STEP 1

絶対値の定義:数直線上の距離

\(|x|\) は、数直線上で原点(\(0\))から \(x\) までの距離を表す数だ。距離だから、符号は関係ない。プラスの数もマイナスの数も、原点から同じだけ離れていれば同じ絶対値になる。

絶対値の定義
\(x\ge0\) のとき \(|x|=x\)(そのまま)
\(x<0\) のとき \(|x|=-x\)(符号を反転)
どちらの場合も、結果は \(0\) 以上になる。

例題1 \(|9|\)、\(|-9|\)、\(|0|\) の値をそれぞれ求めよ。

解答を見る
\(9\) は \(0\) 以上なので \(|9|=9\)。 \(-9\) は \(0\) 未満なので、符号を反転して \(|-9|=-(-9)=9\)。 \(0\) は定義よりそのまま \(|0|=0\)。 \(|9|=9\)、\(|-9|=9\)、\(|0|=0\)
覚えておきたい性質 \(|a|\ge0\)(絶対値は必ず \(0\) 以上)/\(|a|=0\) となるのは \(a=0\) のときだけ/\(|-a|=|a|\)(符号を変えても絶対値は同じ)。この3つは今後ずっと使う基本性質だ。
STEP 2

絶対値の基本3パターン:\(|x|=a\)・\(|x|<a\)・\(|x|>a\)

絶対値を含む方程式・不等式には、次の3つの基本パターンがある(\(a\) は正の数とする)。「原点からの距離が\(a\)」という読み方をすれば、なぜこの形になるかが見えてくる。

型1 \(|x|=a\)(\(a>0\))→ \(x=a\) または \(x=-a\)(原点から距離 \(a\) にある2点)
型2 \(|x|<a\)(\(a>0\))→ \(-a<x<a\)(原点からの距離が \(a\) 未満の範囲)
型3 \(|x|>a\)(\(a>0\))→ \(x<-a\) または \(a<x\)(原点からの距離が \(a\) より大きい範囲)

例題2 \(|x|=5\) を解け。

解答を見る
原点からの距離が \(5\) になる点は、\(5\) と \(-5\) の2つ。 \(x=5,\ -5\)

例題3 \(|x|<4\) を解け。

解答を見る
原点からの距離が \(4\) 未満になる範囲なので、\(-4\) から \(4\) の間(両端はふくまない)。 \(-4<x<4\)

例題4 \(|x|>2\) を解け。

解答を見る
原点からの距離が \(2\) より大きくなる範囲なので、\(-2\) より左、または \(2\) より右。 \(x<-2\) または \(2<x\)
注意:\(a\) が \(0\) 以下のとき \(|x|=a\)(\(a<0\))は解なし(絶対値が負の数になることはない)。\(|x|<a\)(\(a\le0\))も同じ理由で解なし。逆に \(|x|>a\)(\(a\le0\))はほとんどの \(x\) で成り立つ(\(a=0\) のときは \(x\ne0\) という意味になる)。
STEP 3

\(|x-a|\) 型:「\(a\) からの距離」で読む

\(|x-a|\) は、数直線上で点 \(a\) から点 \(x\) までの距離を表す。STEP 2 は「原点(\(0\))からの距離」だったが、それを一般の点 \(a\) からの距離に広げたのがこの型だ。

\(|x-a|=b\)(\(b>0\))→ \(x-a=b\) または \(x-a=-b\) → \(x=a+b\) または \(x=a-b\)(点 \(a\) から距離 \(b\) の2点)
\(|x-a|<b\)(\(b>0\))→ \(a-b<x<a+b\)(点 \(a\) からの距離が \(b\) 未満の範囲)
\(|x-a|>b\)(\(b>0\))→ \(x<a-b\) または \(a+b<x\)(点 \(a\) からの距離が \(b\) より大きい範囲)

例題5 \(|x-2|=5\) を解け。

解答を見る
\(|x-2|=5\) は「点2から距離5の点」を求める式。 \(x-2=5\) より \(x=7\)、または \(x-2=-5\) より \(x=-3\)。 \(x=7,\ -3\)

例題6 \(|x-3|<4\) を解け。

解答を見る
\(|x-3|<4\) は「点3からの距離が4未満」の範囲。 \(-4<x-3<4\) の各辺に \(3\) を足すと \(-4+3<x<4+3\)。 \(-1<x<7\)

例題7 \(|2x-1|=7\) を解け。(絶対値の中がxの1次式で、係数が1でない場合)

解答を見る
中の式が \(2x-1\) のように \(x\) の1次式でも、考え方は同じ。中身がまるごと \(7\) になるか、\(-7\) になるかの2通り。 \(2x-1=7\) より \(2x=8\)、\(x=4\)。 \(2x-1=-7\) より \(2x=-6\)、\(x=-3\)。 \(x=4,\ -3\)
STEP 4

場合分けによる解法:\(|x-1|=2x\) の型

ここまでの型は、絶対値の中身が \(x\) の式でも、右辺(イコールの反対側)は定数だった。ところが右辺にも \(x\) が入っていると、単純に「中身\(=\)右辺」「中身\(=-\)右辺」の2通りに分けるだけでは足りない。絶対値の中身の符号によって場合分けし、出てきた解が前提条件を満たすかを必ず確認する必要がある。

手順1 絶対値の中身が \(0\) になる境界の値を求め、その前後で場合分けする
↓
手順2 各場合について絶対値記号を外す(中身が \(0\) 以上ならそのまま、\(0\) 未満なら符号を反転させる)
↓
手順3 できた方程式・不等式を解く
↓
手順4 求まった解が、その場合の前提条件(例:\(x\ge1\) など)を満たしているか必ず確認する
↓
手順5 前提条件を満たす解だけを、最終的な答えとして採用する
最重要ポイント 絶対値の中身に \(x\) が混ざっている問題では、手順4の前提条件チェックを絶対に省略しないこと。前提条件を確認せずに答えを出すと、実は成り立たない値を解に含めてしまうミスが起こる。

例題8 \(|x-1|=2x\) を解け。

解答を見る
絶対値の中身 \(x-1\) が \(0\) になるのは \(x=1\) のとき。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge1\) のとき(中身 \(x-1\ge0\) なので、そのまま外せる) \(x-1=2x\) \(-1=x\) \(x=-1\) これは前提条件 \(x\ge1\) を満たさない(\(-1\) は \(1\) 以上ではない)。よって不適。 (ii) \(x<1\) のとき(中身 \(x-1<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(x-1)=2x\) \(-x+1=2x\) \(1=3x\) \(x=\dfrac{1}{3}\) これは前提条件 \(x<1\) を満たす(\(\dfrac{1}{3}\) は \(1\) より小さい)。よって適。 (i)は不適、(ii)は適なので、解は(ii)の \(x=\dfrac{1}{3}\) のみ。 \(x=\dfrac{1}{3}\)

例題9 \(|2x+3|=x+6\) を解け。

解答を見る
絶対値の中身 \(2x+3\) が \(0\) になるのは \(2x+3=0\)、つまり \(x=-\dfrac{3}{2}\) のとき。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge-\dfrac{3}{2}\) のとき(中身 \(2x+3\ge0\) なので、そのまま外せる) \(2x+3=x+6\) \(x=3\) これは前提条件 \(x\ge-\dfrac{3}{2}\) を満たす(\(3\) は \(-\dfrac{3}{2}\) 以上)。よって適。 (ii) \(x<-\dfrac{3}{2}\) のとき(中身 \(2x+3<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(2x+3)=x+6\) \(-2x-3=x+6\) \(-3x=9\) \(x=-3\) これは前提条件 \(x<-\dfrac{3}{2}\) を満たす(\(-3\) は \(-\dfrac{3}{2}\) より小さい)。よって適。 (i)、(ii)ともに適なので、今回は解が2つとも残る(前提条件を満たせば、複数の場合の解がどちらも答えになってよい)。 \(x=3,\ -3\)
練習問題(全23問)

答えを入力して「採点」を押すと○×が出るぞ。方程式で解が2つあるときは「3,-3」のようにコンマ区切りで入力しよう。
わからないときは「解説を見る」で解き方を確認しよう。

基本(1〜7)
1
|x|=aの基本形

\(|x|=3\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
原点からの距離が \(3\) になる点は、\(3\) と \(-3\)。 \(x=3,\ -3\)
2
特殊な形(解が1つ)

\(|x|=0\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
絶対値が \(0\) になるのは、原点からの距離が \(0\)、つまり原点そのものにいるときだけ。 \(x=0\)
3
解なしのパターン

\(|x|=-4\) を解け。解がない場合は「解なし」と入力すること。

解 
解説を見る
絶対値は \(0\) 以上の値にしかならない。右辺の \(-4\) は負の数なので、これに等しくなる \(x\) は存在しない。 解なし
4
|x|<aの基本形

\(|x|<3\) を解け。解は \(-\text{ア}<x<\text{ア}\) の形になる。アの値を求めよ。

ア=
解説を見る
原点からの距離が \(3\) 未満になる範囲は、\(-3\) と \(3\) の間。 \(-3<x<3\)
5
|x|>aの基本形(等号つき)

\(|x|\ge5\) を解け。解は \(x\le-\text{ア}\) または \(\text{ア}\le x\) の形になる。アの値を求めよ。

ア=
解説を見る
原点からの距離が \(5\) 以上になる範囲は、\(-5\) 以下、または \(5\) 以上。 \(x\le-5\) または \(5\le x\)
6
数直線読み取り

次の数直線は、方程式 \(|x|=a\) の解を表している。\(a\) の値を求めよ。

\(a=\)
解説を見る
数直線上の解は \(-6\) と \(6\)。これは原点からの距離が \(6\) の点を表しているので、\(a=6\)。 \(a=6\)
7
|x-a|型への導入

\(|x-3|=7\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
\(|x-3|=7\) は「点3から距離7の点」を求める式。 \(x-3=7\) より \(x=10\)、または \(x-3=-7\) より \(x=-4\)。 \(x=10,\ -4\)
標準(8〜14) ※場合分けの問題も含む
8

\(|x-4|<6\) を解け。解は \(\text{ア}<x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
\(|x-4|<6\) より \(-6<x-4<6\)。各辺に \(4\) を足すと \(-6+4<x<6+4\)。 \(-2<x<10\)
9

\(|x-2|>3\) を解け。解は \(x<\text{ア}\) または \(\text{イ}<x\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
\(|x-2|>3\) は「点2からの距離が3より大きい」範囲。 \(x-2<-3\) より \(x<-1\)、または \(x-2>3\) より \(x>5\)。 \(x<-1\) または \(5<x\)
10
係数がある場合

\(|3x-6|=12\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
中身がまるごと \(12\) になるか、\(-12\) になるかの2通り。 \(3x-6=12\) より \(3x=18\)、\(x=6\)。 \(3x-6=-12\) より \(3x=-6\)、\(x=-2\)。 \(x=6,\ -2\)
11

\(|2x+1|<7\) を解け。解は \(\text{ア}<x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
\(|2x+1|<7\) より \(-7<2x+1<7\)。 各辺から \(1\) を引くと \(-8<2x<6\)。 各辺を \(2\) で割ると \(-4<x<3\)。 \(-4<x<3\)
12
数直線読み取り(|x-a|<bの形)

次の数直線は、不等式 \(|x-a|<b\) の解を表している。\(a\)、\(b\) の値を求めよ(\(b>0\))。

a=  b=
解説を見る
数直線の範囲は \(-1<x<9\)。この範囲の中心が \(a\)、中心から端までの距離が \(b\)。 中心は \(\dfrac{-1+9}{2}=4\) なので \(a=4\)。 中心から端までの距離は \(9-4=5\)(または \(4-(-1)=5\))なので \(b=5\)。 確認:\(|x-4|<5\) を解くと \(-5<x-4<5\)、つまり \(-1<x<9\) となり一致する。 \(a=4,\ b=5\)
13
場合分け:|x-1|=3xの型

\(|x-1|=3x\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
絶対値の中身 \(x-1\) が \(0\) になるのは \(x=1\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge1\) のとき \(x-1=3x\) \(-1=2x\) \(x=-\dfrac{1}{2}\) 前提条件 \(x\ge1\) を満たさない。よって不適。 (ii) \(x<1\) のとき \(-(x-1)=3x\) \(-x+1=3x\) \(1=4x\) \(x=\dfrac{1}{4}\) 前提条件 \(x<1\) を満たす。よって適。 (i)は不適、(ii)は適なので、解は \(x=\dfrac{1}{4}\) のみ。 \(x=\dfrac{1}{4}\)
14
場合分け:解が2つとも残る型

\(|2x-3|=x+3\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
絶対値の中身 \(2x-3\) が \(0\) になるのは \(x=\dfrac{3}{2}\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge\dfrac{3}{2}\) のとき \(2x-3=x+3\) \(x=6\) 前提条件 \(x\ge\dfrac{3}{2}\) を満たす。よって適。 (ii) \(x<\dfrac{3}{2}\) のとき \(-(2x-3)=x+3\) \(-2x+3=x+3\) \(-3x=0\) \(x=0\) 前提条件 \(x<\dfrac{3}{2}\) を満たす。よって適。 (i)、(ii)ともに適なので、解は2つとも残る。 \(x=6,\ 0\)
挑戦(15〜23)
15
場合分け不等式

\(|2x-1|<x+4\) を解け。解は \(\text{ア}<x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
絶対値の中身 \(2x-1\) が \(0\) になるのは \(x=\dfrac{1}{2}\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge\dfrac{1}{2}\) のとき \(2x-1<x+4\) \(x<5\) 前提条件 \(x\ge\dfrac{1}{2}\) とあわせると \(\dfrac{1}{2}\le x<5\)。 (ii) \(x<\dfrac{1}{2}\) のとき \(-(2x-1)<x+4\) \(-2x+1<x+4\) \(-3x<3\) \(x>-1\) 前提条件 \(x<\dfrac{1}{2}\) とあわせると \(-1<x<\dfrac{1}{2}\)。 (i)と(ii)の範囲をあわせる(どちらか一方でも成り立てばよい)と、\(-1<x<\dfrac{1}{2}\) と \(\dfrac{1}{2}\le x<5\) はちょうど \(x=\dfrac{1}{2}\) でつながるので、まとめて \(-1<x<5\)。 \(-1<x<5\)
16
整数解の個数

\(|x-3|\le4\) を満たす整数 \(x\) の個数を求めよ。

個数  個
解説を見る
\(|x-3|\le4\) より \(-4\le x-3\le4\)。各辺に \(3\) を足すと \(-1\le x\le7\)。 この範囲の整数は \(-1,\ 0,\ 1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6,\ 7\) の9個。 9個
17
中身の順序が逆

\(|3-2x|>5\) を解け。解は \(x<\text{ア}\) または \(\text{イ}<x\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
\(|3-2x|>5\) より、中身が \(5\) より大きいか、\(-5\) より小さいかのどちらか。 \(3-2x>5\) のとき \(-2x>2\)、両辺を \(-2\) で割ると向きが逆になり \(x<-1\)。 \(3-2x<-5\) のとき \(-2x<-8\)、両辺を \(-2\) で割ると向きが逆になり \(x>4\)。 \(x<-1\) または \(4<x\)
18
グラフ的な見方

絶対値を使った関数 \(y=|x-2|\) を考える。\(y\) の値が \(3\) となるような \(x\) の値をすべて求めよ。

\(x=\)
解説を見る
\(y=|x-2|\) のグラフは、点 \((2,\ 0)\) を頂点とするV字形(\(x=2\) の左右で折れ曲がる形)になる。\(y=3\) となる \(x\) を求めるには \(|x-2|=3\) を解けばよい。 \(x-2=3\) より \(x=5\)、または \(x-2=-3\) より \(x=-1\)。 グラフ上では、V字の左右の斜面がそれぞれ \(y=3\) の高さと交わる2点にあたる。 \(x=5,\ -1\)
19
場合分け:右辺が1次式で候補が1つ棄却される型

\(|x-4|=3x-2\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
絶対値の中身 \(x-4\) が \(0\) になるのは \(x=4\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge4\) のとき(中身 \(x-4\ge0\) なので、そのまま外せる) \(x-4=3x-2\) \(-2=2x\) \(x=-1\) 前提条件 \(x\ge4\) を満たさない(\(-1\) は \(4\) 以上ではない)。よって不適。 (ii) \(x<4\) のとき(中身 \(x-4<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(x-4)=3x-2\) \(-x+4=3x-2\) \(6=4x\) \(x=\dfrac{3}{2}\) 前提条件 \(x<4\) を満たす(\(\dfrac{3}{2}\) は \(4\) より小さい)。よって適。 (i)は不適、(ii)は適なので、解は(ii)の \(x=\dfrac{3}{2}\) のみ。 \(x=\dfrac{3}{2}\)
20
場合分け:右辺が1次式で解なしになる型

\(|x-3|=-x-5\) を解け。解がない場合は「解なし」と入力すること。

解 
解説を見る
絶対値の中身 \(x-3\) が \(0\) になるのは \(x=3\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge3\) のとき(中身 \(x-3\ge0\) なので、そのまま外せる) \(x-3=-x-5\) \(2x=-2\) \(x=-1\) 前提条件 \(x\ge3\) を満たさない(\(-1\) は \(3\) 以上ではない)。よって不適。 (ii) \(x<3\) のとき(中身 \(x-3<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(x-3)=-x-5\) \(-x+3=-x-5\) \(3=-5\) これは \(x\) の値に関係なく成り立たない式(矛盾)。よってこの区間には解なし。 (i)も(ii)も解がないので、この方程式全体で解なし。 解なし
21
場合分け不等式:右辺が1次式で全実数になる型

\(|x-1|>x-5\) を解け。解がすべての実数になる場合は「全実数」と入力すること。

解 
解説を見る
絶対値の中身 \(x-1\) が \(0\) になるのは \(x=1\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge1\) のとき(中身 \(x-1\ge0\) なので、そのまま外せる) \(x-1>x-5\) \(-1>-5\) これは \(x\) にかかわらず常に成り立つ(真)。よって、この区間 \(x\ge1\) はすべて解になる。 (ii) \(x<1\) のとき(中身 \(x-1<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(x-1)>x-5\) \(-x+1>x-5\) \(6>2x\) \(x<3\) 前提条件 \(x<1\) はすでに \(x<3\) を満たしているので、この区間 \(x<1\) もすべて解になる。 (i)の \(x\ge1\)(すべて)と(ii)の \(x<1\)(すべて)を合わせると、実数全体をカバーする。 全実数
22
場合分け不等式:右辺が1次式で解なしになる型

\(|x+1|<-x-3\) を解け。解がない場合は「解なし」と入力すること。

解 
解説を見る
絶対値の中身 \(x+1\) が \(0\) になるのは \(x=-1\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge-1\) のとき(中身 \(x+1\ge0\) なので、そのまま外せる) \(x+1<-x-3\) \(2x<-4\) \(x<-2\) 前提条件 \(x\ge-1\) と \(x<-2\) は同時に成り立たない(\(-2\) より小さくて \(-1\) 以上の数はない)。よってこの区間には解なし。 (ii) \(x<-1\) のとき(中身 \(x+1<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(x+1)<-x-3\) \(-x-1<-x-3\) \(-1<-3\) これは \(x\) にかかわらず常に成り立たない(偽)。よってこの区間にも解なし。 (i)も(ii)も解がないので、この不等式全体で解なし。 解なし
23
絶対値2つの和の不等式(係数つき)

\(|x+5|+2|x+1|<9\) を解け。解は \(\text{ア}<x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
解説を見る
なぜ場合分けが必要か。絶対値の中身 \(x+5\) と \(x+1\) は、\(x\) の値によって正にも負にもなる。絶対値は「中身が0以上ならそのまま、0未満なら符号を反転」して外すので、それぞれの中身の符号が決まらないと外し方が決まらない。だから、符号が切り替わる境界で区間を分け、区間ごとに符号を決め打ちしてから絶対値を外す必要がある。 境界の見つけ方。絶対値の中身が0になる点を探す。\(x+5=0\) より \(x=-5\)、\(x+1=0\) より \(x=-1\)。この2つの境界で数直線を区切ると、\(x<-5\)/\(-5\le x<-1\)/\(x\ge-1\) の3つの区間に分かれる(区間の端は「以上」側にそろえて、抜け・重なりが出ないようにしてある)。
(i) \(x<-5\) のとき(\(x+5<0\)、\(x+1<0\) なので、どちらも符号を反転させて絶対値を外す) \(|x+5|=-(x+5)\)、\(|x+1|=-(x+1)\) より \(-(x+5)-2(x+1)<9\) \(-x-5-2x-2<9\) \(-3x-7<9\) \(-3x<16\) 両辺を \(-3\)(負の数)で割るので、不等号の向きが変わる。 \(x>-\dfrac{16}{3}\) 前提 \(x<-5\) と、いま求めた \(x>-\dfrac{16}{3}\) の共通範囲をとる。\(-\dfrac{16}{3}=-5.33\cdots\) は \(-5\) より小さいので、共通範囲は \(-\dfrac{16}{3}<x<-5\)。
(ii) \(-5\le x<-1\) のとき(\(x+5\ge0\) なのでそのまま、\(x+1<0\) なので符号を反転) \((x+5)-2(x+1)<9\) \(x+5-2x-2<9\) \(-x+3<9\) \(-x<6\) 両辺を \(-1\)(負の数)で割るので、不等号の向きが変わる。 \(x>-6\) 前提 \(-5\le x<-1\) はもともと \(x\ge-5\) を含んでおり、\(-5\) は \(-6\) より大きいので、この前提は \(x>-6\) を自動的に満たしている。だから、この場合はこの区間 \(-5\le x<-1\) が丸ごと解になる。
(iii) \(x\ge-1\) のとき(\(x+5\ge0\)、\(x+1\ge0\) なので、どちらもそのまま外せる) \((x+5)+2(x+1)<9\) \(x+5+2x+2<9\) \(3x+7<9\) \(3x<2\) 両辺を3(正の数)で割る。向きはそのまま。 \(x<\dfrac{2}{3}\) 前提 \(x\ge-1\) と、いま求めた \(x<\dfrac{2}{3}\) の共通範囲をとると \(-1\le x<\dfrac{2}{3}\)。
3つの場合をつなげる。 (i) \(-\dfrac{16}{3}<x<-5\) (ii) \(-5\le x<-1\) (iii) \(-1\le x<\dfrac{2}{3}\) (i)の右端 \(-5\) と(ii)の左端 \(-5\) がぴったりつながり、(ii)の右端 \(-1\) と(iii)の左端 \(-1\) もぴったりつながっているので、3つを合体させると切れ目のない1本の範囲になる。
\(-\dfrac{16}{3}<x<\dfrac{2}{3}\)
応用問題(プリント限定)

ここから先はPDF限定の腕試し。入試の基礎レベルに挑戦しよう。

応1
絶対値2つの和の方程式(3区間の場合分け)

\(|x-1|+|x-2|=5\) を解け。

\(x=\)
解説を見る
絶対値の中身が \(0\) になる境界は \(x=1\) と \(x=2\) の2つ。この2つの境界で数直線が3つの区間に分かれるので、3通りに場合分けする。 (i) \(x<1\) のとき(\(x-1<0\)、\(x-2<0\) なのでどちらも符号を反転) \(-(x-1)-(x-2)=5\) \(-x+1-x+2=5\) \(-2x+3=5\) \(-2x=2\) \(x=-1\) 前提条件 \(x<1\) を満たす。よって適。 (ii) \(1\le x<2\) のとき(\(x-1\ge0\) なのでそのまま、\(x-2<0\) なので符号を反転) \((x-1)-(x-2)=5\) \(x-1-x+2=5\) \(1=5\) これは \(x\) の値に関係なく成り立たない式(矛盾)。よってこの区間には解なし。 (iii) \(x\ge2\) のとき(\(x-1\ge0\)、\(x-2\ge0\) なのでどちらもそのまま) \((x-1)+(x-2)=5\) \(2x-3=5\) \(2x=8\) \(x=4\) 前提条件 \(x\ge2\) を満たす。よって適。 (i)と(iii)が適なので、解は \(x=-1\) と \(x=4\) の2つ。 \(x=-1,\ 4\)
応2
絶対値を含む不等式の整数解の個数

\(|2x-5|\le7\) を満たす整数 \(x\) の個数を求めよ。

個数  個
解説を見る
\(|2x-5|\le7\) より \(-7\le2x-5\le7\)。 各辺に \(5\) を足すと \(-2\le2x\le12\)。 各辺を \(2\) で割ると \(-1\le x\le6\)。 この範囲の整数は \(-1,\ 0,\ 1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6\) の8個。 8個
応3
グラフ的な見方:交点

絶対値を使った関数 \(y=|x+1|\) のグラフと、直線 \(y=4\) の交点の \(x\) 座標をすべて求めよ。

\(x=\)
解説を見る
交点の \(x\) 座標は、\(|x+1|=4\) を解けば求められる(グラフ上の高さが \(y=4\) になる \(x\) を求めることと同じ)。 \(x+1=4\) より \(x=3\)。 \(x+1=-4\) より \(x=-5\)。 \(y=|x+1|\) のグラフは点 \((-1,\ 0)\) を頂点とするV字形なので、\(y=4\) の高さでは左右の斜面それぞれと交わり、交点は2つになる。 \(x=3,\ -5\)
応4
場合分け不等式(片側だけ範囲が続く型)

\(|x+2|\ge3x\) を解け。解は \(x\le\text{ア}\) の形になる。

ア=
解説を見る
絶対値の中身 \(x+2\) が \(0\) になるのは \(x=-2\)。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge-2\) のとき(\(x+2\ge0\) なのでそのまま外せる) \(x+2\ge3x\) \(2\ge2x\) \(x\le1\) 前提条件 \(x\ge-2\) とあわせると \(-2\le x\le1\)。 (ii) \(x<-2\) のとき(\(x+2<0\) なので符号を反転) \(-(x+2)\ge3x\) \(-x-2\ge3x\) \(-2\ge4x\) \(x\le-\dfrac{1}{2}\) 前提条件 \(x<-2\) とあわせると、\(x<-2\) はすでに \(x\le-\dfrac{1}{2}\) を満たすので、そのまま \(x<-2\) がすべて解になる。 (i)の範囲 \(-2\le x\le1\) と(ii)の範囲 \(x<-2\) をあわせると、\(x<-2\) と \(-2\le x\le1\) はちょうど \(x=-2\) でつながるので、まとめて \(x\le1\)。 \(x\le1\)
応5
絶対値2つの和の最小値(距離の性質)

\(|x-3|+|x+2|\) の最小値を求めよ。

最小値 
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\(|x-3|\) は点3から \(x\) までの距離、\(|x+2|\) は点\(-2\)から \(x\) までの距離を表す。つまりこの式は「\(x\) から点3までの距離」と「\(x\) から点\(-2\)までの距離」の合計。 \(x\) が \(-2\) と \(3\) の間(\(-2\le x\le3\))にあるときは、2つの距離の合計はちょうど \(3\) と \(-2\) の間の距離、つまり \(3-(-2)=5\) になる(間を行き来する分の距離が無駄なく使われる)。 \(x\) が \(-2\) と \(3\) の間から外れると、外れた分だけ遠回りになり、合計の距離は \(5\) より大きくなる。 したがって、合計の距離が最小になるのは \(x\) が \(-2\) 以上 \(3\) 以下のときで、その最小値は \(5\)。 最小値 \(5\)
応6
絶対値2つの和の不等式(係数つき)

\(|x-3|+3|x+2|<11\) を解け。解は \(\text{ア}<x<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
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なぜ場合分けが必要か。絶対値の中身 \(x-3\) と \(x+2\) は、\(x\) の値によって正にも負にもなる。絶対値記号を外すには符号を決めなければならないので、符号が切り替わる境界で区間を分ける必要がある。 境界の見つけ方。\(x-3=0\) より \(x=3\)、\(x+2=0\) より \(x=-2\)。この2つの境界で数直線を区切ると、\(x<-2\)/\(-2\le x<3\)/\(x\ge3\) の3つの区間に分かれる。
(i) \(x<-2\) のとき(\(x-3<0\)、\(x+2<0\) なので、どちらも符号を反転させて絶対値を外す) \(-(x-3)-3(x+2)<11\) \(-x+3-3x-6<11\) \(-4x-3<11\) \(-4x<14\) 両辺を \(-4\)(負の数)で割るので、不等号の向きが変わる。 \(x>-\dfrac{7}{2}\) 前提 \(x<-2\) との共通範囲は \(-\dfrac{7}{2}<x<-2\)。
(ii) \(-2\le x<3\) のとき(\(x-3<0\) なので符号を反転、\(x+2\ge0\) なのでそのまま) \(-(x-3)+3(x+2)<11\) \(-x+3+3x+6<11\) \(2x+9<11\) \(2x<2\) 両辺を2(正の数)で割る。向きはそのまま。 \(x<1\) 前提 \(-2\le x<3\) と、いま求めた \(x<1\) の共通範囲をとると \(-2\le x<1\)。
(iii) \(x\ge3\) のとき(\(x-3\ge0\)、\(x+2\ge0\) なので、どちらもそのまま外せる) \((x-3)+3(x+2)<11\) \(x-3+3x+6<11\) \(4x+3<11\) \(4x<8\) 両辺を4(正の数)で割る。向きはそのまま。 \(x<2\) 前提 \(x\ge3\) と、いま求めた \(x<2\) は同時に成り立たない(3以上で2未満の数はない)。だからこの区間には解なし。
3つの場合をつなげる。 (i) \(-\dfrac{7}{2}<x<-2\) (ii) \(-2\le x<1\) (iii) 解なし (i)の右端 \(-2\) と(ii)の左端 \(-2\) がぴったりつながるので、(i)と(ii)を合体させると切れ目のない範囲になる。(iii)は解を持たないので、最終的な範囲を広げない。
\(-\dfrac{7}{2}<x<1\)
応7
絶対値2つの連立+整数解の個数から定数を逆算

\(k\) を正の定数とする。連立不等式 \(|x+1|<2\) かつ \(|x-2|>k\) をともに満たす整数 \(x\) がちょうど3個であるとき、定数 \(k\) の値の範囲を求めよ。解は \(\text{ア}<k<\text{イ}\) の形になる。

ア=  イ=
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まず1つ目の不等式 \(|x+1|<2\) だけを解く。 \(-2<x+1<2\) 各辺から1を引く。 \(-3<x<1\)
この範囲にふくまれる整数を数え上げると、\(-2,\ -1,\ 0\) のちょうど3個しかない(\(-3\) 自身と \(1\) 自身は範囲に含まれないことに注意)。 ここが今回のキモ。1つ目の不等式だけで、そもそも整数の候補が \(-2,-1,0\) の3個しかない。2つ目の不等式 \(|x-2|>k\) を組み合わせても、両方を満たす整数の個数はこの3個から減ることはあっても増えることはない。だから「両方を満たす整数がちょうど3個」というのは、「この3個の整数 \(-2,-1,0\) が、そろって2つ目の不等式 \(|x-2|>k\) も満たす」ということと完全に同じ意味になる。 そこで、\(-2,-1,0\) それぞれについて \(|x-2|\)(点2からの距離)を計算してみる。 \(x=-2\) のとき \(|x-2|=|-2-2|=4\) \(x=-1\) のとき \(|x-2|=|-1-2|=3\) \(x=0\) のとき \(|x-2|=|0-2|=2\)
3個ともが \(|x-2|>k\) を満たすには、これら3つの距離のうち一番小さいもの(\(=2\)、\(x=0\) のとき)より \(k\) が小さくなければならない。なぜなら、一番小さい距離でも \(k\) を上回っていれば、残りの大きい距離(3や4)は自動的に \(k\) を上回るから。逆に、もし \(k\) が2以上だと、\(x=0\) のところで \(|x-2|=2\) が \(k\) を上回れなくなり(\(2>k\) が成り立たなくなり)、3個そろわなくなってしまう。 よって \(k<2\)。さらに \(k\) は正の定数と指定されているので \(k>0\)。この2つを合わせて \(0<k<2\)。 確かめてみよう。\(k=1\)(範囲の中の値)のとき、\(|x-2|>1\) を満たすかを \(-2,-1,0\) それぞれ確認すると、距離は4,3,2ですべて1より大きいので3個とも条件を満たす。境界の \(k=2\) では、\(x=0\) の距離2が \(2>2\) を満たさなくなり、条件を満たす整数は \(-2,-1\) の2個に減ってしまう。だから \(k=2\) は範囲に含めない。 \(0<k<2\)
応8
文字係数の連立不等式(符号による場合分け)

\(a\) を定数とする。連立不等式 \(\begin{cases}ax<3a(a-3)\\ (a-3)x\ge a(a-3)\end{cases}\) を、\(a\) の値の範囲によって場合分けして解け。

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なぜ場合分けが必要か。この連立不等式には、\(x\) の係数として \(a\) と \(a-3\) という文字式が入っている。不等式の両辺を数で割るとき、割る数が正なら向きはそのまま、負なら向きが逆になり、0なら「割る」という操作自体ができない。ここでは割る数が \(a\)、\(a-3\) という文字式なので、その符号(正・負・0のどれか)が分からないと、向きが変わるかどうかが決められない。だから、\(a\) の符号と \(a-3\) の符号によって場合分けする必要がある。 境界の見つけ方。場合分けの境界は「係数がちょうど0になる点」で決まる。1つ目の不等式の係数は \(a\)、これが0になるのは \(a=0\)。2つ目の不等式の係数は \(a-3\)、これが0になるのは \(a=3\)。この2つの境界 \(a=0\) と \(a=3\) で数直線を区切ると、\(a\) の範囲は次の5つに分かれる。
5つの範囲での \(a\)、\(a-3\) の符号を先に整理しておく。
\(a<0\):\(a\) は負、\(a-3\) も負(\(a<0<3\) だから)
\(a=0\):\(a=0\)、\(a-3=-3\)(負)
\(0<a<3\):\(a\) は正、\(a-3\) は負
\(a=3\):\(a=3\)(正)、\(a-3=0\)
\(a>3\):\(a\) は正、\(a-3\) も正
(i) \(a<0\) のとき(\(a\) は負、\(a-3\) も負) 1つ目 \(ax<3a(a-3)\) の両辺を \(a\)(負の数)で割るので、不等号の向きが変わる。 \(x>3(a-3)\) 2つ目 \((a-3)x\ge a(a-3)\) の両辺を \(a-3\)(負の数)で割るので、不等号の向きが変わる。 \(x\le a\) 合わせると \(3(a-3)<x\le a\)。これが空でない範囲かどうかを確認する。下端が上端より小さければよい。 \(3(a-3)<a\) \(3a-9<a\) \(2a<9\) \(a<4.5\) いまは \(a<0\) の場合なので、\(a<0\) は \(a<4.5\) を自動的に満たす。だから \(a<0\) では常にこの範囲が存在する。
具体的に \(a=-1\) で確かめると、下端は \(3(-1-3)=-12\)、上端は \(-1\)。解は \(-12<x\le-1\) という、ちゃんとした範囲になる。 \(a<0\) のとき \(3(a-3)<x\le a\) (ii) \(a=0\) のとき(\(a=0\)、\(a-3=-3\)) \(a=0\) を1つ目の不等式にそのまま代入する。 \(0\times x<3\times0\times(-3)\) 左辺・右辺とも \(0\) になるので、これは \(0<0\) という式になる。左辺はどんな \(x\) を入れても常に \(0\) なので、この式は\(x\)の値によらず常に偽(成り立たない)。 つまり、この時点で1つ目の不等式を満たす \(x\) が1つも存在しない。2つ目の不等式がどうであれ、両方を同時に満たす \(x\) はあり得ない。 \(a=0\) のとき 解なし (iii) \(0<a<3\) のとき(\(a\) は正、\(a-3\) は負) 1つ目の両辺を \(a\)(正の数)で割るので、向きはそのまま。 \(x<3(a-3)\) 2つ目の両辺を \(a-3\)(負の数)で割るので、向きが変わる。 \(x\le a\) 合わせると「\(x<3(a-3)\) かつ \(x\le a\)」。この2つの条件のうち、どちらがより厳しい(範囲を狭める)かを調べるため \(3(a-3)\) と \(a\) の大小を比べる。 \(3(a-3)-a=3a-9-a=2a-9\) いまは \(0<a<3\) なので \(2a<6<9\)、つまり \(2a-9<0\)。だから \(3(a-3)<a\) が常に成り立つ。 \(3(a-3)\) が \(a\) より小さいので、\(x<3(a-3)\) の方が \(x\le a\) より厳しい条件。厳しい方を満たせば、ゆるい方は自動的に満たされる。だから2つを合わせた範囲は \(x<3(a-3)\) だけで決まる。 \(0<a<3\) のとき \(x<3(a-3)\) (iv) \(a=3\) のとき(\(a=3\)、\(a-3=0\)) \(a=3\) を2つの不等式に代入する。 1つ目:\(3x<3\times3\times0=0\)、つまり \(3x<0\)。両辺を3で割って \(x<0\)。 2つ目:\((3-3)x\ge3\times(3-3)\)、つまり \(0\times x\ge0\)。これは \(0\ge0\) という式になる。左辺はどんな \(x\) を入れても常に \(0\) なので、この式は\(x\)の値によらず常に真(成り立つ)。 つまり2つ目の不等式は \(x\) に何の制限も加えない。だから連立不等式全体の解は、1つ目だけで決まる \(x<0\)。 \(a=3\) のとき \(x<0\) (v) \(a>3\) のとき(\(a\) は正、\(a-3\) も正) 1つ目の両辺を \(a\)(正の数)で割るので、向きはそのまま。 \(x<3(a-3)\) 2つ目の両辺を \(a-3\)(正の数)で割るので、向きはそのまま。 \(x\ge a\) 合わせると「\(a\le x<3(a-3)\)」。これが空でない範囲かどうかは、下端 \(a\) が上端 \(3(a-3)\) より小さいかどうかで決まる。 \(a<3(a-3)\) \(a<3a-9\) \(9<2a\) \(a>4.5\) つまり \(a>3\) の中でも、\(a\) が4.5より大きいかどうかでさらに結果が変わってしまう。ここでもう一段階、細かく場合分けする必要がある。 (v-a) \(3<a\le4.5\) のとき 下端 \(a\) が上端 \(3(a-3)\) 以上になってしまうので、\(a\le x<3(a-3)\) を満たす \(x\) は存在しない。
具体的に \(a=4\) で確かめると、下端は \(4\)、上端は \(3(4-3)=3\)。\(4\le x<3\) を満たす \(x\) はない(4以上で3未満の数はない)。 \(3<a\le4.5\) のとき 解なし (v-b) \(a>4.5\) のとき 下端 \(a\) が上端 \(3(a-3)\) より真に小さくなるので、\(a\le x<3(a-3)\) という範囲がちゃんと存在する。
具体的に \(a=5\) で確かめると、下端は \(5\)、上端は \(3(5-3)=6\)。\(5\le x<6\) という、ちゃんとした範囲になる。 \(a>4.5\) のとき \(a\le x<3(a-3)\) すべての場合をまとめる。
\(a<0\):\(3(a-3)<x\le a\)
\(a=0\):解なし
\(0<a<3\):\(x<3(a-3)\)
\(a=3\):\(x<0\)
\(3<a\le4.5\):解なし
\(a>4.5\):\(a\le x<3(a-3)\)
記述チャレンジ

答えだけでなく「なぜそうなるか」を文章と式で書く練習。模範解答と見比べて、書き方の型を身につけよう。

記1

\(|x-1|=2x\) のように右辺にも \(x\) をふくむ絶対値の方程式では、場合分けして求めた解が前提条件(\(x\ge1\) や \(x<1\) など)を満たすかどうかを必ず確認しなければならない。なぜこの確認が必要なのか、説明せよ。

模範解答を見る
絶対値の中身に \(x\) が入っている式は、そのままでは絶対値記号を外せない。そこで「中身が \(0\) 以上の場合」と「中身が \(0\) 未満の場合」に分けて、それぞれの場合に応じて絶対値記号を外す。このとき外した式は、あくまで「その場合の前提(たとえば \(x\ge1\))が成り立っているとき」にだけ、もとの絶対値の式と同じ意味を持つ。 たとえば \(|x-1|=2x\) を \(x\ge1\) の場合として外すと \(x-1=2x\) になるが、これは「\(x\ge1\) という前提のもとでの」方程式である。この方程式を解くと \(x=-1\) が出てくるが、これは \(x\ge1\) を満たさない値である。\(x=-1\) のとき実際には中身 \(x-1=-2\) は \(0\) 未満なので、この場合「中身をそのまま外す」という操作自体が最初から成り立っていない。つまり \(x=-1\) は、方程式 \(x-1=2x\) の解ではあっても、もとの絶対値の方程式 \(|x-1|=2x\) の解ではない。 このように、場合分けして作った方程式・不等式は、前提となる条件のもとでしか成り立たない「仮の式」にすぎない。前提条件を確認せずに解をそのまま採用すると、実際にはもとの式を満たさない値を答えに含めてしまう誤りが起こる。だからこそ、各場合で求めた解については、その場合の前提条件を満たしているかを必ず個別に確認し、満たすものだけを最終的な解として採用する必要がある。 場合分けで外した式は前提条件が成り立つときにしか意味を持たないため、求めた解が前提条件を満たさなければ、それはもとの絶対値の方程式の解ではない(見かけ上の解にすぎない)。確認を省くと誤った値を答えに含めてしまう。
記2

\(|3x-2|=x+4\) を解け。過程も書け。

模範解答を見る
絶対値の中身 \(3x-2\) が \(0\) になるのは \(3x-2=0\)、つまり \(x=\dfrac{2}{3}\) のとき。ここを境に場合分けする。 (i) \(x\ge\dfrac{2}{3}\) のとき(中身 \(3x-2\ge0\) なので、そのまま外せる) \(3x-2=x+4\) \(2x=6\) \(x=3\) これは前提条件 \(x\ge\dfrac{2}{3}\) を満たす(\(3\) は \(\dfrac{2}{3}\) 以上)。よって適。 (ii) \(x<\dfrac{2}{3}\) のとき(中身 \(3x-2<0\) なので、符号を反転して外す) \(-(3x-2)=x+4\) \(-3x+2=x+4\) \(-2=4x\) \(x=-\dfrac{1}{2}\) これは前提条件 \(x<\dfrac{2}{3}\) を満たす(\(-\dfrac{1}{2}\) は \(\dfrac{2}{3}\) より小さい)。よって適。 (i)、(ii)ともに適なので、今回は両方の解が答えとして残る。 \(x=3,\ -\dfrac{1}{2}\)