)。連立不等式は下の入力欄が2つに分かれている問題があるので、ア・イそれぞれに数だけを入力しよう。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜7)
1
基本の1次不等式

\(2x+5>11\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
\(5\) を移項して \(2x>11-5\)、つまり \(2x>6\)。両辺を2(正の数)で割る。 \(x>3\)
2
≤を含む

\(3x-4\le8\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
\(-4\) を移項して \(3x\le8+4\)、つまり \(3x\le12\)。両辺を3(正の数)で割る。 \(x\le4\)
3
負の係数(向きが変わる)

\(-x+2>5\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
\(2\) を移項して \(-x>5-2\)、つまり \(-x>3\)。両辺を \(-1\) で割るので向きが逆になる。 \(x<-3\)
4
負の係数・≥を含む

\(-3x-6\ge0\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
\(-6\) を移項して \(-3x\ge6\)。両辺を \(-3\) で割るので向きが逆になる。 \(x\le-2\)
5
かっこを展開してから解く

\(4(x-1)<2x+6\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
左辺を展開すると \(4x-4<2x+6\)。\(2x\) と \(-4\) を移項して \(4x-2x<6+4\)、つまり \(2x<10\)。両辺を2で割る。 \(x<5\)
6
分数を含む(両辺を整数倍)

\(\dfrac{x}{2}-1\ge\dfrac{x-3}{3}\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
両辺に分母の最小公倍数6をかけて分数を消す(6は正の数なので向きはそのまま)。 \(6\left(\dfrac{x}{2}-1\right)\ge6\cdot\dfrac{x-3}{3}\) \(3x-6\ge2(x-3)\) \(3x-6\ge2x-6\) \(x\ge0\) \(x\ge0\)
7
不等式を満たす最小の整数

\(2x-7>-3\) を満たす \(x\) のうち、最小の整数を求めよ。

最小の整数 
解説を見る
\(-7\) を移項して \(2x>-3+7\)、つまり \(2x>4\)。両辺を2で割ると \(x>2\)。 \(2\) より大きい整数のうち、最小のものは \(3\)。 最小の整数は \(3\)
標準(8〜14) ※連立不等式は入力欄が2つに分かれている
8

次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}x-1\ge2\\ 2x+3\le13\end{cases}\)  解は \(\text{ア}\le x\le\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
1つ目の式:\(x-1\ge2\) より \(x\ge3\) 2つ目の式:\(2x+3\le13\) より \(2x\le10\)、\(x\le5\) 両方を同時に満たすのは \(3\) 以上 \(5\) 以下の範囲。 \(3\le x\le5\)
9

次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}x+6>1\\ 5x-3\le2x+15\end{cases}\)  解は \(\text{ア}<x\le\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
1つ目の式:\(x+6>1\) より \(x>-5\) 2つ目の式:\(5x-3\le2x+15\) より \(3x\le18\)、\(x\le6\) 両方を同時に満たすのは \(-5\) より大きく \(6\) 以下の範囲。 \(-5<x\le6\)
10

次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}x-1\ge-4\\ 3x+2<11\end{cases}\)  解は \(\text{ア}\le x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
1つ目の式:\(x-1\ge-4\) より \(x\ge-3\) 2つ目の式:\(3x+2<11\) より \(3x<9\)、\(x<3\) 両方を同時に満たすのは \(-3\) 以上 \(3\) 未満の範囲。 \(-3\le x<3\)
11

\(\dfrac{2x-1}{3}>\dfrac{x+4}{2}\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
両辺に6をかけて分数を消す。 \(6\cdot\dfrac{2x-1}{3}>6\cdot\dfrac{x+4}{2}\) \(2(2x-1)>3(x+4)\) \(4x-2>3x+12\) \(x>14\) \(x>14\)
12

\(-\dfrac{1}{2}x+3<x-3\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
両辺に2をかけて分数を消す。 \(-x+6<2x-6\) \(-3x<-12\) 両辺を \(-3\) で割るので向きが逆になる。 \(x>4\)
13

\(3(2x-1)\le5x+4\) を満たす \(x\) のうち、最大の整数を求めよ。

最大の整数 
解説を見る
左辺を展開すると \(6x-3\le5x+4\)。\(5x\) と \(-3\) を移項して \(x\le7\)。 \(7\) 以下の整数のうち、最大のものは \(7\) 自身。 最大の整数は \(7\)
14

次の連立不等式を解け。\(\begin{cases}2x+7\ge-1\\ -3x+5\ge-13\end{cases}\)  解は \(\text{ア}\le x\le\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
1つ目の式:\(2x+7\ge-1\) より \(2x\ge-8\)、\(x\ge-4\) 2つ目の式:\(-3x+5\ge-13\) より \(-3x\ge-18\)。両辺を \(-3\) で割るので向きが逆になり \(x\le6\)。 両方を同時に満たすのは \(-4\) 以上 \(6\) 以下の範囲。 \(-4\le x\le6\)
挑戦(15〜18)
15
連立不等式・解なしパターン

次の連立不等式を解け。解がない場合は「解なし」と入力すること。\(\begin{cases}3x-5>13\\ -2x-1>-5\end{cases}\)

解 
解説を見る
1つ目の式:\(3x-5>13\) より \(3x>18\)、\(x>6\) 2つ目の式:\(-2x-1>-5\) より \(-2x>-4\)。両辺を \(-2\) で割るので向きが逆になり \(x<2\)。 \(x>6\) と \(x<2\) を同時に満たす \(x\) はない(6より大きくて2より小さい数は存在しない)。 解なし
16
分数を含む(さらに複雑)

\(\dfrac{3x+1}{4}-\dfrac{x-2}{2}\ge1\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
両辺に4をかけて分数を消す。 \(4\left(\dfrac{3x+1}{4}-\dfrac{x-2}{2}\right)\ge4\cdot1\) \((3x+1)-2(x-2)\ge4\) \(3x+1-2x+4\ge4\) \(x+5\ge4\) \(x\ge-1\) \(x\ge-1\)
17
かっこを展開して整理

\(2(x-3)-5(x-1)\le-4\) を解け。

\(x\) の範囲 
解説を見る
左辺を展開すると \(2x-6-5x+5\le-4\)、整理して \(-3x-1\le-4\)。 \(-3x\le-3\) 両辺を \(-3\) で割るので向きが逆になる。 \(x\ge1\)
18
文章題ふうの抽象的な条件

ある数 \(x\) の3倍から2を引いた数は、\(x\) に5を加えた数の2倍より小さい。このような \(x\) の範囲を求めよ。

\(x\) の範囲 
解説を見る
「\(x\) の3倍から2を引いた数」は \(3x-2\)。「\(x\) に5を加えた数の2倍」は \(2(x+5)\)。前者が後者より小さいので \(3x-2<2(x+5)\) \(3x-2<2x+10\) \(x<12\) \(x<12\)
応用問題(プリント限定)

ここから先はPDF限定の腕試し。入試の基礎レベルに挑戦しよう。

応1
整数解の個数から定数の範囲を決める

1次不等式 \(x<a\)(\(a\) は定数)を満たす正の整数がちょうど5個であるとき、定数 \(a\) の値の範囲を求めよ。解は \(\text{ア}<a\le\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
\(x<a\) を満たす正の整数を、小さい方から並べると \(1,\ 2,\ 3,\ \ldots\) となる。これがちょうど5個、つまり \(\{1,2,3,4,5\}\) だけになるようにしたい。 ・\(5\) は解に含まれてほしいので、\(5<a\) が必要(\(x<a\) は「未満」なので、5が入るには境界 \(a\) が5より大きくなければならない)。 ・\(6\) は解に含まれてはいけないので、\(6\ge a\)、つまり \(a\le6\) が必要(\(a\) が6より大きいと6も解に入ってしまう)。 この2つを合わせると \(5<a\le6\)。(例えば \(a=6\) のとき \(x<6\) の正の整数解は \(1,2,3,4,5\) のちょうど5個で条件を満たす。) \(5<a\le6\)
応2
文字係数 ax>b の場合分け

\(a\) を定数とする。1次不等式 \((a-2)x>3\) を \(x\) について解け。

解説を見る
\(x\) の係数 \(a-2\) の符号によって、割り算をしたときに不等号の向きが変わるかどうかが決まる。3つの場合に分けて考える。 (i) \(a-2>0\)(\(a>2\))のとき 係数が正の数なので、両辺を \(a-2\) で割っても向きはそのまま。 \(x>\dfrac{3}{a-2}\) (ii) \(a-2<0\)(\(a<2\))のとき 係数が負の数なので、両辺を \(a-2\) で割ると向きが逆になる。 \(x<\dfrac{3}{a-2}\) (iii) \(a-2=0\)(\(a=2\))のとき このとき与式は \(0\cdot x>3\)、つまり \(0>3\) となる。これは \(x\) にどんな値を入れても成り立たない(常に偽)。よって解はない。 \(a>2\) のとき \(x>\dfrac{3}{a-2}\)、\(a<2\) のとき \(x<\dfrac{3}{a-2}\)、\(a=2\) のとき解なし
応3
文章題:仕入れ個数の条件

1個150円のたい焼きと1個100円のたこ焼きを合わせて20個仕入れ、仕入れ総額を2400円以下にしたい。また、たい焼きは最低でも6個は仕入れたい。たい焼きは最大何個仕入れられるか。

たい焼き 
解説を見る
たい焼きの個数を \(x\) 個とする(\(x\) は整数、合わせて20個なのでたこ焼きは \((20-x)\) 個)。 仕入れ総額は \(150x+100(20-x)\) 円で、これが2400円以下。 \(150x+100(20-x)\le2400\) \(150x+2000-100x\le2400\) \(50x\le400\) \(x\le8\) さらに「たい焼きは最低6個」という条件から \(x\ge6\)。合わせて \(6\le x\le8\)。 この範囲でたい焼きを最大にしたいので \(x=8\)。(このとき代金は \(150\times8+100\times12=2400\) 円で、ちょうど2400円以内におさまる。) たい焼きは最大8個仕入れられる
応4
文章題:連立不等式(範囲で答える)

1個300円の部品Aと1個200円の部品Bを合わせて30個仕入れる。仕入れ総額を7000円以上8000円以下に抑えたいとき、部品Aの個数として考えられる範囲を求めよ。解は \(\text{ア}\le x\le\text{イ}\) の形になる(\(x\) は部品Aの個数)。

ア=  イ=
解説を見る
部品Aの個数を \(x\) 個とすると、部品Bは \((30-x)\) 個。 仕入れ総額は \(300x+200(30-x)=300x+6000-200x=100x+6000\)(円)。 これが7000円以上8000円以下なので \(7000\le100x+6000\le8000\) 各辺から6000を引くと \(1000\le100x\le2000\) 各辺を100で割ると(正の数なので向きはそのまま) \(10\le x\le20\) \(10\le x\le20\)
応5
文章題:速さと時間

家から駅までの道のりは3600mある。分速 \(x\) mで歩いて、この道のりを30分以内で歩きたい。\(x\) の満たす範囲を求めよ(ただし \(x>0\))。

\(x\) の範囲 
解説を見る
分速 \(x\) mで3600m歩くのにかかる時間は \(\dfrac{3600}{x}\) 分。これが30分以内なので \(\dfrac{3600}{x}\le30\) \(x>0\) なので、両辺に \(x\)(正の数)をかけても向きはそのまま。 \(3600\le30x\) 両辺を30(正の数)で割る。 \(120\le x\) \(x\ge120\)